劇団創立29年を迎えたONEOR8が紀伊國屋ホールに初進出 ぼんやり苦しい日常を過ごす人たちに、小さな希望が持てる芝居を

 劇団「ONEOR8」が1月に上演するのは『ママごと』。2022年に田村孝裕が劇団テアトル・エコーに書き下ろした本作を、佐藤B作らをゲストに迎え、山口森広などの劇団員出演のもと上演する。

田村「20代の頃から目をかけていただいた方々に、恩返しのような想いで書いていたところもある作品です。家族や結婚をもう少し信じられるお芝居をやりたいと思っていたし、劇団で初めて紀伊國屋ホールに行くので、強力なゲストの方々を迎え、劇団らしい家族劇をやりたいなと。未来に少し不安があり、ぼんやり苦しい日常を過ごしている人たちに、少しでも希望を見出せるような芝居を届けられたら」

佐藤「登場人物全員がやりとりに絡むから、稽古を重ねないと面白くならないということで、大変な稽古になる嫌な予感がしています(笑)。キツい稽古をやるほど面白い芝居になるだろうから、なるべく早く台詞を入れて、台本をよく読んで参加したいなと。ただ最近は怠け癖がついちゃって、手帳に『この日までに台本を覚える』と書くものの、そうはいかないのが人間だね(笑)」

山口「家族以外の人も現れ絡んでいく物語で、空気感などが難しそうだなと感じていますが、B作さんをはじめ客演の方々とご一緒するのが楽しみです」

 田村や山口にとって、演劇界の大先輩である佐藤と共に作り上げる舞台は、学びの場だ。

田村「B作さんは、今回最初に名前を挙げさせていただきました。誰よりも早く台詞を覚え、エンジンをかけてお芝居をされる姿には尊敬しかなくて。また個人的に、劇団がもう一段階進むために座長の恩田(隆一)が目指すべき姿が、B作さんの背中にある気がしていて、だからB作さんと恩田を会わせたかったんです」

山口「20代前半、『恥ずかしながらグッドバイ』の稽古場でB作さん、すまけいさん、角野卓造さんの代役を務め、旅公演にも連れて行っていただきました。時が経ち、自分の劇団でB作さんと共演できるのが嬉しいです」

佐藤「田村くんの本には喜劇的な要素があり、人間のいいところも悪いところもごちゃまぜにして面白く書いてくださるから、やりがいがあります。僕は役者という人間が好きだから、皆さんと話をするのが楽しみだな」

山口「初めましての方々と混ざり合い、劇団公演を作っていくという作業が楽しみです」

田村「僕は今のところ、恐ろしさしかありません(笑)。紀伊國屋ホールというハコに、劇団として、役者として、演出家としてアジャストできるか。皆さんのお力を借りながら、挑みたいと思っています」

(取材・文:木下千寿 撮影:NORI)

プロフィール

佐藤B作(さとう・びーさく)
1949年2月13日生まれ、福島県出身。1973年に劇団東京ヴォードヴィルショーを結成し、座長を務める。「日本の喜劇」にこだわった公演活動を行う他、外部の舞台公演や映像作品に数多く出演し、広く活躍中。

田村孝裕(たむら・たかひろ)
1976年4月8日生まれ、東京都出身。舞台芸術学院演劇部本科を卒業後、同期9人で劇団「ONEOR8」を旗揚げ。劇団作品の作・演出を務める他、外部への書き下ろしや、プロデュース公演の演出も多く手掛けている。

山口森広(やまぐち・しげひろ)
1981年9月23日生まれ、神奈川県出身。11歳から子役として活躍。2012年に劇団「ONEOR8」に入団。劇団公演をはじめ、映画・ドラマ・舞台に出演。声優やナレーターも務める。

公演情報

ONEOR8『ママごと』

日:2026年1月21日(水)〜27日(火)
 ※他、地方公演あり
場:紀伊國屋ホール
料:一般5,500円 U-25[25歳以下/枚数限定]3,000円 ※要身分証明書提示(全席指定・税込)
HP:https://wp.oneor8.net
問:ONEOR8 mail:oneor8info@gmail.com

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