【開幕】木ノ下歌舞伎『糸井版 摂州合邦辻』

【開幕】木ノ下歌舞伎『糸井版 摂州合邦辻』

木ノ下歌舞伎『糸井版 摂州合邦辻』が、KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて開幕!
舞台写真と、コメントが到着した。(KAAT公演は、6月4日 (日)まで)

生と死、聖と俗。
〈昔〉と〈今〉の往還が、都市に生きる人々の“生”を照らし出す。
説経節『しんとく丸』『愛護の若』や能『弱法師』など
を元にした浄瑠璃作品『摂州合邦辻』。
古来より脈々と語り継がれてきたこの物語を、
糸井幸之介の音楽・演出×木ノ下歌舞伎のタッグにより、
ふたたび現代に紡ぎ直す音楽劇。

三度目の再演となる今回は、台本の増補と新曲を追加した
〈決定版〉こと2020年ヴァージョンのキャストが再結集。
古典を現代に呼び覚ます“運動”を続ける
木ノ下歌舞伎のひとつの到達点が、今ここに。

開幕コメント

上演台本・演出・音楽:糸井幸之介(FUKAIPRODUCE羽衣)
3回も再演するの人生初だと思います。3回目ともなると、クオリティの次元を超え、作品全体がまろみを帯び、一つの自然な生き物のようです。
ぼんやり舞台上の俳優さんを眺めていると、じんわりと泣けてきたりします。
演出家がぼんやりしたりじんわりしてちゃ駄目なんですが、まあいいんです。
僕にとって合邦の物語は、めちゃくちゃなんだけど愛さずにはいられなかった古い恋人のような存在なんです。
誰かの声が聞きたくなること、皆あると思います。
合邦の物語はそんな誰かの声なんだと思います。
皆さんにも、劇場で、耳を澄ませて欲しいです。

監修・補綴・上演台本:木ノ下裕一(木ノ下歌舞伎主宰)
浄瑠璃『摂州合邦辻』は、人間の〝生き死に〟を、神話的世界を借りながら描いた作品です。一見、不条理なストーリーのように見えて、その中には、家制度やジェンダーギャップによる抑圧、病や属性による差別や経済的な格差など、現代の私たちが未だ乗り越えられていない諸問題も登場します。

『糸井版 摂州合邦辻』は今回で三度目の上演になりますが、糸井さんをはじめ、俳優さんやスタッフの皆さんと大切に、大切に育ててきました。250年前に『摂州合邦辻』が世に問おうとしたことを、現代の感覚で蘇らせようとしているのが本作ですが、今回は、〝決定版〟と呼ぶにふさわしい上演になったと思っています。

マクロからミクロまでを大きく描き切り、善も悪も美も醜も包み込みながら、私たちの〝生き死に〟を丸ごと肯定する糸井さんの(稀有な)手腕にも磨きがかかっています。超絶技巧と言うべき俳優さんたちの演技、目覚ましい深化も見逃せません。

挫折とか、病気とか、人生の閉塞感とか、親しい人との死別とか、生きているうえで誰もが避けられない苦しみに寄り添うような作品になりました。

初日のカーテンコールでの、お客様のあたたかい拍手を聞きながら、この作品を必要としている人の元に、ちゃんと届きますように、と思わずにはおられませんでした。

木ノ下歌舞伎『糸井版 摂州合邦辻』

作|菅専助、若竹笛躬
監修・補綴・上演台本|木ノ下裕一
上演台本・演出・音楽|糸井幸之介(FUKAIPRODUCE羽衣)
音楽監修|manzo
振付|北尾亘

出演|
内田慈 土屋神葉
谷山知宏 永島敬三 永井茉梨奈 飛田大輔 石田迪子 山森大輔
伊東沙保 西田夏奈子 武谷公雄

舞台美術|島次郎、角浜有香
照明|吉本有輝子 
音響|星野大輔
衣裳|大野知英 
ヘアメイク|須山智未
補綴助手|稲垣貴俊 
演出助手|中村未希 
舞台監督|大鹿展明

宣伝美術|外山央
宣伝写真・動画|吉次史成
宣伝ヘアメイク|板垣実和
宣伝衣裳|大野知英
 
制作|本郷麻衣、枡谷雄一郎※、木原里佳※  ※ロームシアター京都

企画制作:ロームシアター京都、木ノ下歌舞伎/一般社団法人樹来舎
製作:ロームシアター京都
共同製作:穂の国とよはし芸術劇場PLAT、KAAT神奈川芸術劇場
ロームシアター京都レパートリー作品(初演2019年/再演2020年)

(撮影:前澤秀登)

新着ニュースカテゴリの最新記事