第7回韓国ミュージカルアワーズ三冠受賞作ミュージカル『SHOWMAN〜4番目の影武者〜』が2026年8月、新国立劇場小劇場にて日本初上陸を果たす。ハン・ジョンソクによる脚本をもとに、日本版ではシライケイタが上演台本・訳詞・演出を手がけ、作品に新たな息吹を吹き込む。
2020年のアメリカ・ニュージャージー州。独裁者の“4番目の影武者”として生きた過去を持つ老人 ネブラと、過去の傷を抱えながら生きる若い女性 スアの出会いをきっかけに物語の幕を開ける。異なる事情を抱えながら、それぞれが自らの人生を誰かに差し出すように生きてきた2人。“自分とは何か”という普遍的な問いと社会問題を重ね合わせながら描く本作。ネブラとスアが紡ぐ物語を、多彩な役を自在に演じ分けながら、作品の要として物語を支える藤岡正明と福井晶一に本作への思いを語ってもらった。
藤岡「難しい作品で、僕にとってもチャレンジングな作品になりそうです。自分なりにしっかり噛み砕いて、お客様にきちんと届けたいので、今はワクワクというよりプレッシャーに近い感覚ですね。conSeptさんの作品にお声がけいただくのは今回で4作目になります。プロデューサーの宋元燮さんは、社会性やメッセージ性を、エンターテインメントの中に投影することに強い情熱を持っている方。そのメッセージを僕たち一人ひとりがしっかり背負いながら、楽しむべきところは楽しみつつ、お客様に届ける使命感を持って作品づくりに取り組んでいきたいと思っています」
福井「『SHOWMAN』というタイトルを聞いた時は、もっとエンタメ色の強い作品を想像していました。でも台本を読んでみたら全然違いましたね(笑)。人間の奥深い部分に触れなければならない作品だなと感じています。僕はミュージカル作品のオファーをいただく時、『この曲を、この役で歌ってみたい』と思える曲があるかどうかが、お受けする決め手になることが多いんです。今回はソロパートもなく、1人で何役も演じる役どころ。だけど、松岡充さん演じるネブラと潤花さん演じるスアの物語に、少数精鋭のキャストが様々な形で関わっていくというスタイルが面白そうだと感じていますし、『面白い芝居が作れそう』という予感があります」
―――本作では「マルチマン」として活躍する2人。韓国作品で多用される、1人の役者が複数の役を演じわけるマルチマンをどのように捉えているのか。
福井「僕は最近、1人で何役かを演じさせていただく作品が続いていますが、やっぱり切り替えが大変。ただ、今回に関してはマサ(藤岡)と僕、万里紗さん、福室(莉音)さんのキャスト4人がこの韓国作品で、マルチマンとして演じ分けていくこと自体が重要なテーマでもあり、物語の鍵になってきます。マサに教えてもらいながら(笑)、やっていければ」
藤岡「いやいや(笑)。僕も韓国作品だと『SOMOKE』や、conSeptさんの『いつか〜one fine day』などに出演させていただきましたが、マルチマンとして挑戦するのは初めて。オファーをいただいた時点では、役替わりについて深く考えていなかったのですが、福井さんが仰られているように韓国作品において、マルチマンは重要な役どころです。僕が演じさせていただく中で核となる役は、ネブラを影武者に仕立てる幹部役ですね。日本では“影武者”って言うと、リアリティがないものだけど、世界にはきっとあるものだと思うんです。だからこそ、この作品を絶対にファンタジーにはしたくない。様々なシーンで『(本当に)あるんだな』という、リアリティを少しでも追求できたらと思っています」
―――共演する松岡充さん、潤花さんの印象をお聞かせいただけますか。
藤岡「松岡さんとはご挨拶の機会はありましたが、今回が初共演です。スターでありながら、本当に周囲に寄り添ってくださる方だと感じています」
福井「僕にとっても松岡さんとは念願の初共演です。実は10数年前に『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』でご一緒する予定だったのですが、僕が体調不良で降板することになってしまって。ポスター撮影の時に、『やっとですね』と松岡さんに声をかけていただきました。潤花さんは明るく、本当にヒマワリのような方です。昨年ご一緒した『二都物語』では親子役でしたが、今回は一転して潤花さん演じるスアをいじめる同僚のロバート役(笑)。観劇されるお客様にはギャップも含めて、楽しんでいただけるのではないでしょうか」
―――最後に観劇される方へメッセージお願いします。
藤岡「現時点での僕個人の考えにはなりますが、この作品は、ご覧になったお客様が『私はネブラだったんだ』、『僕はスアだったのかもしれない』と感じられるような作品になる気がしています。普段生活している中でも、自分が何者なのかわからなくなったり、自分を偽って生きていたりすることってありますよね。そんなことを考えるきっかけになる作品になる予感がします。壮大な何かを期待して、仰々しく観てもらいたいわけではなくて。ちょっとした“自分探し”の感覚で劇場に来ていただけたら嬉しいです」
福井「素敵なキャスト陣が揃いましたし、音楽も相まって、不思議な魅力にあふれた作品になると思います。設定だけを見ると、独裁国家や影武者が登場する、どこか現実離れした物語に見えるかもしれませんが、物語の最後にとっても素敵なシーンがあります。本作の根底には人間として非常に普遍的なテーマが流れています。きっと幅広い世代の方に響く作品になるはずですが、若い世代の皆さんにも是非、観ていただきたいです。劇場でお待ちしています」
(取材・文:山田浩子 撮影:立川賢一)
プロフィール
藤岡正明(ふじおか・まさあき)
1982年12月18日生まれ、東京都出身。「ASAYAN」超ヴォーカリストオーディションを機に2001年にデビュー。2005年、『レ・ミゼラブル』マリウス役でミュージカル界に進出。舞台作品の代表作に、ミュージカル『ミス・サイゴン』、『欲望という名の電車』、『ピアフ』など。自らの演劇ユニット「青唐辛子」では脚本・演出・音楽・出演すべてを手掛けるなどの多才ぶりも見せる。
福井晶一(ふくい・しょういち)
1973年11月8日生まれ、北海道出身。1995年、劇団四季研究所へ入所。ミュージカル『美女と野獣』、『ウエストサイド物語』、『アイーダ』などで主演を務める。退団後の2013年、ミュージカル『レ・ミゼラブル』ジャン・バルジャン/ジャーベールの2役に抜擢され、バルジャン役は2021年まで演じ好評を博す。近年の出演作に、『PRETTY WOMAN The Musical』、ミュージカル『二都物語』、舞台『太鼓たたいて笛ふいて』、音楽劇『A BETTER TOMORROW -男たちの挽歌-』など。また、キングレコードより「Blessings ~いつもそばに~」「Voce」をリリース。ライブ活動も精力的に行なっている。
ミュージカル『SHOWMAN ~4番目の影武者』
日:2026年9月1日(火)~13日(日)
場:新国立劇場 小劇場
料:一般席12,800円 バルコニー席11,800円(全席指定・税込)
HP:https://consept-s.com/showman
問:サンライズプロモーション tel.0570-00-3337(平日12:00~15:00)
20名限定! 一般席12,800円 → 12,800円 +カンフェティポイント付き