殺人事件の容疑者15人のうち、探偵が11人‼ 劇団「無情報」記念すべき本公演10作目は寝台特急を舞台にしたドタバタコメディ演劇

殺人事件の容疑者15人のうち、探偵が11人‼ 劇団「無情報」記念すべき本公演10作目は寝台特急を舞台にしたドタバタコメディ演劇

 昨年結成10周年を迎えた劇団「無情報」(ノーインフォメーション)の記念すべき本公演10作目となる『B列車で行こう』は、密室による殺人事件が起こった通称「B列車」と呼ばれる大陸横断寝台特急を舞台に、探偵による謎解きミステリーを軸に人生にある“謎のままの幸せ”を描く密室ドタバタコメディ演劇。容疑者となる乗客15名のうち、探偵がなんと“11人”。あまりに多過ぎる名探偵たちは、真犯人を見つけ出す事が出来るのか。
 本作でW主演を務める探偵役の橋詰龍(無情報)と横田流儀。それに主演俳優役の熊沢学に、意気込みや注目ポイント、さらには無情報の特徴でもある「グループ演出制」について語ってもらった。


―――よろしくお願いします。本作は記念すべき本公演10作目で、橋詰さんと横田さんのW主演になりますが……。

横田「ちょっと待ってください! 僕も主演ですか? 順列が2番目だったので、今まで橋詰さんの単独主演だと思っていました。やばい! 一気に緊張してきました‼」

一同「(笑)」

―――今気づいて良かったです(苦笑)。無情報(ノーインフォメーション)のメンバーである橋詰さんは、『嶺上開花』以来の主演になりますね。

橋詰「僕らの団体は、僕も含めて役者が3人いまして、順番に主演が回る形でやっています。3年に1度必ず主演が来るので、前作が終わって『次は僕が主演か』という気持ちになっていました。しかも記念すべき10作目というタイミングなので、ちゃんと頑張らなきゃという気持ちです」

―――結成10周年の年に上演された前作『ビルズ・ビルズ・ビルズ』は、初のシブゲキでの公演で大盛況だったそうですね。

橋詰「ありがとうございます。恥ずかしながら、僕ら5人じゃ何も出来ないので、他の役者さんやスタッフさんたちにいつも助けられています。今回こそは、我々が引っ張っていければという思いです」

―――心強いですね。続いて横田さんと熊沢さんに、オファーが来たときの率直な感想をお聞きしたいと思います。

横田「僕的には、ストレートの作品をどんどんやっていきたいなっていうのは思ってましたので、お話が来たときは有難い限りでしたし、正直僕に出来るかなと思いつつも、前作に出演して、今作でも共演する林光哲さんにいろいろと聞いてみたら、すごい大絶賛していて、今は楽しみでしかありません」

熊沢「本当にビックリしました。企画書を見させていただいて、率直に面白いと思いましたし、本番を迎える時にはどんな作品になるんだろうという気持ちでワクワクしています。あと、脚本のガク カワサキさんが僕と同じ名前で、衣装合わせの時にカワサキさんとどう呼び合うかという話になったんです。過去にも同じ名前のキャストさんやスタッフさんがいたケースが何度かあったので、僕が『では“マナブ”と呼んでください』と言ったら、カワサキさんが『いや、うちにもマナブ(岸本 学)というメンバーがいるんだよ』と言われて……。正直こんな難しい現場は初めてです」

一同「(笑)」

―――いや、見事なオチですね(笑)。ところで、横田さんと熊沢さんはこのインタビューが初対面なんですよね。

熊沢「ちょっと緊張します」

横田「僕も極度な人見知りなので、すごい緊張してるんです」

―――先日ビジュアル撮影があったそうですね。どんな衣装になるか心待ちにしている方も多いかと思います。そこで3人に、今回の衣装の感想をお聞きしたいと思います。橋詰さんが演じるのは、11人いる探偵の一人“イースタン”という役です。

橋詰「僕が演じるイースタンはおバカな探偵という役柄で、とても可愛らしい衣装という印象でした。全部精巧に作っていただいていますが、個人的には“肘当て”がおススメポイントです。今のところ探偵とは全く関係ないアイテムではありますが(笑)」

―――でも本番では謎解きのキーアイテムになっているかもしれませんね。横田さんも橋詰さんと同じ探偵“ベオグラード”を演じられます。

横田「カッチリとしていて、すごくカッコいい衣装でした。お客様側から見たら『ベオグラードはこういう人間なんだ』という印象付けるような“役割分担”がされた服装だなと思いました。あと、撮影していた時に池田レイラさん(完熟フレッシュ)もいらして、衣装もちらって見させていただきましたが、とても可愛らくて、見た目で本当にこの可愛らしさがわかりやすい衣装というイメージに僕には見えました」

―――熊沢さんは、主演俳優の“ラチェット“を演じられます。

熊沢「役者を始めてから一度も舞台の主演をやったことなくて。まさか初の主演がこういう形なるとは思いませんでしたが、とても嬉しいですし、僕にとって記念すべき作品になると思います。ラチェットの衣装は、しこたまカッコいいです(笑)。俺様キャラで、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のレオナルド・ディカプリオのような主演俳優役を演じさせていただきます」

―――先程、熊沢さんがチラッと話されていましたが、企画書やプロットをご覧になってどんな感想を持たれましたか。

橋詰「めっちゃ面白いと思いました。まだ僕の実力がどのぐらいなのかわかりませんが、本当に恵まれた環境で面白い作品になりそうですし、主演として出してもらえるのは当たり前じゃないという気持ちになりました」

横田「プロットを読ませていただいて、きっとドタバタして終わるとか、楽しかったねで終わることも出来たと思うんですけど、“本当にそうなっていくのか”といったような展開で、最後の方にそういう風に持っていくのかと思わせましたし、お客さんに考えさせる余白作りもあったので、本当に素敵な作品だなと思いました。今は早く台本が出来上がるのを楽しみにしている状況ですね」

熊沢「小説や推理モノはある程度『こうなるだろうな』と予想出来るものですけど、本当に予想がつかなくて。本当に面白すぎて、2回以上読んでしまうくらい飽きなかったです(笑)」

―――インタビュー時点では、まだ稽古前ということですが、無情報は演出をメンバー5人全員で行う「グループ演出制」を導入していますが、1人ではなく敢えて複数人が演出するメリットを教えていただけますか。

橋詰「基本的には、カワサキがいわゆる演出席に座るんですけど、意見やアイデアは5人全員が出しますし、逆に言うと5人の意見は誰が喋っても演出家の意見になるので、俳優さんからすると演出家を“選べる”状態になります。つまり一番喋りやすい人と喋れるし、台本を書いているカワサキの目線で聞きたい時と、共演している俳優に聞きたい時と、共演しているけどその時は袖で見ている人に聞きたい時ってそれぞれ違うと思うので、全部プラスに使える方法としてグループ演出制を使っています。なので、皆さんには気軽にいっぱい相談して欲しいですし、5人が“絶対面白い”って決まるまではやらないというルールがあるので、そのハードルを1つかけていることで、よりお客様にも伝わるものになるかなとは思っています」

―――きっと横田さんや熊沢さんもこういうスタイルの演出方法は初めての経験かと思いますが。

横田「自分だけの考えとかで言ってしまうと、頭の中が凝り固まっちゃって、いろいろな意見が出てこなかったり、自分の中でもう正解と思っちゃっているから、なかなかベクトルを変えられないことがあると思うんですけど、いろいろな方の意見を言ってもらえると、『確かにこういう感じもあるな、じゃあそれにプラスして自分の意見を重ね合わせて、また違う道を作ってみようかな』という風になれると思います。演出家さんの中には、演出家通りにやれという方や逆に全任せの方もいますが、今回のような新しい経験ができるので、稽古が楽しみです」

熊沢「僕も初めての経験で、まだ未知の世界だと思っています。普通は1人を主軸として言ってもらえるのですが、5人になったら僕はどうなっちゃうんだろって。5人全員からダメ出し喰らったら、きっとメンタルが崩壊すると思います」

一同「(笑)」

橋詰「さすがにそれはないと思います(苦笑)」

熊沢「それを聞いてちょっと安心しました。きっとこういう経験をすることによって役者としての幅が広がると思いますし、これからこの作品がどう深くなっていくのか、すごく楽しみです」

―――稽古前段階ではありますが、本作の見どころや注目ポイントを教えて下さい。

橋詰「今回のような探偵の話って、堅苦しい話や重い話になりがちですけど、無情報の作品はズバリ“コメディ”です。ただコメディだからと言いつつも、話としてちゃんと筋を通しています。楽しいシーンをたくさん作っていきますので、お客様にも楽しんでもらいたいですし、僕らも楽しみたいです」

横田「役者の僕が見どころを伝えるというのは、的外れなことを言いそうで怖いことではあるんですけど、人間はただ1つのことだけを思いながら行動してるわけではないので、その中でこの行動をしているけど、心ではどこにベクトルが向いているかというところがあって、今回のプロットの中でも、この人はこういう行動をとったが、裏にはこういう行動があるということが散りばめられいて、その時の視線や動き、緊張感が表現できる俳優さんが今回多いと思うので、そういうところが面白いと思いますし、きっと何度観ても面白くなるんじゃないでしょうか。作品のストーリーを知らない状態で観たらまっすぐ観られるけど、内容を知った上で2回目を観たら、あの時この人はどういう行動をしているのか、どういう発言の仕方をしてるのかというのがわかると思うので、是非一度だけでなく何度も観劇して欲しいです」

熊沢「注目ポイントは“肩書き”ですね。一人ひとりのキャラクターの肩書きが面白すぎてゲラゲラ笑いながらプロットを見させていただきました。特にさとちゃん(佐藤永典)は『確かにそうだな』と思わせる肩書きで、どこまで言ったらいいかわかりませんが、とにかく一人ひとりの肩書きはチェックして欲しいです」

―――前作は1つの舞台上で4つの部屋を様子を描くセットが大好評でしたが、今回はどんなセットになるか、とても気になるところです。

橋詰「僕たちのスタイルが“見たことないもの好き”で、前回も見たことないセットでお届けしましたが、今回も見たことないセットを準備する予定です。どんなセットになるかは一発でわかると思うので、是非楽しんでいただければなと思います」

―――ありがとうございます。では最後に公演を楽しみにされている方に向けてメッセージを熊沢さんからお願いします。

熊沢「とても面白い台本に負けないよう、精一杯頑張りますので、ご声援のほどよろしくお願いします‼」

横田「推理モノが好きな方でも楽しめる作品ですし、登場人物の人間模様や関係性を観たい方も楽しめます。それとこの作品は“コメディ”なので、僕たち自身もお客様に楽しんでいただけるように、そして物語に集中してもらえるように、そしてクライマックスがどうなっていくのか、どんどん引き込んでいけるように頑張りたいと思いますので、是非観に来ていただけたら有難いです」

橋詰「本当に素敵なキャストさんが集まりましたし、素敵な衣装、舞台美術、照明、そして音響も全部最高のものになるので、僕らのファンの方だけでなく、横田さんや熊沢さんをはじめとする全てのキャストのファンの方も、もれなく楽しみにしていただいて大丈夫です! 自信を持って言えます‼」

(取材・文&撮影:冨岡弘行)

11/4は「いい推しの日」。あなたの推しを教えてください(人に限らず)

橋詰龍さん
「僕の推しは「タガメ」です。
一生に一度は食べてみて欲しい。
めちゃくちゃ不思議な食体験になること間違いなしです。
一言でいうと「青りんごの香りのシーチキン」でしょうか。
めちゃくちゃフルーティなんですよ、魚肉っぽいし。
面白いのが、イケメンほど美味しいんですって!
というのも青りんごの香りってメスにアピールするフェロモンの香りらしく、香りが強い=フェロモンが強い=モテる個体らしいんですね!
騙されたと思って食べてみてください! タガメにメロメロになる…かも?(笑)」

横田龍儀さん
「僕の推しはプリンですかね。理由は美味しいからです。小さい頃から好きで、なんであんなに美味しいんだろうと不思議です。最近P-1グランプリ2024(プリン1グランプリ)のプリンを食べたのですが感動しました。一口食べるだけであんなにも幸せな気持ちにさせてくれるプリン。一生の推しです」

プロフィール

橋詰 龍(はしづめ・りょう)
1994年3月1日生まれ、三重県出身。無情報劇団員。主な出演作に、AmazonPrimeVideo『誰かが、見ている』、テレビ東京若手映像GP 優勝作品『亀も青春は短い』、『再犯、オリニフレテ。』など。

横田龍儀(よこた・りゅうぎ)
 1994年9月9日生まれ、福島県出身。主な出演作に、ミュージカル『刀剣乱舞』(物吉貞宗役)、MANKAI STAGE『A3! 』シリーズ、ミュージカル『東京リベンジャーズ』、舞台『転生したらスライムだった件』など。

熊沢 学(くまざわ・がく)
1996年12月21日生まれ、東京都出身。主な出演作に、劇団『ハイキュー!!』、舞台『呪術廻戦』-京都姉妹校交流会・起首雷同-、舞台『弱虫ペダル』Over the sweat and tearsなど。

公演情報

無情報 vol.10 『B列車で行こう』

日:2025年11月13日(木)~16日(日)
場:六行会ホール
料:S席プレミアム[特典付]9,500円 S席[特典付]8,500円 A席プレミアム[特典付]8,000円 A席6,000円 ※他、U-30割あり。詳細は下記HPにて(全席指定・税込)
HP:https://noinformationk.wixsite.com/official
問:無情報 制作部
  mail:noinformation.k@gmail.com

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