見えるものと見えないものが紡ぐドタバタコメディ 今年もシモキタの夏を熱くする! 感謝と笑いを込めた25周年記念公演

 毎年夏に下北沢で公演を続けるエンターテインメント風集団 秘密兵器が、2001年の旗揚げから今年で25周年を迎える。最新作となる第32回公演『どんでん―私、反省期―』のテーマは、“見えるもの。見えないもの”。
 “見えないものは見たくない”元売れっ子歌舞伎俳優と、“見えるものは見ていたい”量子力学研究の女性学者を中心としたドタバタSFファンタジー喜劇。
 W主演を務める新實啓介と川村あい、共演の今川宇宙に話を聞いた。

―――本作が、25周年記念公演という節目の舞台でもあります。まずは立ち上げメンバーの新實さんに、この25年を振り返っていただきたいと思います。

新實「25年を振り返ると、私がこの世に生を授かり、(インタビュー)前日で52歳を迎えたわけですけども」

川村・今川「おめでとうございます!」

新實「ありがとうございます! 52年の人生の中での25年を仲間と共に歩んできたというのは、私の中ではかけがえのない財産であって、立ち上げメンバーの五十嵐さん、三浦さん、岩田さんと一緒に、何かのことを追いかけてきたというのは、人生の中でこのメンバーしかいないというのを改めて思いましたね。
 今まで秘密兵器公演を観に来てくださったお客さまをはじめ、家族、今まで携わってくださった仲間のみなさま、そして今回一緒にやってくださる仲間のみなさまに対する感謝しかない。改めて今感じております」

―――新實さんにとって、この25年は長く感じましたか? それともあっという間でしたか?

新實「長く感じていないですね。あっという間に気づいたら25年経って、『あ、そうか。もう25年も経っちゃったんだ』という心境です。25年前のことを思い出すといろんなことが出てくるんだと思いますけども、特に歳を取ってからは本当に早かったです」

―――歳を取る度に月日が過ぎるペースが速くなると言いますし、コロナ禍になってからもう6年経つんですよね。

新實「そう! 2019〜2020年がついこの間のような感じですけど、ちょっとびっくりですよね」

―――今回、ゲストという形で川村さんと今川さんが出演ということになりますが、まずこの出演のお話が来た時はどのような心境でしたか?

川村「一瞬、えっ?と疑っちゃいました。岩田さんから『今回W主演でやりませんか?』とお声がけいただいたんですけど、今まで主演の経験がなくて、本当に私で大丈夫なのかなと思いました。
 岩田さんとは1回共演したんですけど、あまり舞台上で絡む機会がなくて。ただその時に演じた青森弁を話すアイドルの役作りで、必死に方言や振りを練習していたのを見てくれていて。『執着心のある、1つの事しかできないような役をやってもらいたい』というお言葉をいただきました。今回は尊敬できる岩田さんと舞台上でご一緒することが叶うので、とても嬉しいです」

今川「私は、元々岩田さんと『大人の麦茶』という劇団に入っていて、在籍時に何回かお声をかけていただいたんですけど、なかなかタイミングが合わなくて。今回ようやく出演することができてワクワクしています。
 実はコメディに苦手意識があって、どうしたら面白く人を笑わせられるんだろうと、今まで役作りとかする中でも悩むことが多かったんです。今回、岩田先輩にビシビシ鍛えてもらって、最強のコメディエンヌになってやろうと思っています!」

―――今回演じる役と、ご自身と似ている部分があれば挙げていただきたいと思います。新實さんは、運やエネルギー量を人の数倍以上保有する“見えないものは見たくない”タイプで、輝けば輝くほど周りに不幸が生まれることに気づいて、いつしか輝くことを諦めてしまう元売れっ子歌舞伎俳優を演じます。

新實「今回のテーマが“見えるもの・見えないもの”で、岩田さんから見えるものと見えないものに関する質問をされて、『もし見えるものがあったら見たいし、見えないものがあったら見たくない』と言ったんですよ。
 昔はものすごく見たいものがいっぱいあったと思うんですよ。それがある程度歳を重ねていくと、『あの人の腹の中はどうなってんだろう』、『あの人は何を考えてんだろう』とか、ただでさえいろいろなことが気になってしまうんです。
 だから今では寝ている時が一番幸せで、見えていないから人と触れ合えるのかなと思ったりするので、今回演じる役とすごく似ているなと感じます。それに見得を切ることによって、疫病神が吹き飛ぶぐらい自分に幸運がつくという設定も似ていて。
 昔、幽霊がいる部屋に住んでいて、家賃も他の部屋より安くて、いわくつきの物件だったんです。ところが僕がいつも大声だったこともあって、その幽霊が出て行っちゃって(笑)。きっとそのエピソードも知っていて、今回の設定になったのかなと思います」

―――川村さんは、新實さん演じる元売れっ子歌舞伎俳優の大ファンという“見えるものは見ていたい”タイプで、執着の塊であり、誰かの為になりたいと願う量子力学研究の学者を演じます。

川村「私が演じる量子力学の学者さんは、たぶん“全部見たい”という役柄です。“全部見たい”ということに関して、私は理解できないですけど、きっと彼女は寂しがり屋じゃないかなと思っていて。なので私も寂しがり屋という点では似ています。それに、好きになったらとことん好きになったり、執着したりするところもすごいリンクしているなと思いました」

―――今川さんは、独創的かつサブカル系で“見えるものを見たくない”タイプであり、実は見えているけど見えてないふりをしていて、元売れっ子歌舞伎俳優に近づく空想しがちのキャラクターを演じます。

今川「根本的に私が演じる役は、“見えないものが見える人”なんですよね。私は霊感は全くないですけど、小さい頃からめちゃくちゃ妄想家で。永遠に見えない友達を頭の中に作り出して、“見えたらいいな”と今でも思っているくらいなので、割と正反対なのかなと思っているんですけど、他のプロフィールを見ると、音楽をやっているとか、クリエイター気質で没頭型人間というところは似ていて。なので“めっちゃ見たい自分”と“見たくない登場人物”とのギャップを楽しもうかなと今は思っています」

―――このインタビューの数日前に顔合わせと本読みがあったそうですが、座組の雰囲気はいかがでしたか。

川村「私は別のお仕事で顔合わせには参加できず、ビジュアル撮影の時に初めて今回の座組とご挨拶しました。撮影場所の扉を開いた瞬間からウェルカム感がすごくて。『家族ですか?』と聞いちゃったくらい、アットホームな雰囲気がすでにあったんですよ。五十嵐さんに『座員のみなさんは、毎日一緒にいらっしゃるんですか?』と聞いたら、『いや、本当に久しぶりにみんな集結したんだよ』とおっしゃって。全然そんな風には感じなくて、毎日一緒にいるかのようなオーラを感じました。撮影中もみなさん本当に楽しく接してくださって、つい思い出し笑いしちゃうんですけど。いい意味で、みなさん少年心がお有りで、まるで学校にのような雰囲気でした」

新實「素晴らしい座組ですね。人間が素晴らしいというか、人が良いというか。ズバリ“良い人”。メンバー以外の方とは深くお話していませんが、本当に人が良いというのが滲み出てくるんです。メンバーもちろん、ここにいる川村さんと今川さんをはじめ、吉川茉優さん、沖拓郎さん、藤木蜜さん、YUNAさんといったゲストのみなさんも人間が素晴らしいなと一番感じました」

今川「秘密兵器のメンバーの方々は、別の舞台で共演したことがありましたが、言葉選ばずに言うと、一堂に会すると、こんなにうるさいのか(笑)。
 まるでギャルみたいにすごいスピードでコミュニケーションを取りながら、超楽しそうにしていて、しかも面白いもの作ることに対するテンションが高すぎて。私も負けないようにエネルギーを出さなきゃと思いましたし、本当にエネルギーがある座組だと思いました。
 本読みでは、メンバーが五十嵐さんの脚本の意図をすぐに汲み取って、『本当に本読みですか?』と言いたくなるくらいスッと役に入った時、超かっこよくて痺れました」

―――本作の見どころや注目ポイントを教えていただきたいのですが、新實さんには何度も秘密兵器公演をご覧になられている方向け、川村さんと今川さんには初めて秘密兵器公演をご覧になられる方に向けにそれぞれ挙げていただけますか。

今川「実はお客さんとして秘密兵器公演を観たのは1回しかないんですけど、『こういうのもいいな』とか『ここまでふざけちゃうの?』といったように、いろいろな役者さんの意外な一面が見れる場なのかなと思っています。手放しで大爆笑できる舞台はなかなかないですし、いい意味で小劇場の良さが詰まっていて、距離感ももちろんですけど、チャレンジ精神を見られるのはこの団体だけだなというものが必ず見つけられるという点が私のオススメポイントです」

川村「私は役者とは別にグラビアアイドルの仕事もしています。今回はW主演をいただけたので、グラビアで応援してくださるファンの方を今回すごく呼び込みたいという願いがあります。台本を読ませていただいて、本当に面白かったですし、みなさんとお会いした時もエネルギーをすごい感じて。今までの舞台の概念が覆るような、びっくりしてもらえる作品になるんじゃないかなと思っております。グラビアで応援していただいてる方の中には、きっと舞台を知らない人も多いと思うので、舞台って何?という人にもきっと観やすい作品になっていますし、一気に秘密兵器のファンにもなっていただきたいです」

新實「今まで秘密兵器の節目となる公演では、お涙頂戴的なお話になることが多かったんですけど、今回は25周年のお祭り感を出していこうと思っていて。映画『国宝』をリスペクトするような描写も所々あって、所作指導も入ると聞いています。
 とはいっても、初めての方にも、手放しでご自由に楽しんでいただける舞台が秘密兵器だと思いますし、これまで25年やってきて、しっかり作り込ませていただいていますが、素人感もあったりして、今まで通りにテレビを見る感覚で、お茶の間で周りの人とお話ししながら、楽しんでいただけるような雰囲気作りを心掛けていきます。もちろん笑いもあり、その中にちゃんとメッセージや伝えたいこともあって、それをいつも通り伝わるように、一生懸命とやらせていただきます」

―――今回のテーマ“見えるもの・見えないもの”にちなんで、もし1日だけ透明人間になれたとしたら、どこで何をしたいですか?

今川「一番最初に一人暮らしを始めた小さい部屋があるんですけど、そこが本当に好き過ぎて戻りたいんです。もちろん今は別の人が住んでいるので、1日透明人間になって、その部屋に入ってみたいです」

川村「宇宙が大好きで、でも頭がよくないとロケットに乗れないじゃないですか。だから打ち上げのタイミングで透明人間になって、無重力とか宇宙遊泳とかやってみたいです」

新實「透明人間か……。正直犯罪っぽいことしか思い浮かばないですね」

(一同笑)

新實「お金があったら困らないし……。でもそんなことをやったら罰が当たりそうだから、結局悪いことは出来ないですね。こう見えて真面目なんですよ」

―――では最後に、公演を楽しみにされている方に向けてメッセージを今川さんからお願いします。

今川「秘密兵器を今までずっと観てくださってるみなさまも、今回初めて観ていただくみなさまにも、みなさんに『25周年最高だった!』と言っていただけるような公演になるように、熱く熱く稽古を重ねてまいります。夏らしい話だなと思って、ぜひ納涼祭へ行くような気持ちでワクワクお待ちいただければ嬉しいです」

川村「舞台にはこれまで何度か出させていただいたことはありますが、最初に岩田さんの演技を観て、熱意と『こんなに大好きなんだよ』というのがお芝居から伝わってきたんです。それを自分も熱量でお返ししたいと思いますし、いつも応援してくださるみなさんからしてみれば、『これが本当に川村がやりたかったことなんだな』と思ってもらえる作品になったらいいなと思います。本当にお芝居が大好きですし、この劇団さんに出会えたこと運命だと感じてるので、この夏打ち上がりたいと思います!」

新實「素晴らしいファンタスティックなエンターテインメントをお届けできると思います! 素晴らしいファンタスティックなゲストと、我々秘密兵器と、そしてファンタスティックなお客さま、これら全てのエネルギーがパーンと爆発します! 秘密兵器を知ってる方は必ず! 秘密兵器を知らない方も必ず、下北沢「劇」小劇場にお越しいただいて楽しんでください!! 今を生きるエネルギーが全て詰まってます!! その目で確かめに来てください!!!ということで、私が今言ったことは、嘘か本当かわかりません(笑)。なので劇場に足を運んで確かめに来てください!!!! 必ず損はさせません!!!! ぜひ、よろしくお願いいたします!!!!! ありがとうございました!!!!!!」

(取材・文&撮影:冨岡弘行)

プロフィール

新實啓介(にいみ・けいすけ)
1974年7月9日生まれ、愛知県出身。エンターテインメント風集団 秘密兵器の“スーパースター”、“Mr.パッション”として2001年の旗揚げから活動。主な出演作に、『ACT LEAGUE』、ハイブリットエンターテインメント『魔界』安倍晴明役、PV『ふたり道』、『親切紳士』など。

川村あい(かわむら・あい)
1995年6月8日生まれ、静岡県出身。主な出演作に、舞台『放課後戦記2025』、LIVES PRODUCE『ROOTERS ~応援者たち~』、『魔女エステリーゼの事件簿』など。またグラビアアイドルとして、これまで4枚のDVDをリリース。

今川宇宙(いまがわ・うちゅう)
俳優・アーティスト。2016年より演劇の活動をスタート。劇団「よいやみなべ」主催・作演出。父は歌手・俳優の西郷輝彦。また、ナレーションや、歌手として作詞作曲活動を行うなど、幅広い分野で活躍。

公演情報

エンターテインメント風集団 秘密兵器『どんでん-私、反省期-』

日:2026年8月26日(水)~30日(日)
場:下北沢 「劇」小劇場
料:6,000円 U-30[30歳以下]4,000円 学割3,000円 ※要学生証提示(全席自由・税込)
HP:https://www.himitsuheiki.com/
問:秘密兵器 mail:himitsuheiki.swp@gmail.com

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