和風喫茶「鹿楓堂」を舞台に、店主・料理人・バリスタ・パティシエのスペシャリスト男子が、美味しい料理や甘味を提供しながら、様々な客の悩みにそっと寄り添う様を描いた清水ユウの大人気漫画が、ミュージカル『鹿楓堂よついろ日和』として初の舞台化を果たす。本作でバックグラウンドが丁寧に描かれていく、店主・スイを演じる二葉要と、演出の原田優一が、作品をミュージカルとして届ける思いを語ってくれた。
―――まず、作品の魅力をどう感じていらっしゃいますか?
二葉「決して派手な事件が起こる物語ではないのですが、小さな優しさが丁寧に描かれていて。鹿楓堂を訪れるお客様が抱える悩みにも、答えを押し付けるのではなく、そこに立ち向かえる勇気を得られるように美味しい料理でそっと寄り添うのが素敵だなと。僕もスイのようにそんな繊細さを持った人間になりたいなと思っています」
原田「いまの言葉が既にスイですよね。人気作品初の舞台化として、ほのぼのとコミカルなところもある原作の良さを、清涼感を持って描いていきたいです。特にこの作品には和菓子やお茶などの風雅な日本文化が描かれているので、それをオリジナルミュージカルとして届け、伝えていけることがとてもいいなと。楽曲も既にほぼできていて、和楽器も使いますが西洋の楽器も意外と作品の世界観に合うので、色々なテイストの音楽もお楽しみいだたけたらと思っています」
二葉「僕自身も楽曲をすごく楽しみにしています。ミュージカルナンバーを通して、キャラクターが胸の奥に抱えている思いを歌にのせて吐露できる、届けられるのがいいですよね」
―――台本を拝見して、想像した以上に歌が多いんだなという印象を持ちました。
原田「そうですね、歌の中でどう表現していくのかというところで、イメージとしてはとてもアナログなミュージカルにしたいなと思っているんです。すべてをマンパワーでやると言いますか、仕掛けも人の手によって行われていくものに。ですから具象よりはちょっと抽象よりの表現、和菓子のような繊細さが出ればいいなと思っています」
―――二葉さんは、ご自身が演じるスイ役をいまの時点でどんな人物だと捉えていらっしゃいますか?
二葉「穏やかで優しい人なんですけど、それだけじゃないと思っていて。まず誰かを変えようとするのではなくて、その人自身が自分らしさに気づけるような空気を作れる人だ、というのを原作や台本を読んでいてすごく感じるんです。そういう人だからこそ働いているスタッフのみんなも、お店に来てくださるお客様もすごく安心感を抱けるんだと思うんですよね。だから自分自身もスイを演じる上で、ただ優しい人を演じるんじゃなくて、しっかりと相手と対話をして、その言葉を受け取って場が動いていくような役創りができたらなと思っています」
―――原田さんは、そんな二葉さんが演じるスイにどんな期待を?
原田「実はお会いするのは今日が初めてで」
―――そうだったんですね!
原田「そうなんです『はじめまして』で。でもこの現場に歩いていらっしゃる姿を見た時に、アーティスト写真で拝見していた、ちょっと尖ったイメージよりずっと優しい柔らかなオーラをまとっていらしたので、あ、スイにピッタリじゃないかと思いました」
二葉「本当ですか? 良かったです! 今回役柄が双子で、実生活でも双子の僕らが演じさせていただくんですけど、スイも僕もちょうど双子の弟で、更に元々持っている雰囲気も兄の勇が八京にハマるし、僕はスイにハマるなと、自分でも思えるんです。八京とスイほどこじれた関係性ではないですけど、でもやっぱり喧嘩してしまったり、結構お互いにぶつかっていた時期もあるので、そういう今まで自分が生きてきた人生と重ね合わせて、役創りに活かせたらなと思います」
原田「おふたりのお写真を拝見していても本当にそっくりですよね。一卵性の双子なんですか?」
二葉「二卵性なんですけど、一卵性なのでは?と思われたくらいよく似ているんですよ。僕も今日、原田さんにはじめてお会いできて、すごく優しそうな方だったのでほっとしています。ご自身も役者として演じていらっしゃる方なので、役者目線での細かいご相談もできるんじゃないかなというのをとても楽しみにしていますので、どうぞよろしくお願いします」
原田「こちらこそ! やっぱりどれだけ準備しても、実際は稽古でキャスト、スタッフの皆さんとディスカッションを重ねていって、はじめて作品としてできあがっていくので、僕も稽古がはじまるのをとても楽しみにしています」
―――そんなキャストの皆さんへの期待はどうですか?
原田「まず原作が漫画ですし、アニメ化、ドラマ化もされている人気作品なので、御覧になる方が物語世界や、それぞれのキャラクターに対して様々なイメージを持たれていると思うんです。ただ今回、原作の清水先生から『原作に寄せることばかりを考えず、役者さんのいいところをキャッチしてください』と言うありがたい言葉をいただけて。もちろん原作への最大限のリスペクトは持ちつつ、ビジュアル面を含め、二葉くんをはじめキャスト陣の素敵な個性も生きる、舞台ならではの作品にしていきたいです。特に今回は様々な出自を持つキャストの方たちが集まってくれましたので、そうした人間性も自然とにじみでるような繊細なお芝居の作り方をしていきたいなと思っています。それこそ和菓子のような、日本の和食のような詫び寂びも感じられる、全部を盛り込んで見せるのではなくて、よく言われる『背中で語る』表現が積み重なってくると嬉しいなと思っていますね」
―――期待がどんどん膨らみますが、この『鹿楓堂』のように、おふたりにとって、ここに行くと安らぐとか、力が得られるパワースポットはありますか?
二葉「実家の近くに大きな神社があって、お祭りはもちろんですが、何するにもまずその神社に子供が集まるという環境だったこともあるのか、未だに大事なお仕事の前など……それこそこのお仕事もそうですけど、まず神社に行ってから出かけるようにしています。明治神宮も大好きで、作品が上演されるCBGKシブゲキ‼も近いので、お参りしてから劇場入りしたりもすると思います」
原田「素敵だね! 僕はいまミュージカルクラスの講師として月に1回長崎に行っているのですが、その稽古場の前が海で後ろが山なんですよ。休憩時間にちょっと海辺までいって深呼吸することで大きな癒しパワーを得られます。生徒さんたちも必ずしもプロを目指している子たちではなくて、すごく純粋にお芝居が好きで『先生、これってどういうこと?』とか方言で訊いてきてくれると、もうね~」
二葉「それはすごいですね」
原田「そうそう、その一方で自分を引っ張り上げてくれるのが日比谷界隈ですね。いまは建替え中ですけど、帝国劇場の9階の稽古場には子供の頃から通っていたので、あの界隈を通ると背筋が伸びるというか。誰に観られているわけではないのに緊張感を持つんですよね。それが仕事に対するパワーになりますね」
―――おふたり共、素敵なお話をありがとうございました。では、改めてこのオリジナルミュージカル『鹿楓堂よついろ日和』を楽しみにされている方たちにメッセージをお願いします。
二葉「作品のなかで、着物やこのお店そのものが甘味のようなもの、という表現があるのですが、その作品を上演している劇場そのものが、皆さんにとっての甘味になっていったらいいなと思っています。お客様との距離がとても近いCBGKシブゲキ‼全体を、鹿楓堂だと思っていただけるような、また来たいなと感じられる舞台を創っていきますので、是非お店に通う気持ちで遊びにきてください!」
原田「いま二葉くんがおっしゃった通りで、客席のお客様を含めて作品の世界に浸って、実際にこのお店があったらいいなという気持ちになっていただけたら。ほのぼのとしたものを持てるこの世界に生きてくださったらという希望をもっております。その為には作品の色や世界観を、本当に深く考えて、丁寧に積み上げていきたいですし、その時間を今すごく楽しみにしているので、我々がどんなお店を構えるのかを、是非皆さんにも楽しみにしていらしていただけたらなと思っています。お待ちしています!」
(取材・文:橘 涼香 撮影:立川賢一)
二葉要さん
「Vaundy『瞳惚れ』
音楽的にもすごく好きな曲ですし、ノリも良く、聴いてる人も心地よく楽しみやすいんじゃないかなと思って歌いますね。この曲に限らず、自分が歌いたい曲というよりかは、一緒にいる友達が楽しめるかどうかが選曲の決め手になることが多いです(笑)」
原田優一さん
「友達であろうが、誰と一緒であっても、必ず歌うのは、『昭和歌謡』です。子供の頃から周りにいる大人達(笑)の影響で、カラオケで歌っていたのは、桂銀淑、テレサ・テン、谷村新司……。渋すぎる保育園児でした。この世に生まれて5年目あたりで『たかが人生、なりゆきまかせ…』なんていう歌詞を気持ちよく歌っており、40年近く経ったら、こういう大人になりました。今もなお、同じように歌っております」
プロフィール
二葉 要(ふたば・かなめ)
大阪府出身。劇団山田ジャパンに所属し、俳優として舞台・映像作品など幅広く活躍。さらに声優・アーティストとしても活動の幅を広げている。2017 年から、双子の兄 二葉勇とTWiN PARADOX(ツインパラドックス)としての活動を開始。9月にワンマンライブが控えている。
原田優一(はらだ・ゆういち)
埼玉県出身。9歳より、テレビ・舞台・映画・ライブなどで活躍。二枚目から個性的なキャラクターまで幅広い役を演じる三拍子揃った逸材として、ミュージカルを中心に活動する一方、近年は演出家としても多くの作品に携わっている。
公演情報
ミュージカル『鹿楓堂よついろ日和』
日:2026年10月16日(金)〜25日(日)
場:CBGKシブゲキ!!
料:12,000円(全席指定・税込)
HP:https://musical-rokuhodo.studio.site
問:上記HP内よりお問合せください
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