指揮者・鍵盤楽器奏者・作曲家として、多彩な活動を続ける鈴木優人。その幅広い芸術性が1つの舞台に結集する特別な公演が、すみだトリフォニーホールで開催される。今回の公演では、オルガン独奏とオーケストラ指揮という2つの役割を鈴木が1人で担い、彼の音楽家の幅広さに触れることができる。
「これまでもオルガンを演奏した後にオーケストラを指揮するという経験はあったのですが、今回のようにオルガンとオーケストラを同じ比重でという公演は初めてです。お話をいただき、“ぜひやってみたい”と思いました」
今回の試みだけでなく、新日本フィルハーモニー交響楽団との共演、ホールのオルガンを弾くのも初めてだという。
「私にとって“3つの初めて”が重なる特別なコンサートになりますね。新日本フィルハーモニー交響楽団のみなさまは、しなやかで柔軟な演奏をされるオーケストラだと感じています。以前、父の指揮で演奏されていたメンデルスゾーンの交響曲 第5番《宗教改革》が素晴らしかったことは今も覚えております。ご一緒させていただけるのがとても楽しみです。すみだトリフォニーホールのオルガンは少し試弾しただけなのですが、堅実で堅牢な印象を受けました。今回の楽曲との相性はとてもいいと思います」
今回のプログラムは、前半でバッハの《前奏曲 ホ短調 BWV548》、ブラームスの《11のコラール前奏曲 作品122》、そしてバッハの《フーガ ホ短調BWV 548》が演奏され、後半でブラームスの《交響曲 第4番 ホ短調 作品98》が指揮される。
「ブラームスの交響曲 第4番にはバッハのカンタータのフーガが引用されていますし、同じホ短調で書かれているバッハのフーガを合わせるのが自然だと思いました。またこのバッハは、子どもの頃、父がオルガンを弾く際に譜めくりをしながら何度も聴いた思い出の曲でもあります。ブラームスのオルガン作品はどれも質が高く、抜粋が難しいため全曲演奏することにいたしました。ブラームスの第4番は、期待・祈り・歓喜・対位法が凝らされた変奏が続く“音楽のフルコース”のような作品です。バッハとブラームスの関連性も感じていただける公演になると思います」
鈴木優人の新たな挑戦と、新日本フィルが紡ぐ重厚な響きが交差するこの一夜は、まさに特別な体験となるだろう。オルガンとオーケストラが同じ舞台で呼応する稀有な公演を、ぜひ堪能してほしい。
(取材・文:長井進之介 撮影:Marco Borggreve)
プロフィール
鈴木優人(すずき・まさと)
バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)首席指揮者、関西フィルハーモニー管弦楽団首席客演指揮者、アンサンブル・ジェネシス音楽監督として活躍。読売日本交響楽団の指者/クリエイティヴ・パートナーを2026年まで6年間務めた。国内ではNHK 交響楽団など主要オーケストラと共演し、海外ではハンブルク交響楽団、オランダ・バッハ協会などに客演。2025年、BCJ欧州公演では自身の補筆校訂による、モーツァルト《レクイエム》を7都市で指揮し、同年11月にはパリ管弦楽団との初共演で高い評価を得た。オペラでも『ポッペアの戴冠』、『リナルド』、『ジュリオ・チェーザレ』などを指揮し、新国立劇場『オルフェオとエウリディーチェ』やBunkamuraのモーツァルトシリーズでも話題を呼んだ。録音やメディア出演も多く、作曲・編曲、バッハ作品の復元など活動は多岐にわたる。東京藝術大学、ハーグ王立音楽院で学び、芸術選奨 新人賞ほか多数受賞。調布国際音楽祭エグゼクティブ・プロデューサー、九州大学・神戸松蔭大学客員教授。
公演情報
鈴木優人×新日本フィル 『Play&Conduct オルガンからオーケストラへ』
日:2026年11月7日(土)15:00開演
(14:15開場)
場:すみだトリフォニーホール 大ホール
料:S席5,500円 A席4,500円
(全席指定・税込)
HP:https://www.triphony.com
問:トリフォニーホールチケットセンター
tel.03-5608-1212
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