ある日突然違う世界に転移してしまったとある国の宰相が、そこで冒険者に転身。街で出会った上級冒険者と共に冒険の旅に出る。そして行く先々での出会いや試練を通して不思議な信頼関係を築いていくという『穏やか貴族の休暇のすすめ。』。書籍としてはシリーズ累計75万部(電子書籍を含む)を突破し、「小説家になろう」で3900万PV、原作小説15巻4/20(水)発売、コミカライズ6巻発売、ドラマCDは第3弾を発表するなど様々なメディアで支持されてきたこの物語が待望の舞台化を果たす。
見知らぬ世界に飛ばされていても焦ることなく、むしろ「休暇のつもりで」とマイペースで暮らす宰相リゼルを上遠野太洸。無愛想ではあるものの、リゼルを傍からガードし、冒険旅では最高のパートナーとして活躍する冒険者ジルを新井將というキャスティングで贈るこの舞台。主役となる上遠野、新井の想いを訊いた。
―――『穏やか貴族の休暇のすすめ。』はすでに多くの読者がいる作品ですね。
上遠野「本だけでなくCDドラマ版もあるそうなので聞いてみたいと思っていますが、やはり原作のファンが多い作品は皆さんの中でイメージができあがっているので、なるべくそういったものに叶うようにしたいと思います」
新井「まだTVアニメ化されていない分、読者の頭の中には自由なイメージができていると思います。演出の高橋さんとラジオ番組でご一緒したときに、声やお芝居や演出の隅に至るまで、出来る限り原作やボイスドラマに寄り添って作っていきたいね、と2人で話しました」
―――いわゆる「異世界転移モノ」の作品ということになりますね。
上遠野「最近多いですが、そういった作品は好きですし、「小説家になろう」の作品もよく読んでいました。読みながら仮に自分が転移して新たな人生を送るとしてもここまで上手くいくか、とは思いました。でもゼロからの再スタートは羨ましくもあります」
新井「僕が小学生くらいからラノベ(ライトノベル)のブームが起きたと思いますが、物語の勇者などには憧れがありました。男の子なら皆そうだと思います。でもこの作品は女性のファンが多い印象です」
―――上遠野さん、新井さんがもしも転生するなら?
上遠野「難しいですね。やはり前世の記憶そのままに赤ん坊からやり直したいです。新しい人生のために準備期間が欲しいですから。それで偉くなりたいですね。社長とか。ファンタジーなら王様を影で操る人とか(笑)。」
新井「頭も容姿もこのままでいいから、まさにジルのような黒い剣士ですね。黒づくめの姿で前の世界の記憶を持ちながら活躍する」
―――ジルだと現代に当てはめればヒットマンになっちゃう(笑)。
新井「ヒットマンはちょっとねぇ(笑)。まあ強い存在ということで」
―――本来の国で宰相として王に仕える貴族のリゼルと、転移先で初めて出会う上級冒険者のジルは、だんだんと深い信頼関係で結ばれていきます。そんな関係性をどう思われますか。
上遠野「信頼関係としては理解できますね。僕自身友人も地元に幼なじみがいますから。でも物語まで深い関係ではありませんが」
新井「幼なじみとか学生時代の友人とはちょっと形が違って、目的があってお互いに利害が一致したので冒険にも出られるのでしょう。僕達だと舞台の共演者がそうなるかも知れませんが、それでも短期間で終わってしまうので、二人のような関係が生まれるのは結構特殊かなと思います」
上遠野「でもこの作品の登場人物はみんなお人好しが多いというか、リゼルの人柄がみんなを惹きつけるのもありますが、すぐにそれに染まっていく人ばかりですね。みんな根っこで思いやりに溢れているんでしょうね」
―――ところでおふたりの共演は初めてですか?
上遠野「そうです。座組のメンバーもほとんど初めての人ばかりです」
新井「実は僕、上遠野さんと初めてではなくて。大学生の頃に映画館でアルバイトしていたんですが、上遠野さんが映画の試写挨拶にいらしたときに僕がアテンドさせていただきました」
上遠野「エー? ビックリ!」
新井「だから同じ舞台に立てるのは光栄ですね。特撮も好きで出てらっしゃる作品も観てましたから、今回の共演を知った時にびっくりしました」
上遠野「でも僕は18歳からですから、キャリアは新井君の方が長いかな(笑)」
―――おふたりが舞台でどんな冒険を見せてくれるのか、楽しみですね。
上遠野「コロナ禍がこれほど長く続くとは思っていなくて、僕自身も舞台の中止や機会がだいぶ減りましたが、観客の皆さんもそういった思いをした方は多いと思います。でもこんな時期だからこそ観てもらった時に、平常時以上に楽しめるということもあると思います。劇場にいらっしゃる皆さんにはより強くそう思ってもらいたいです。僕達も舞台に立てていることが奇跡だと思いますので、それを客席と分かち合いたいです」
新井「まだ在宅ワークの方も多いでしょうし、ある意味で閉鎖的な楽しみ方を余儀なくされている中で、一歩踏み出して劇場に来てもらい、この明るくて穏やかな世界に触れてもらいたいです。この舞台を観に来る人は同じ世界が好きな人だと思いますので、皆さんとそれを共有していければいいなと思っています」
(取材・文:渡部晋也)
プロフィール
上遠野太洸(かとおの・たいこう)
宮城県出身。第23回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでのグランプリ受賞をきっかけに、俳優としてTV、映画などに出演するようになる。2014年、ニューヨークの女装バレエ団「グランディーバ」の日本公演にて舞台初主演。さらに同年、『仮面ライダードライブ』で初レギュラーを獲得する。現在はジャンルを問わず数々の作品に挑戦している。
新井 將(あらい・しょう)
東京都出身。主な出演作品はハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!! 』シリーズ、舞台『アイ★チュウ ザ・ステージ』シリーズ、闇劇『獄都事変』、舞台『BRAVE10』シリーズなど。最近ではドイツ映画『スノーホワイト 白雪姫とドワーフの魔法』日本語版DVDにてキリアン王子役の吹替を担当するなど舞台だけでなく声優の仕事にも挑戦している。
公演情報
舞台 『穏やか貴族の休暇のすすめ。 ~新迷宮と貴婦人の結婚~』
日:2022年4月6日(水)~10日(日)
場:CBGKシブゲキ!!
料:S席[前方席・特典ブロマイド付き]8,000円
A席6,500円
※他、平日割引あり。詳細は公演HPにて
(全席指定・税込)
HP:http://tobooks.jp/odayaka-stage/
問:TOBOOKS mail:info@tokyo-stage.com
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