精鋭たちが贈る、愛と裏切り、そして赦しを描く物語バレエを代表する作品をもう一度深く見つめ直して

 クラシックバレエの代表作『ジゼル』。村娘・ジゼルと貴族の青年・アルブレヒトを中心に、愛と裏切り、赦しを綴った物語を、NBA バレエ団が芸術監督・久保綋一の新演出を加えて上演する。山田佳歩は公演2日目にジゼルを。相手役となるアルブレヒトは新井悠汰と刑部星矢が踊る。役と向き合う上で抱く気持ちを聞いた。

山田「『ジゼル』はバレエの中でもまさに“ザ・古典”の作品ですが、演技力が必要な作品だとも思います。それも陽気な演技じゃなくて“陰”の演技。それがまたお客さんの心を打つのでしょうね」

刑部「僕は『ジゼル』が大好きで、今回アルブレヒトを踊れるのが嬉しくて嬉しくて(笑)。もうこれで踊りをやめてもいいと思うほどに満足しています。1幕で出てきたところから、2幕の懺悔のシーンまで、色々な心の動きが表現できる、すごくドラマチックな作品ですから」

新井「『ジゼル』の全幕でアルブレヒトを踊るのは初めてなので、色々なことに挑戦したいですね。演技や表現、テクニック。音とマッチして動いたり演技したり。そういうのも大事にしていきたいです。僕の大好きな2幕の最後。ジゼルの赦しを得て別れる場面で、裏切ったもののアルブレヒトはジゼルを愛していた。そんな部分も観て感動していただきたいと思います」

 『ジゼル』は山田が言う通り“ザ・古典”のバレエだが、その中でもどんな位置にあるのか。見どころと共に聞いてみる。

山田「たとえば『白鳥の湖』だと4幕まであってすごい長い。でも『ジゼル』は2幕で完結するので、多分初めてバレエを観る人でも入りやすい作品だと思います」

新井「1幕だとみんなでテンポ良く踊るシーンとか収穫祭のシーンとか」

刑部「若いペザント(踊り上手な農民たち)のカップルが踊るシーンなどはメインになるシーンですね。まぁ『ジゼル』は予備知識がなくてもわかりやすい作品ですよ」

山田「マイムとかもわかりやすいしね」

刑部「そうそう。だから感情移入もしやすいんだよね」

新井「2幕だとウィリ(精霊)たちのコールド(群舞)なんかは技術的にも大変な部分ですね。合わせないといけないし」

山田「そうですね、あそこはアラベスクから止まって動かないんだけど、それをみんなで揃えなくちゃいけない。1 人でもズレてしまうと目立ってしまうので、気が抜けないですね」

(取材・文&撮影:渡部晋也)

プロフィール

山田佳歩(やまだ・かほ)
長野県出身。2017年、リヨン国立高等音楽・舞踊学校に首席で飛び級入
学。2019年より同校、Jeune Ballet(ジュニアバレエ)に所属。卒業後の2021年にNBAバレエ団入団。2023年2月にソリスト、4月にファーストソリスト、12月にプリンシパルに昇格。

刑部星矢(ぎょうぶ・せいや)
東京都出身。清水哲太郎に師事。2007年、松山バレエ団に入団。全ての演目に出演。2015年、ルドルフ・ヌレエフ版『眠れる森の美女』で森下洋子のパートナーを務め、以来、4年にわたり森下洋子の相手役を務める。2019年、同バレエ団を退団し、NBAバレエ団にソリストとして入団。2020年、刑部・小林バレエスタジオを開校。後進の指導も行っている。

新井悠汰(あらい・ゆうた)
埼玉県出身。3歳よりバレエを始め、腰塚なつ子・山崎由香子に師事。2015年、NBAバレエ団入団。2019年、ファーストソリストに昇格。現在はプリンシパルとして活躍。

公演情報

NBAバレエ団『ジゼル』

日:2026年8月29日(土)・30日(日)
場:新宿文化センター 大ホール
料:SS席[アフタートーク付]12,000円 S席10,000円 A席8,000円 B席3,000円(全席指定・税込)
HP:https://nbaballet.org 
問:NBAバレエ団 mail:ticket@nbaballet.org

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