
明治~昭和の時代に、日本人初の国際的オペラ歌手として活躍した三浦環。その人生を描く新作オペラ『奇跡のプリマ・ドンナ-オペラ歌手・三浦環の「声」を求めて-』が3月に上演される。相樂和子とWキャストで三浦環を演じる佐藤美枝子は、並々ならぬ覚悟を持ってこの作品に臨む。
「実在した人物の半生を演じさせて頂くのは、オペラ『よさこい節』のお馬さん以来です。実在していた方からかけ離れた人物を演じることはできませんので、プレッシャーを感じます。とりわけ今回の三浦さんは、私たちオペラ歌手の先駆者であり、尊敬する人物です。憧れから来る独りよがりにならないよう、演出家の力を借りながら演じなければならないと、身の引き締まる思いです」
そう語る佐藤自身は、三浦のどんなところに惹かれるのか。
「自分の声の追求、歌に対する惜しまぬ努力とひたむきさ。自分の信念をどんなことがあっても曲げずに突き進む、決意したらやり遂げるその“強さ”に惹かれ、私もそうありたいと思います」
三浦を演じるにあたって考えていることを尋ねると、次のような答えが返ってきた。
「彼女は私たちに貴重な素晴らしい録音を残してくださっています。しかし、私たちが学んでいる声楽的な声というものは、時代によって変化してきていることも事実です。ですので、私なりの声で体現し、皆さまに納得していただけるような歌に仕上げていきたいと思っています。また、三浦環という人物の半生を2時間のオペラの中で演じなければならないので、ヘアメイクや衣裳にも助けてもらいながら演じ分けていきたいと思っています」
キャスト・スタッフ共に最高の布陣で届けられる本作。正真正銘、必見の舞台と言えよう。
「オペラのタイトルとなった書籍に彩りが加わり、素晴らしいと感じていただける作品に仕上がっていると思います。『よさこい節』、『ニングル』でもご一緒した、指揮者の田中祐子さんと演出家の岩田逹宗さんのコンビが、登場人物一人ひとりに命を与えてくださいます。そして、作曲家の渡辺俊幸先生の壮大な中にも流麗な音楽と台詞が一体化され、より立体的な人物像を作り上げてくださいます。天上で三浦環さんが喜んでくださるよう、稽古を重ねてまいります」
(取材・文:西本 勲 撮影:間野真由美)

プロフィール

佐藤美枝子(さとう・みえこ)
大分県出身。武蔵野音楽大学卒業。日本オペラ振興会オペラ歌手育成部第9期生修了後、ローマに留学。第30回日伊声楽コンコルソ第2位。第64回日本音楽コンクール声楽部門第1位、同時に増沢賞、海外派遣特別賞受賞。第11回チャイコフスキー国際音楽コンクール声楽部門第1位。ローマにて「リゴレット」のジルダでデビュー。各地でオペラやコンサートなどに出演し、日本を代表するプリマ・ドンナとして華々しく活躍している。これまでに「ああ、信じられないわ~オペラ・アリア集」など全7枚のCDをリリースしている。第7回五島記念文化賞オペラ新人賞、第9回出光音楽賞、第10回新日鐵音楽賞フレッシュアーティスト賞、第2回ロシヤ歌曲賞、第3回下總皖一音楽賞、第50回ENEOS音楽賞洋楽部門本賞受賞。日本オペラ協会会員。藤原歌劇団団員。武蔵野音楽大学教授、声楽コース長。大分県立芸術文化短期大学客員教授。

日本オペラ協会公演『奇跡のプリマ・ドンナ -オペラ歌手・三浦環の「声」を求めて-』
日:2026年3月7日(土)・8日(日)14:00開演
場:新宿文化センター 大ホール
料:S席20,000円
A席17,000円
B席14,000円
※他、各席種あり。詳細は下記HPにて
(全席指定・税込)
HP:https://www.jof.or.jp
問:日本オペラ振興会チケットセンター
tel.044-819-5550
