
様々なパフォーマーやパフォーマンスを応援するための公演やイベントをプロデュースするプロダクションピエロが2022年9月に上演した『黄昏の光』は、同級生に恋をするも思いを伝えられる事が出来ず、ありきたりな毎日を送っていたごく普通の高校生が、個性や癖の強い同級生たちに巻き込まれていく、学生たちの青春を描いた作品。
初演が終わった直後から再演の声が大きかった本作が、約3年半ぶりの再演で、プロダクションピエロ代表の森勇介が初演に引き続き脚本・演出を担当する。
主人公・只野保を演じ本作が舞台初主演の森大地、初演から続投となる仲島愛香役の坪井未来と阿佐見仕沙役の中松ちなみに、再演が決まった時の心境や本作の見どころ、さらにはストーリーにちなんで学生時代の青春エピソードなどを聞いた。
―――まず出演が決まった時の心境を教えていただきたいのですが、森さんは本作が舞台初主演となります。
森「まさかの“主演!?”みたいな気持ちでしたね。主演を演じるからにはみんなと一緒に協力して頑張っていきたいと思う反面、これまで主人公を演じられた方々はどうやってやってきたかなと思ったりして。とりあえず差し入れのお弁当だけ決めておこうかなと」
(一同笑)
森「たくさん考えてこの程度かと思われないようにしなきゃいけませんね。とにかく楽しくみんなと一緒に頑張れたらなと思います。ちなみにお2人はどんな弁当が希望か教えていただけますか?」
坪井「私はお肉です!」
中松「お肉、私も良いと思います。たくさんお肉を食べて力をつけましょう!」
森「いっぱいレパートリーを用意していきましょう」
(一同笑)
―――いきなりのお弁当トークで盛り上がっていますが、坪井さんと中松さんは初演に続いての出演になります。
坪井「初演が本当に楽しかった公演で、キャストのみんなとも仲が良かったですし、作品もすごく楽しかったですし、演じた役もすごい好きで、ファンの方やお客さんからも『すごく楽しかった』や『よかった』といった高い評価や再演の声をたくさんいただいて、いつかやりたいなと思いつつ、叶わないだろうなと思っていたところで、演出の森さんから同じ役での再演のお話をいただいたので、すごく嬉しかったです。
正直、初演の時に高校生の役を演じるのはギリギリだったと思ってたんですよ(笑)。3年半が経って、また高校生の役が出来るかなと思ったんですけど頑張りますし、時間が経っているからこそ、全く同じにするんじゃなくて、新しいメンバーだからこその新しい『黄昏の光』を作るのが、すごく楽しみだなと思っています」
中松「初演が大好評だったのも覚えていましたし、個人的には1人で舞台活動を開始した時に一番最初に出た作品が『黄昏の光』だったんですよ。自分が演じていた役も好評だったので、再演の声をいただいた時はめちゃくちゃ嬉しかったのと、3年半も時が経ってるので『同じ役できるのか?』という不安もありましたが、『同じ役で』と演出の森さんに声をかけていただいた時は、思わずガッツポーズしました」
―――ファンから高評価の声をたくさんいただいたとのことですが、特に印象に残っている言葉は何でしたか?
坪井「愛香と仲が良い白峰彩葉役で今回も共演する永瀬がーなさんがいまして、2人の演技が良かったという声をたくさんいただきました。初演が初共演でしたが、稽古中や本番中だけでなく、舞台が終わってもずっと仲良くて、ファンの中で“みくがな”という愛称が定着するくらい、何度も2人でイベントを開催しました。再演が決まって『みくがなの黄昏の光がまた観られる!』と喜んでくださった方は多かったですね。初対面で演じた仲良し具合と、3年半経った仲良し具合との空気感の違いを感じて欲しいです」
中松「私が演じる阿佐見仕沙は、漢公演限定のキャラで、獄寺悪慈とセットでいることが多いんですけど、私のファンだけでなく、私以外のファンのSNSなどで『仕沙と悪慈のセットがすごい良かった』と多く書かれていて、私のことを知らない人がそう観ていただいているというのは、個人的にはすごい嬉しかったです」
―――新キャストとして出演される森さんですが、台本をご覧になってどのような感想を持たれましたか。
森「再演ということもあって、プレッシャーがすごいです。しかも『普通の人』を演じるのって意外と難しくて、ある意味“挑戦”だと思っています。普段はちょっと明るくてパワフル寄りなところがあるので、そこはちょっと抜くべきなのかなとか思ったりしています。今年7月で29歳になる年齢で、高校生の時は10数年前になりますが、フレッシュな気持ちで普通の人を演じるという楽しみもありますし、皆さんにどう普通の人を伝えるか、稽古期間も含めて頑張っていきたいなと思っています」

―――プロダクションピエロさんの公演は初めての森さんに、坪井さんと中松さんから座組の雰囲気を教えてあげていただけますか。
坪井「初演は、本当に学生時代に戻ったかのようで、文化祭に向けて準備してるみたいな青春でした。稽古が夏だったというのもあって、稽古場でアイスを食べたりして、作品の中はもちろん、稽古外でも仲はメチャメチャ良かったので、楽しい記憶ばかりでしたね」
中松「私が該当しているシーンは男性と一緒にいることが多くて、逆に女性キャストの皆さんと一緒にいる機会があんまりなかったんですよね。頑張ってアクションしているのを観て、『大変そうだなー』と思って観ていた記憶がすごいありましたし、これも1つの青春だなと思って観ていました」
―――ちなみに森さんにアドバイスすることはありますか。
坪井「おこがましいですけど、とりあえずシーブリーズだけ配っておけばいいかなって(笑)」
森「青春ですね(苦笑)。皆さん楽しい思い出ばかりと聞いて、僕も頑張らないといけません」
―――本作は、漢バージョンと乙女バージョンの2パターン用意されています。結末が分岐するような内容が多い中、基本内容だけでなく、エンディングも同じというのが大きな特徴ですね。
森「文化祭の中の視点が変わります。漢バージョンだったら不良騒動の物語、乙女バージョンは文化祭で行われるミスコンでの出来事がそれぞれ描かれます」
―――プロダクションピエロさんのYouTubeで初演の漢バージョンと乙女バージョンのダンス観させてせていただいたんですが、漢バージョンは格好良かったですし、乙女バージョンも素敵なダンスが印象的でした。
中松「漢バージョンは男性陣のダンスがメッチャカッコいいし、ダンスだけじゃなくてカッコいいアクションもあって、女性キャストの人たちみんなが『ワー!』みたいなリアクションをしていました。漢バージョンのダンスと乙女バージョンのダンスは全然違うように見えますが、ストーリーは一緒なので、2倍楽しめると思います」
坪井「乙女バージョンのダンスはめちゃめちゃ可愛かったですし、キャラクター性というかみんなの魅力がすごい出ています。漢バージョンの方は男性のみの出演で、私は稽古中によく観ていたんですけど、めっちゃカッコよくて、ダンスだけでも雰囲気が全然違うので、私も両方とも観て欲しいなと思います」

―――森さんはダンスを得意としているので、楽しみにされているファンの方もきっと多いと思います。
森「僕もずっとダンスと歌をやってきたんですけど、俳優活動は本当にここ数年のお話で、ミュージカル以外でダンスがある舞台は意外と少ないイメージがあって、ストレートの舞台でダンスがあるいうのをずっと待ちわびていたので、『やっと踊れる!』」という気持ちですね。僕のファンの方も楽しみにしてくださっていて、今『BLD(ビルド)』というダンス&ボーカルユニットでも活動をしているんですけど、最近ライブをやってなかったので、『ダンスもあります』と言った瞬間に『絶対に行く!』『ダンスが楽しみだ!』とたくさんコメントをいただきました。ダンスも1つの見せ場として、自分のやりたい気持ちを全面に出していきたいなと思っています」
―――ご自身の見どころや注目ポイントがありましたら教えていただけますか。
中松「今回中学生の役を演じるんですけど、最近は小学生から高校生まで学生の役ばかりで、そして今回が中学生。私自身も『なんで学生役が続くんだろう?』と思ったりして(笑)。本編では癖強いキャラが多い割に、仕沙はどっちかといえば常識人よりというか普通の人寄りではあるので、中学生の割にはちょっと大人びている感はある印象を持っていて、気持ちはフレッシュに演じられたらと思います」
坪井「愛香ちゃんは今もずっと大好きな役で、私が役者としてこの3年半の間にちょっとは成長出来ているんだろうなと信じて演じたいので、ぜひ観て欲しいです。
初演をご覧になった方にも、初演とはまた別物としてさらに楽しんでいただけるようなものを作れたらなと思いますし、漢バージョンと乙女バージョンのメインストーリーが違うことによって、最後は同じシーンなのに見え方が全然変わります。
どちらをメインで観ているかによってというのも見どころだったりするので、ぜひどちらも観てもらって、より素敵な作品を感じていただけたらなと思います。それと保に飛び蹴りをするシーンも注目で、初演では『衝撃だった!』とたくさんコメントをいただきました」
森「飛び蹴りですか! かっこいい!! でもめっちゃ痛そう」
坪井「初演の時は、お互い『ここならいいよ』みたいな感じで練習していました。実際はダメージを喰らっていたかもしれないですけど、『痛くない』とは言ってくれました」
森「助かります! ストーリーももちろん楽しめるものになっていますが、ダンスも1つの魅力として、青春の甘酸っぱさじゃないですけど、その人の青春を思い出しながらでも楽しんでいただけるように、僕も『普通の人』を演じたいなと思っております。皆さん濃いキャラクターばかりで、濃い分、ずっと普通の人を演じる身として、ついつい欲が出てきてしまいそうにはなるんですけど、その欲を抑えて、自分を出しつつも、その役を演じられるように頑張って皆さんにお伝えできたらなと思っております」
―――ありがとうございます。さて本作が学生たちの青春を描いた作品ということにちなんで、皆さんに「学生時代、これに一番青春を費やしたもの」というのを挙げていただきたいなと思います。
森「1つに絞れませんが、器械体操と芸能活動ですね。中学まで野球をやっていましたが、坊主が嫌で『カッコいい部活がいいな』と思って別の部活を探していたんです。すると器械体操部の勧誘で『バク転できます』と書いてあって、バク転出来たらカッコ良くていいじゃんと思って体験入部したら、開始5分でバク転が出来るようになったんです」
(一同笑)
森「当時は怖いもんなしだったんですよ。勇気があれば飛べるんです。結局そのまま本入部して、器械体操を続けながら、17才で芸能の仕事を始めました。ある番組の企画で、野球のイチローさんがキャッチャーを飛び越えた有名なプレーを再現しよう企画があって、他の方はトランポリンを使って挑戦していましたが、僕はトランポリンを使わず、前方2回転ジャンプで成功したんです。それからいろいろと仕事として繋がることが出来ましたし、きっと野球を続けていたら、芸能の仕事はしていなかったと思います。器械体操と芸能は僕の青春でしたね」
坪井「もの凄いエピソードをした後で、話が薄くなっちゃうんですけど(苦笑)。本当に私の青春といったら部活です。実は私も器械体操部で、正直クラスメイトよりも部活の仲間と一緒にいることが多くて、勉強ももちろんやりましたけど、部活があるから勉強も頑張れるみたいなところがあって、何かあったら部活の仲間が助けてくれましたしし、部活が終わって、みんなで近くのイオンに行ってワイワイしたり、バレンタインデーの時はみんなでお菓子を交換したりしていましたし、今回の飛び蹴りシーンや今もアクションが出来るのも器械体操のおかげだと思っています」
中松「私は専門学校に通っていた時が青春でした。元々声優になりたくて、声優系の専門学校に行っていて、発表会や出し物が何回かあるんですけど、授業が終わった後に同級生だけで残っていたこともあって『もっとこうしよう! ああしよう!』みたいな相談を学校が閉まるまでよくやっていました。高校時代はただがむしゃらに部活をやっていたこともあって、今振り返ると専門学校時代が一番めっちゃ青春していましたね」

―――ありがとうございます。では最後に公演を楽しみにされている方に向けてメッセージを中松さんからお願いします。
中松「約3年半ぶりの再演とはなるんですが、メンバーも随分変わってはいますので、初演の時に観た方も、また新しい作品だなと新鮮な気持ちで観てもらえたら嬉しいです」
坪井「本当にたくさんの方が待ち望んでくださっていた再演で、間違いなくパワーアップしてお届けするので、楽しみにしていて欲しいですし、私のような続投メンバーも、本当に楽しみにしていたと思うので、パワーが爆発する作品になるんじゃないかなと思います。新しい『黄昏の光』をぜひ楽しみにしてください」
森「今インタビューしているだけでも、このお2人と喋っているだけでも楽しくやらせていただいています。もっと人数が増えて、楽しくみんなで作り上げていくと思うんですけど、それこそダンスがあったり、ストーリーも青春モノで、皆さんも観て楽しめるものになっていると思うので、キャストみんなで力を合わせて切磋琢磨して、本番を楽しみにしてくれる方に届けていきたいなと思っております」
(取材・文&撮影:冨岡弘行)

プロフィール

森大地(もり・だいち)
1997年7月19日生まれ、福岡県出身。ダンス&ボーカルユニット「BLD」のメンバーとしても活躍中。主な出演作に、ドラマ『すんドめ』年着勝役、舞台『OVER SMILE 2024』バタク役、ドラマ『オトナの授業』渡瀬理人役など。

坪井未来(つぼい・みく)
5月24日生まれ、静岡県出身。主な出演作に、『Identity Ⅴ STAGE』シリーズ 械技師/トレイシー・レズニック役、演劇ユニットACTI☆N!『今時な運命のシンデレラ。』柚村なお役、ぱすてるからっと『てんてん烏と鬼灯の国』鈴李役など。

中松ちなみ(なかまつ・ちなみ)
6月8日生まれ、奈良県出身。主な出演作に、舞台『ひとくちサイズのチョコレートケーキ』木苺恵役、舞台『きみとみた夢』宮本汐梨役、舞台『令和でサムライ』宇喜多御杖役など。
公演情報

プロダクションピエロ 舞台 『黄昏の光』
日:2026年4月8日(水)~12日(日)
場:萬劇場
料:S席[前方2列・特典付]6,500円
特典付6,000円 通常席5,000円
(全席指定・税込)
HP:https://productionpierrot.com
問:プロダクションピエロ
mail:troupepierrotstaff@gmail.com
