色とりどりの花を見てきた2人が大輪の“ひまわり”を咲かせる BSP『織田信長』松田岳×新正俊インタビュー

色とりどりの花を見てきた2人が大輪の“ひまわり”を咲かせる BSP『織田信長』松田岳×新正俊インタビュー

 BSP(ブルーシャトルプロデュース)の新作公演『織田信長』が2023年2月~3月に東京・大阪にて上演される。BSPはブルーシャトルと、その母体となる劇団ひまわりに所属するタレントたちを中心に、歴史の1ページに生きた男たちの物語を、磨き込まれたダンス・アクションで構成、エンターテインメント演劇として上演するシリーズで、今作は10周年を記念した節目の公演となる。主演・織田信長を演じるのは、2012年にBSP公演が始まって以来、ずっとその中心にいる松田岳。そしてのちの将軍・徳川家康を演じるのは、今、2.5次元舞台で頭角を現している新正俊だ。先輩後輩でもある2人の関係性が垣間見えるインタビューをお届けする。

―――主演の松田さん演じる織田信長はもちろん、新さんの演じる徳川家康も大河ドラマの影響で注目が集まるかと思います。今作のBSP『織田信長』における2人の役どころ、演じる役の印象を、改めて教えてください。

松田「今作では織田信長の人生を、かなり長めな時系列で描いています。織田信長は“第六天魔王”・“支配者”というイメージがあると思うのですが、調べていくとまた違った一面も多く出てきて、脚本・演出の大塚さんもその部分を大事にされているなという印象を受けました。信長の色々な表情を出していけたらいいなと思っています」

新「信長が生きている時代の徳川家康の話は、実はほとんど史実になくて、皆さんもやっぱり信長が亡くなってからの江戸時代の印象の方が強いのではないかと思います。なので、信長が亡くなる以前の家康をどう演じるべきかを常に考えていますね。大塚さんからは『史実にないから、逆に自分で解釈していいよ、好きに料理してもいいよ』というようなことを言っていただいて、自分なりに試行錯誤しているところです。
 BSPに出るのは2~3年ぶりになるので、『新正俊、いい感じに変わったな……』と思っていただけるように頑張ります」

―――歴史上の人物を演じるとき、史実ももちろん調べると思うのですが、他に意識してること、参考にしてるものなどはありますか? おふたりは普段、2.5次元舞台にも出演されていますが、原作もののキャラクターの作り方と違う部分があったら教えてください。

松田「あります? 2.5次元俳優の新正俊さん?」

新「いやいや、松田さんの方が2.5次元俳優歴は長いじゃないですか(笑)! うーん……。僕としては、2.5次元だとしても、BSPだとしても……違いはないかもしれないです」

松田「僕も……違いはないですね。台本と向き合って、役と向き合ってというのは変わらないので。
 歴史上の人物って、教科書や色々な作品を通して形成されたイメージもあるので、もはやアニメのキャラクターみたいなところもあって。いわば“別次元の人”で、2次元のキャラクターに近い歴史上の人物を3次元に近づけていくという意味では、BSPも2.5次元舞台と言っていいんじゃないかなって思いますね。どちらにしても演じる役にリスペクトを持って役作りに臨んでいます。
 強いて言えば、キャラクターボイスがないことが大きな違いでしょうか。あとBSPは男性が女性の役も演じることが多かったのですが、今回は女性キャストさんも結構いらっしゃるので、女性は女性で……になりますかね?」

新「そうですね。男性が女性役をやることはないですが、女性が男性役を演じることはありますね」

松田「ね! なので、家族同士のいざこざや、色恋沙汰でこじれていってしまう人間関係がよりリアルに描かれるのではないかなと思います。“歴史”や“史実”というと堅苦しいですが、悲しいけど人類の歴史ってそういう、いざこざの繰り返しなんですよね……」

―――おふたりが思うBSP公演の魅力とは?

新「何だろう……。群舞ですかね? やっぱり」

松田「そうだね!」

新「大人数が舞台上で一緒に踊るというのが、コロナ禍によってあまり出来なかったのですが、今回はそういった制約をなくした公演になります。その中でも群舞はひとつの大きな魅力じゃないかなと思いますね」

松田「All For One……」

新「One For All!ですね(笑)!」

―――“ホーム”であるBSPだからこそ観られる姿、ファンの方に観てほしい姿というのもあるのでしょうか?

松田「いや、どうなんでしょうね……。今、逆にちょっとアウェイな感じもしちゃってて」

新「そんな!」

松田「いや、悪い意味じゃないんだよ。今回は特に信長っていうキャラクターを演じているからこそだと思うんです。信長ってやっぱり名前自体に異質な力があるから、ホームで皆と仲良くっていう気持ちより、圧倒的存在になって、皆を化学反応させていくぐらいの気持ちじゃないといけないなという風に思っているからかもしれないですね。
 今までのBSPを応援してくださっている方にも新しいBSPの変化を楽しんでいただきたいですし、初めて劇場に足を運んでくださる方にも、見たことがないような演出だったり、解釈だったりをお見せできると確信しているので、“BSPだから”というフィルター外して、楽しんでいただきたいなと素直に思える作品です」

―――新さんは松田さんに限らず先輩もいっぱいいる現場だと思いますが、例えば松田さんとは現場でどんなお話をするんでしょうか?

新「そうですね……でもあんまり先輩後輩!というよりは仲間、という感じでもあって……」

松田「芝居の話というより、直近に出ていた他の現場の話をするよね。『A3!』(※MANKAI STAGE『A3!』シリーズ)どう? 楽しい?みたいな」

新「そうですね。近況報告しています(笑)」

―――ここ数年のお互いの印象は改めてどうですか?

松田「新ちゃんは3年前くらいと比べるとすごく伸び伸びした印象になったかもしれないですね。年齢と比例した精神的・肉体的な成長もありますし、BSP以外の現場で経験を積んで、色々な人を見てきたと思うんですよ。
 僕も新ちゃんくらいの歳に沢山の役者さんに出会った覚えがあるんですが、劇団ひまわり出身の役者って、みんな個性豊かで、“ひまわり”っていう色があるというか……。背中にひまわりが咲いているんですよ(笑)」

新「背中にひまわり(笑)」

―――事務所カラーがある、ということですかね。

松田「そう! それが他の事務所の役者さん……、いわば他の花と出会った時に、ああ、こんな香りがあるんだ、こんな色で咲くんだっていう……。そういう広い世界を知って、じゃあ自分が今いる場所で咲くにはどうしたらいいのかと考える。そこでチャレンジ精神が養われたんじゃないかと思うんですよね。
 だから新ちゃんも色々な現場を経験して、きっと視野が広がったんじゃないかなって、生意気な発言させていただくと、そんな風に感じています」

新「ありがとうございます。お世話になった役者の方々はもちろん、ほさかようさんや、松崎史也さんをはじめとした、第一線で活躍されている演出家の方々と出会ったことも自分が変わることが出来たきっかけかもしれません。プライベートでも、お芝居に対しても、昔とは全然違う考え方をするようになったと思います」

―――逆に新さんから松田さんの印象はどうですか?

新「ずっと僕たちのリーダーで、ずっとトップの人っていう印象は変わらないです。真ん中にいるべき人!だと思っています」

松田「嬉しい~! ありがとう!」

新「むず痒いですね(笑)。改めて言葉にするとちょっと恥ずかしい……」

松田「こんな話、普段しないもんね(笑)」

―――ありがとうございます。では、最後に観に来てくださるお客様にメッセージをお願いします!

新「久しぶりのBSP出演ということで、僕がBSP以外で出演させていただいた舞台をきっかけに、今回初めてBSPを観に来てくださる方がいると嬉しいなと思います。
 BSP10周年ということで、これぞBSPという感じの、最高の作品になるという確信が、すでに今の段階であります! ぜひ期待していただけると嬉しいです。
 配信もありますので、劇場に来られない方はぜひ配信で見ていただける嬉しいです。配信は配信だけの何かしらの楽しみ方があるんじゃないかな……」

松田「何かしらね(笑)」

新「(笑)。BSPは、素晴らしい映像チームがいらっしゃるので! というか、僕が知らない間に映像チームが結成されていたことにすごくびっくりしています……。生観劇と映像、どちらでも楽しめるというのは、BSPの素敵なところだと思うので、ぜひ楽しみにしていてください」

松田「今回、大塚さんにお話をいただいた時に、『今作は織田信長の周りの人間が全員信長の首を取りに行く話になる』とおっしゃっていたのですが……。本当に皆が『信長の、松田の首を取る!』という意気込みでくるので、ものすごくエネルギッシュで、前のめりで、パワフルなお芝居になると思っています。
 各登場人物がどのように信長の首を取りに来るのか、またそれぞれの生き様を楽しみにしてくれたらすごく嬉しいですし、お客様もね、観劇しながら僕の首を取りに来るつもりで……」

新「首を取りに行く観劇(笑)」

松田「まさに四面楚歌だ、しんどい(笑)。でも本当にそのくらいの気持ちで来ていただきたいです。
 歴史上の人物なので、結末は誰しもが知っていると思うのですが……。やっぱり信長を演じていると、本能寺の変のシーンは、本当に運命の日なんです。ああ、いよいよこの日を迎えたのかって……。その最期の日に向かっていく信長の物語を、見守ってくれてもいいですし、合戦に参加するつもりで来ていただいてもいいですし、劇場に足を運んで、楽しんでくださればすごく嬉しいです!」

(取材・文&撮影:通崎千穂(SrotaStage))

プロフィール

松田 岳(まつだ・がく)
1992年11月20日生まれ、兵庫県出身。2012年以降のBSP公演で多くの主演を務める。2.5次元舞台でも活躍しており、主な出演作品に、『あんさんぶるスターズ! THE STAGE』シリーズ 乱凪砂役、2.5次元ダンスライブ『ツキウタ。』ステージ【ツキステ。】シリーズ 弥生春役、舞台『Collar×Malice』シリーズ 白石景之役などがある。

新 正俊(しん・まさとし)
1999年9月6日生まれ、大阪府出身。2021年、舞台『魔法使いの約束』シリーズ 賢者(真木晶)役に抜擢された。現在はMANKAI STAGE『A3!』シリーズ 兵頭九門役でも注目を集めている。BSP公演には、2016年『真田幸村』より出演。

公演情報

ブルーシャトルプロデュース『織田信長』

日:2023年2月24日 (金) ~27日 (月) ※他、大阪公演あり
場:渋谷区立文化総合センター大和田 伝承ホール
料:一般9,000円 桟敷席8,500円(指定席・税込)
HP:http://www.blue-shuttle.com/bsp15/
問:ブルーシャトル 公式HP内お公演問い合わせフォームよりお問合せください

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