カンフェティスタッフたちによる不定期連載企画
「カンフェティ エンタメ盛り上げ隊」
「少しハードルが高いけど、一度は観に行ってみたい……」
そんなふうに長年思い続けているジャンルはありませんか?
あなたのそんな気持ちをカンフェティスタッフが後押し!
そのジャンルを長年愛するスタッフが、おすすめポイントを語ります。
一歩を踏み出すきっかけとなりますように!
前回の記事では、能・狂言の楽しみ方や魅力、ミュージカル演劇等との共通点について自由に語りましたが、能楽についてもっと知りたくなったスタッフ一同、能楽堂の体験イベントに行ってきました!
【今回の参加者】
能楽体験の流れ
・はじめに
・ 能『小鍛冶』とは?
・能面・装束・道具に触れる
・謡(うたい)体験
・いざ、能舞台へ
・仕舞『小鍛冶』の実演/おわりに
今回参加したのは、東京ドームがある水道橋駅(東口)から徒歩3分の宝生能楽堂で行われた体験イベント──【大人のための能楽体験】舞い、謡い、物語と出会う──今回のテーマは『小鍛冶』です。
まずは楽屋へ入り、白足袋に履き替えます。
この能楽体験では、テーマとなる演目について能楽師から直接お話を聞いた後、能面・装束・道具に実際に触れて体験します。そして一緒に謡を謡い、最後は舞台上で舞の型も体験できます!
今回、解説と体験を担当してくださったのは、宝生流シテ方能楽師の鶴田航己(つるた こうき)さん・石塚尚寿(いしづか なおとし)さん・松田脩(まつだ ゆう)さんです。(写真左より)
能『小鍛冶』とは?
まず、『小鍛冶』ってそもそも何の話?
時は平安時代。
夢でお告げを受けた一条天皇の命令によって、勅使の橘道成が刀匠・宗近のもとを訪れ、剣を打つよう命じました。
しかし、剣は二人で打つものなので、宗近はその相手――相槌がいなくて悩んでいました。氏神の稲荷明神に参拝したところ、一人の童子が現れました。
童子はなぜか剣を打てという命令を知っていて、宗近に昔の霊剣草薙や日本武尊の話を語り、「きっとあなたはそのような素晴らしい剣を打つことができます。相槌を務めるから、待っててね」と言って消えました。
家に帰った宗近は大急ぎで剣を打つ準備をしました。
祭壇に上がり、祈りを始めると、そこに稲荷明神が現れました。
先ほどの童子は、なんと稲荷明神の化身だったのです…!
宗近と稲荷明神が力を合わせて打った剣は、
名剣――「小狐丸」
体感したい方はぜひ正面席を、少し間近で観たかったら脇正面を。
席を変えてリピートしたいですね(これも楽しみの一つ!)
能面・装束・道具に触れる
物語について説明いただいた後、ついに…実物体験です。
参加人数は20人ほど。3箇所に分かれて順番に回って体験します。
①能面
当日見せてもらった能面は6つで、まず『小鍛冶』で実際に使われる3面(写真左より):
・童子(どうじ)
・小飛出(ことびで)- 稲荷明神役。目が大きく飛び出し、口を大きく開いた迫力ある面
・大飛出(おおとびで)- 小書*1 が付く際に使用
そして、体験用の3面:
・小面(こおもて)
・平太(へいだ)
・中将(ちゅうじょう)
小飛出は動物や狐など「地」の霊を、大飛出は「天」に飛ぶ神を表現するという解釈もあるとか。
*1 小書:演目名の横に小書が付くと、普段と違う演出があります。『小鍛冶』では「黒頭」「白頭」などがあり、本来の赤いかつらが黒や白に変わります。一部演出も異なります。
能面体験では、なんと実際にかけることができます!
②装束
ここでは、武将や鬼神の力強い役に使用する法被(はっぴ)と、平安時代の武官や公家が着用する長絹(ちょうけん)を実際に羽織ることができます。
③一畳台で剣を打つ
参加者は稲荷明神役で、宗近と力を合わせて剣を打ちます!
謡(うたい)体験
能面、装束、一畳台での体験の後は、実際に声を出す「謡い」の体験です。謡いとは、能の詞章に節を付けて歌うことです。
「童男壇の上に上がって。宗近に参拝の、膝を屈し~」
いざ、能舞台へ
『小鍛冶』と能について理解を深めた後は、いよいよ能舞台へ!
揚幕を通る前の空間は「鏡の間(かがみのま)」と言います。出番を待つ場所で、大きい鏡が置いてあって、シテ(主役)はここで能面をかけて、気持ちを整えます。
舞台では、型―例えば、喜び・悲しいを表す動き―を体験しました。
能舞台の後方に設置された鏡板には、老松の絵が描かれています。この鏡板についてですが、神様が客席側の松に影向(降臨)された際、鏡のように映し出されたものが鏡板という説もあります。
ほかに、『道成寺』という演目のためだけにある装置もあるので、詳しい説明はぜひ、体験の際に聞いてみてください!
(『道成寺』について、前回の記事では忘れられない公演の一つとして取り上げました)
能舞台について、ほかにも色々ご説明いただきましたが、当日実際に体験していただく際の楽しみを残しておきます!
仕舞『小鍛冶』の実演
最後に、『小鍛冶』の仕舞を鑑賞。
こちら、上演中は撮影・録画禁止なので、ぜひご参加して体験してみてください。
この能楽体験イベントは8月も開催!
能が初めての方も安心してご参加できます!初心者の方にこそ体験していただきたい、能の奥深い世界。一歩足を踏み入れてみませんか?きっと新しい発見があるはずです。
「能の中でも“最恐ホラー”のひとつ――『黒塚』を題材にした”大人のため”の能楽体験」
追われる修行僧たちと、鬼となった老女――
人の情と鬼の執念が交差する、深く切ない物語。
そして、能楽の中でもひときわ“怖い話”として知られる『黒塚』。
今回はこの“能のホラー”を題材に、謡と舞の型を実際に体験しながら、
物語の世界を身体で感じてみませんか?(能LIFE Onlineより抜粋)
日時:2025年8月30日(土)14:00開始(15:30終了予定)
会場:宝生能楽堂(東京都文京区/水道橋駅 徒歩3分)
参加費:税込3,300円
公式X:https://x.com/hoshokai159/status/1949016844125569421