
神戸文化ホール開館50周年記念事業として、贅沢にもわずか2日間、神戸のみで公演される本作。出演は、映像や舞台で幅広く活躍する個性派俳優の鈴木浩介と元宝塚歌劇団月組スターの美弥るりかだ。原作は西東三鬼の『神戸・続神戸』(新潮文庫刊)。言論弾圧から神戸に逃げてきた三鬼こと「私」と女「たち」が交錯する――。今作で複数役に挑戦する美弥に、その意気込みを聞いた。
「私は宝塚時代の19年間、兵庫県に住んでいたので、神戸もよく買い物などで訪れていたんです。神戸は異国情緒があって、都会だけど自然もあって、訪れるたびにリフレッシュさせてもらっていました。その神戸での記念すべき公演に出演できるなんて、純粋に嬉しいし光栄です」
さらに、共演者の名前を見てまた心が震えたという。
「鈴木浩介さんは様々なジャンルで活躍されていて、表現の幅の広さは存じ上げていました。それが直接演技を交わせるなんて……。年齢を重ねても進化していきたいと思っていた中、この共演は必ず自分にとって大きなものになると確信しています。実は、すでに演出の小野寺修二さんの身体表現ワークショップや、台本の読み合わせでご一緒したんです。その時の鈴木さんの演技が、もう変化球すぎて! 自分が準備したものが無意味に感じたので、稽古も真っ白なド素人として臨もうと決めました。その方が吸収が早いと思いましたし、瞬間瞬間を自分にしみ込ませられると思ったから。それぐらい、すごい衝撃だったんです」
小野寺の演出も、楽しみであり挑戦だと語る。
「ワークショップの翌日はめちゃくちゃ筋肉痛になりました。小野寺さんの演出は肉体での感情表現が豊かなんです。私は普段、殺陣やダンスをおこなうことは多いのですが、また別のベクトルの身体表現で、『もっとこういうことをやりたかったな!』と思ったほど楽しかった。ただ、筋肉痛になったということは一朝一夕に身につけられるものではないとも痛感しましたが……」
年が明けると、すぐに神戸での稽古が始まる予定だ。
「鈴木さん以外の共演者は、関西ベースで活躍している方たち。皆さん、関西のプライドがあると思いますし、お互いに『どう来るのか?』という興味もあるはず。そういった刺激の交流も楽しみたいと思っています」
(取材・文:山本奈緒子 撮影:友澤綾乃)

プロフィール

美弥るりか(みや・るりか)
2003年、宝塚歌劇団入団。ミュージカル『瑠璃色の刻』、『アンナ・カレーニナ』で主演を務め、2019年6月に退団。以降、独自の個性を生かし、舞台だけでなくファッションやライブなど、様々なフィールドで活動の幅を広げている。近年の主な出演作に、舞台『キングダム』、『メイジ・ザ・キャッツアイ』、『ゲゲゲの鬼太郎2025』、TOHO MUSICAL LAB.『わたしを、褒めて』、『ラヴ・レターズ 〜2024 Summer Special〜』、ミュージカル『ヴァグラント』、『屋根の上のバイオリン弾き』など。また、自身でのプロデュース公演『ビューティフル・サンデイ』(2024年7月)や『M FESTIVAL』(2025年8月)も成功させている。
公演情報

神戸文化ホール 開館50周年記念事業
『流々転々 KOBE 1942-1946』
日:2026年2月14日(土)・15日(日)
場:神戸文化ホール 中ホール
料:一般5,500円
神戸割[市内在住・在勤]5,000円
25歳以下2,500円 高校生以下1,000円
※各種割引は要身分証明書提示
(全席指定・税込)
HP:https://www.kobe-bunka.jp/hall/
問:神戸文化ホールプレイガイド
tel.078-351-3349(10:00~17:00/月休
※祝日の場合は翌平日が休業)
