究極のエンターテインメント・ショー『CLUB SEVEN』に臨む、玉野和紀、内海啓貴、蒼木陣インタビュー

ソング&ダンス・芝居・タップ・ミュージカル・スケッチ、舞台の醍醐味が全て詰まった、“怒涛のジェットコースター大娯楽エンターテインメント”『CLUB SEVEN』。
2003年5月の初演以来、脚本・構成・演出・振付を務める玉野和紀を筆頭に、吉野圭吾、東山義久、西村直人と初演から作品を支える“レジェンド”メンバーをはじめ、ミュージカル界を牽引する才能あふれるキャストたちが、全力で作品を盛り上げ、前回公演では『CLUB SEVEN another place』と題して、ところを有楽町よみうりホールへと移し、どこに行っても変わらない究極のエンターテイメントの力強さと楽しさを示してくれた。
そんな『CLUB SEVEN』が今年も『CLUB SEVEN another place II』として上演されるにあたって、『CLUB SEVEN』初参加となる内海啓貴蒼木陣が、玉野と共にステージに臨む思いを語り合ってくれた。


──まず初参加のお二人にオファーされた気持ちから教えていただけますか?

玉野 「とりあえずスケジュールが空いていた、っていうことなんですけどね(笑)。いやいや(笑)、もちろん僕が是非この人と舞台を創りたい!と思う方にオファーをしているんですが、どうしてもその期間が無理だという人も出てくるじゃないですか。内海くんにももうずいぶん前から「今度やってみる?」という話はしてきていたから。」

内海 「前回も是非参加したいと思っていたのですが、残念ながらスケジュールが合わなかったので「次回でお願いします」とお話しました。」

玉野 「そうそう、だからタイミング、本当に運命というか、ご縁が大きいなと思いますね。特に『CLUB SEVEN』は長くやらせてもらっているシリーズだから、定番になっている人気キャラクターや、スケッチなどもたくさんあるので、新しい方に入っていただくことによって、この人にはどんなキャラや場面が似合うだろう?と考えていくなかから、新たなものが生まれることが多いんです。新しい方から受ける刺激やイマジネーションは僕にとってもすごく大事なので、二人にはとても期待しています。」

──そのご縁がつながって初出演が決まったいまいかがですか?

蒼木 「僕は今年33歳のゾロ目の年になるんですけど、そういう年にこうしてアッキー(内海)と一緒に新メンバーとして入れていることは、本当に嬉しいご縁ですし、僕にとっても今こそやるべきタイミングなんだ、というところで出会えたのだろうなと思っています。これから30代も中盤、そして後半、さらにその先になっていくにあたっての、色々な武器になってくれるものを、稽古場で先輩方と時間を過ごすなかでつかめるきっかけになるんじゃないかなと。もちろんそれは全部自分次第で手にできるものだと思うので、その気持ちを大事に取り組めたらいいなと思っています。」

内海 「僕は、昨年の『CLUB SEVEN another place』も観劇させていただいていて、ずっと出演したい作品のひとつだったんです。自分のスキルにもっと磨きをかけたいと思った時に、全てのエンタメが揃っているのがこの『CLUB SEVEN』だなと思っていましたし、陣くんと同じで今回タイミングに恵まれたので、楽しみな気持ちでいっぱいです。」

──いま、全てのエンタメが揃っているというお話しもありましたが『CLUB SEVEN』という作品、舞台そのものにはこれまでどのような印象を?

蒼木 「よくこの分量の台詞、歌、振付全てをキャストの皆さんが覚えるなということと、それが全て玉野さんの頭のなかから生み出されていることを思うと、玉野さんって化け物だな(笑)と思っていました。色々な幅のもののオマージュというか、こういう見せ方をされるんだとか、あ、この元ネタ知ってる!ということがたくさんあるなかで、おそらくもう1年中、毎日色々なところにアンテナを張って、ネタを集めながら過ごしていらっしゃるのだろうな等、舞台を観ながら創られた玉野さんに思いがいってしまうくらいすごいなと思いました。」

内海 「とにかくやることが膨大なんですけど、それを演者の皆さんがすごく楽しんでやられているのが、素晴らしいなと思っていて。やっぱりキャスト同士の助け合いとか、仲の良さがにじみ出ているし、『CLUB SEVEN』ファンの方がたくさんいらっしゃるから、お客さんの目も肥えていますよね。僕は「はじめて(ファンレターを)書きました。『CLUB SEVEN』が大好きな者です」というお手紙をいただいて!」

玉野 「へぇ~!」

蒼木 「すごいね!」

内海 「そうなんです。「出てくださるのが嬉しいです。あきよし君にピッタリだと思っていました」と書かれていて、それだけ『CLUB SEVEN』という作品に期待されている方々がたくさんいらっしゃるので、その期待にも応えたいですし、キャストのチームワークに僕自身すごく感動したので、僕もそれを大事にしつつ、また新しい『CLUB SEVEN』を創るにあたって、いいスパイスになれたら良いなと思います。」

──玉野さんはやはり、『CLUB SEVEN』を創る為に、終始アンテナを張っているという感覚ですか?

玉野 「僕の中で「パフォーマンスリスト」というものがあって、思いついたら全部そこに書き溜めているんです。例えば映画を観ていて「あ、これをこういう風に言ったら面白いかな」など、それはもう『CLUB SEVEN』をはじめてから、今年で22年間分があるし、ものを創り始めた、本を書いて振り付けをして出演した最初が31歳の時だったので。」

蒼木 「僕の歳にはもう創られていたということですね?」

玉野 「うん、創ってたね。その頃からこんなことをやりたい、あんなこともやりたいとやっていたので、もう30年以上ため込んだものがあって、最初からそれを見直していくと、昔はスルーしていたものがいまの気持ちにヒットしたりもしてね。」

内海 「あ~なるほど!」

玉野 「そうそう。感覚も違うから、若い時はあまり面白くないかなと思っていたことが面白かったりとか、色々発見があって。たださすがに『CLUB SEVEN』を1年でやるのは、ちょっと大変(笑)。基本はさっきも言いましたが、レジェンド+新しい人が入ることで創る幅が広がるんですが、今回は前回出ていたみっちゃん(北翔海莉の愛称)も出て、『CLUB SEVEN』経験者である(原田)優一と、妃海風も出るなか、この二人だけが新メンバーなので、二人からインスパイアされるものが大きいですから、二人がいるからこそという場面が二つほどあります。」

──その辺りを、いま少し具体的にお話いただけますか?

玉野 「基本的に(東山)義久、(吉野)圭吾、みっちゃんを中心に場面を組んでいって、そこですごく美味しい役どころに二人がなってくれればいいなという感覚です。二人にとってもそこは非常に勉強になると思います。お芝居の勉強って、主役じゃなくて周りの方が難しいんですよ。人間って話している方に目線が行きますから、そこで「俺が、俺が」という気持ちが強すぎると、どうしても余計なことをしてしまう。でもそれは全く不要だし、だからと言ってただ立っているだけでもいけない。そこをレジェンド連中はよくわかっているので、自分が出るときとふっと引く時のバランスがきちんと取れる。『CLUB SEVEN』の良いところって、その瞬間は主役だけれども、次の瞬間はアンサンブルという、双方を行ったり来たりするところなので、俺たちが後ろにいても、行くべき時には「二人が行け!ここで行け!」と言いますから、色々吸収することがたくさんあると思います。『CLUB SEVEN』の誰もが主役で、誰もがアンサンブルという価値観を共有して、どこまで弾けてくれるか、芝居には正解がないですから楽しみですね。」

──そこが本当に素敵ですけれども、おおまかな構成は変わらずにということでしょうか?

玉野 「変わらないです。いつものオープニングから始まって、あの曲が鳴って扉が開いて、バックサスでシルエットが見えたら拍手が来るって、嬉しいですよね。」

──本当に「キター!」と思います!

玉野 「その空気が伝わるので「あぁ、お客さんが待っていてくれたんだ!」と思いますし、M1が終わったら、お客さんの顔がもう笑う準備をしていますからね!」

蒼木 「あぁ、そうですよね。」

内海 「わかります!」

玉野 「だからその期待にも応えたいし、でもそれだけではなくてちょっとホロッとくるシーンも入れています。しかも今回も『CLUB SEVEN』のスケッチはA、Bの2パターンありますから、Aパターンはここでハケるけど、Bパターンは最後まで踊るとかそういう計算もあるんでね。いつの間には2パターン創るのも当たり前になっていて、自分でも「人間ってこんなに覚えられるんだな」と思いますから(笑)。」

蒼木 「恐ろしいです!」

内海 「譜面がすごいことになっていますよね?」

──50音順ヒットメドレーも毎回曲数が増えていて。

玉野 「今回最長101曲になります。遂に100曲を超えたので、初演って何曲だったんだろうと調べたら69曲だった。」

蒼木 「30曲以上増えているんですね。」

玉野 「その頃の50音順ヒットメドレーは、基本『CLUB SEVEN』Tシャツだけでやっていたんだよね。ちょっと小道具を持ったり、軽く上に羽織る程度で。それがだんだん仮装大賞みたいになっていって(笑)。」

内海 「いいな~(拍手!)」

玉野 「それで全部変えるとなると、1曲では次に出られなくなるから…」

蒼木 「あぁ、なるほど!」

玉野 「しかも1曲がそんなに長くなくて、1番長いところで1分で、1分あればいけるんだけど、曲によっては30秒とか20秒のものもあるから、そうなると2曲入れないと着替えられないという流れがだんだん増えていって。9人体制になったことでまた増えて前回は95曲だったんだけど、遂に101曲に。でもお客さんは嬉しいんですよね?」

──はい!嬉しいです!

蒼木 「僕はぶるぶるしております。」

──気軽に申しあげてすみません。そのなかでお二人が演じるキャラクターを少しでいいので教えていただけるところはありますか?

玉野 「たくさん演じますが、そうだな、ちょっとだけネタバレしますと、内海君は圭吾と二人でやる雪山のシーンがあります。」

内海 「初めて聞きました!」

玉野 「初めて言ったから(笑)。あと、蒼木くんは僕の息子になる時があります。」

蒼木 「えー嬉しい!」

内海 「そう言えばお二人ちょっと顔似てますよね?」

蒼木 「ホントに?めちゃめちゃ嬉しい。」

内海 「家族って言われたら「あーわかる」って感じです。」

玉野 「良かった、良かった。みっちゃんがお母さんだよ。」

──いまお聞きになってどうですか?

内海 「僕は近年カンパニーのなかで下も上もいる現場が多い年齢になっていますが、今回は最年少なんです。」

玉野 「そうだね。」

内海 「それが結構嬉しいんですよ。先輩として締めるところは締めたり、色々と気遣いをする必要があって、もちろんそれも勉強になるのですが、今回は全力で体当たり出来る、絶対に受け留めてくださる先輩方ばかりの現場なので、可愛がっていただけるように、自分にできることをしっかりやって、当たって砕け尽くしたいと思います。」

蒼木 「とにかく嬉しいですね。先日『Love Love de Show』も観させていただいたのですが、やっぱりステージに立っていらっしゃる玉野さんを拝見した時に、お芝居をしている時も、踊っているときも、それ以外のパフォーマンスをされている時も、あふれ出るお人柄を生で感じられて。なんて真摯で演劇に正直な方なんだろうと、より一層大好きになった時間があったので、まだ全貌はわかりませんが、息子としていられるのが幸せです。」

──1年で準備をされるのが大変というお話もありましたが、個人的に、玉子ちゃん(※玉野が『CLUB SEVEN』で演じ続けている、西村直人のニャンコとコンビのキャラクター)に飴ちゃんをもらいたい!が悲願なので、そのチャンスが早く巡ってくるのが嬉しいのですが。

玉野 「そう言ってくださるように、『CLUB SEVEN』はお客さんが演目を決めているところがあるんですよね。本当は僕が創るんだから『50音順ヒットメドレーは今回はやらない』と言ってもいいはずなんですけど……」

──それはダメです。

玉野 「でしょう?絶対ダメでしょう?(笑)だから『CLUB SEVEN』ってもう一人歩きしているんです。50音順ヒットメドレーはあって当たり前、玉子とニャンコも出てきて当たり前、義久のツタンカーメンもあって当たり前となっていくと、もう新作が入らない、という(笑)。」

──すみません、飴ちゃんがもらいたいとか申しまして。

玉野 「いやいや、嬉しいんですけれどね。「待ってました!」と言われる作品ってなかなかないので。僕は吉本新喜劇の人たちとも仕事をしたことがあるんですが、彼らがすごいのは必ず持ちネタがあって、それをずっとやり続けても面白いことで。」

蒼木 「確かにそうですね。」

玉野 「同じものをやって面白い、とにかく自由に動いているから「サス(ライト)を落とすのでここに立って下さい」って言うと「えっ?立ち位置を決めなきゃいけないんですか?」と驚かれるくらいなんだけれど、こと定番の笑いとなるとタイミングや空気感を毎回寸分違わずにライブでやるんです。あれが本当の笑いだなと思っていて。『CLUB SEVEN』とその感覚はすごく似ているので、ミュージカル界の吉本新喜劇と言えるような存在になったらいいなと。」

──既に『CLUB SEVEN』というひとつのジャンルだなと感じるので。

玉野 「それは本当に嬉しいです。だからこそ定番のものも大事にしつつ、二人にはツッパリもやってもらいますし。」

内海 「また新情報が!」

蒼木 「色々パズルのピースがハマってきますね。」

玉野 「新しいことにチャレンジしてもらってね。レジェンド連中は20何年一緒にやってきているから、彼らが創る空気感には本当に安心感があるし、失敗しようがない、したとしてもそれをちゃんと回収して笑いにしてくれるから、もう自由にぶつかってきて欲しいですね。」

内海 「玉野さんとはステージ上でご一緒することが今回初めてなので、それがすごく楽しみなことですし、陣君とも、久しぶりの共演なので、どんな化学反応になるのかというのもすごく楽しみです。何よりこの作品はライブコンサートと演劇の狭間というか、緊張感もありつつ、楽しむところは全力で楽しむ、その緩急をお客さんと共有する瞬間がとても繊細で。その生ものの部分を僕も楽しみながら、また新しい自分をお見せできたらいいなと思います。」

蒼木 「稽古のなかでお芝居、歌、ダンスとクリアにしていかなければいけないことはたくさんありますが、一つひとつに真摯に向き合い、本番で起こったことに素直に反応できる、その瞬間を楽しめる状態にもっていけるように、先輩方とたくさんコミュニケーションをとっていきたいです。土台創りをしっかりできるように稽古を積み重ねていけたらいいなと思います。」

玉野 「レジェンドチームがみんないい歳になってきたので、まず怪我のないようにしっかり創っていきたいですし、若手二人が新しい風を吹かせてくれることで、どんな化学反応が生まれるのかを楽しみに待っています。また新しい『CLUB SEVEN』ができると思うので、是非楽しみにしていて下さい!」

(取材・文・撮影/橘涼香)

公演情報

『CLUB SEVEN another place II』
脚本・構成・演出・振付◇玉野和紀
出演◇玉野和紀 / 吉野圭吾 / 東山義久 / 西村直人 /
原田優一 / 内海啓貴 / 蒼木陣 /
北翔海莉 / 妃海風

10月4日(土)〜14日(火)東京・有楽町よみうりホール
10月24日(金)・25日(土)大阪・サンケイホールブリーゼ

前回公演のレポートはこちら

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