大人から子どもまで、バレエ初心者に古典バレエの魅力を伝える 殻を破り自分らしいオデット/オディールを踊りたい

 東京バレエ団の「はじめてのバレエ『白鳥の湖』」は、斎藤友佳理団長の改訂演出振付により、昨年8月に初演を迎えた新レパートリー。バレエ初心者も気軽に楽しめるよう古典の見どころを集約し、好評を博した本作が、この夏早くも再演を迎える。

  「バレエダンサーにとって、『白鳥の湖』は憧れであり特別で、配役されたときはもう本当に信じられない気持ちでした」

 そう話すのは、ファーストソリストの金子仁美。昨年の初演で主演に抜擢され、念願のオデットデビューを飾った。

「昨年は私がオデット、長谷川琴音さんがオディールと、2人で踊り分けました。本番はすごく緊張して、今思い返すと、もっとこうすればよかったという部分もあって。お客さまを引きつけるオーラ、白鳥の腕の美しさ、足運びの素早さもそう。あと2ミリ前にいけたら違う自分になれる気がして。今年はよりこだわっていくつもりです」

 この再演では、オデット/オディール両役に配役。オディールは初役で、課題は多いと話す。

 「短縮版といえど、32回のグラン・フェッテやグラン・パ・ド・ドゥなど見せ場が全て入っているので、体力との闘いです。持久力が必要で、さらに演じ分けもしなければいけません。オディールからオデットへの早替えも1分もないくらいで、間に合うかどうか、そこも挑戦です(笑)」

 清楚なオデットと妖艶なオディール2役を1人で踊る。両者の演じ分けは主演の大切な要素であり、大きな見どころとなる。

 「自分らしいオディールを探していけたら。キリッと強さを見せるよりは、エレガントで、それにより王子を誘惑する感じでしょうか。今まで強い役はあまり経験してこなかったので、これも初めての挑戦です。演技面では、なかなか殻を破れないところがあって。殻を破るチャンスをこうして与えてもらっているので、いかに破っていけるか。行き着くところまで行く、というのが今回の大きな課題です」

 通常約3時間あまりの『白鳥の湖』を、本作では約90分に凝縮。大人から子どもまで、初めてバレエに触れる観客にその魅力を伝える重要な役割を担う。

 「作中は道化が語りながら物語を進行していくので、とても見やすく、満足感のある舞台になっています。バレエ初心者の方が多いので、私たちダンサーの責任は大きく、私自身この舞台を重く受け止めています。お客さまにとって、特別な公演にしなければと思っています」

(取材・文:小野寺悦子 撮影:平賀正明)

プロフィール

金子仁美(かねこ・ひとみ)
群馬県邑楽郡出身。6歳よりバレエを始める。2011年、東京バレエ団入団。2012年、子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』で初舞台を踏む。2024年、ファーストソリストに昇進。主なレパートリーに、斎藤友佳理版
『くるみ割り人形』マーシャ、『眠れる森の美女』オーロラ姫、ナタリア・マカロワ版『ラ・バヤデール』「影の王国」のニキヤ/第2 ヴァリエーション/パ・ダクシオン、モーリス・ベジャール『ザ・カブキ』顔世御前/遊女、『かぐや姫』影姫など。

公演情報

東京バレエ団 はじめてのバレエ『白鳥の湖』

日:2026年8月7日(金)~9日(日)
場:めぐろパーシモンホール 大ホール
料:S席 大人7,000円 子ども[中学生以下]3,500円
  A席 大人5,000円 子ども[中学生以下]2,500円
  (全席指定・税込)
HP:https://thetokyoballet.com
問:NBSチケットセンター tel.03-3791-8888(平日10:00~16:00/土日祝休)

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