無邪気なビジュアルで大人が本気のコントを魅せる人気作コントライブ『区立すーぱーうるとらスゲェふぁいやーこんと小学校 えくすとら』が今夏に上演される。演出家として活躍している2人、田邊俊喜と萩原成哉が昨年立ち上げた爆笑企画で、全力でおバカなことに挑む姿が話題となりシリーズ化! 作品を代表して、更なるパワーアップを誓う田邊俊喜と秋葉友佑に話を聞いた。
我々の中ではちゃんと演劇をやっていたんです
―――昨年コロナ禍に初演として上演されました。振り返ると色々な想いがあるのでは?
田邊「今思うと奇跡的な公演でしたね。良くも悪くも勢いで何かやれる形がないかと話して上演しました。やはり生でやること、笑いというものをお客様と共有できる場は凄く貴重だなぁとその時とても感じました。あの時だけの企画の予定が、次もやりたいねって千秋楽くらいに(笑)」
秋葉「僕はずっと次もあるなって思っていましたよ!」
田邊「コントでドタバタやるので固定の衣装でスタートしましたが、気がついたらなる君(萩原)とかが手作りで色々小道具とか作りだしたりして、凝りだして止まらなくなって!」
秋葉「俊君の台本、土台のコントから楽しくて役者の個性がよく出ていて、しかも濃い役者が集まりましたよね。顔合わせの読み合わせの時点からめちゃくちゃ笑っていたので、これはもうずっと楽しいだろうなと。稽古中もずっと笑っていました」
―――今だから言えることは?
田邊「顔合わせの時の話ですが、公私ともに仲良くしていただいている友佑に、自分の書いた活字を読んでもらうことが初めてだったんですよ。めちゃくちゃ緊張して、しかも凄くくだらないコントを書いていたので、これで嫌われるのだけは避けたいなって思いながら、結構みんなに対してもビクビクして(笑)。緊張したことを思い出しましたね」
秋葉「あははは! 最初からめちゃくちゃ楽しんで笑わせてもらいました。イメージ的に俊君はずっと面白い人なので、ふつうに面白い本だなって」
田邊「友佑にこんなに女装させてええんかなって。綺麗過ぎて笑った」
秋葉「あははは! コントだからこそ投げられるボールがいっぱいあって、試せる感じでしたね」
―――この企画だからこその弾け方があり、そして追い込まれ、でものびのびできることが魅力ですね。コントですが、決め込みの部分は多かったのですか?
田邊「信頼するメンバーだったので決め込みはほぼなかったですね。自由にやってもらって、自分が書いていることを何百倍も面白くしてくれていたので助かりました。そんな話の後ですが、コントと言いながらも我々の中ではちゃんと演劇をやっていたんです」
秋葉「そうそう! 役柄の中で遊んでいましたね。この作品の魅力はまず、小学生っぽいことをやろうという企画の中で校歌も作っていて、ちゃんとパッケージになっているところ。そして1回では絶対終わらないだろうな、というくらいのボリューム感と内容の重さを感じました。
そしてまだ未共演のメンバーもいらして、お芝居としてステージに立てたのは嬉しかったですね。しかも俊君もなる君(萩原)も役者として舞台に立つ事が少なくなっている中で一緒に立ててる、それがまた嬉しくて魅力ですね」
―――普段は演出家として接している方が普通に爆発している、そんな姿が見られる場は貴重ですね。
秋葉「そうなんです! めちゃくちゃ面白いんです! 比較的大人のキャストが多く、年齢層が高めなのに弾けて元気にやっていることが凄く楽しかったですね」
田邊「舞台にはもう出ないようにしているので唯一これだけです(笑)」
上品な中の下品さの世界
―――コント作品の執筆について意識していることは?
田邊「役者がやるコントなので小気味よくボケとツッコミだけで進むのではなくて、少し演劇じゃないですけど余白があって、友佑も言ってくれたように役者の魅力が出る、このセリフならこの人が面白く言ってくれるだろうな、みたいことを想像しながら書くことを意識していますね」
―――萩原さんとの演出ですが、分担などしていくのですか?
田邊「全然分担してなくて、最初はコントごとに分けようと思っていたんですけど、価値観が似ていたので同じように思っていて、どっちかがオーバーラップして言い出したらそれを聞きながら納得して、割とスムーズにやっています。
演出したというよりは、本当に役者が面白くしてくれていたので2人で何かプランを立てて~はほぼなかったですね。気心が知れているメンバーだったので、みんなで作っている感じでした」
秋葉「稽古もスムーズに固まってましたよね」
田邊「コロナ禍ということもあって短い時間で稽古をしましたが、6人で12~3のコントをやったので、ステージにほぼ出っ放しだったんですよ。僕はセリフ量に追われて、そこは大変でしたね」
―――コントはテンポや間が大事になってきますから、普段の舞台とは違って稽古でより磨かれた感じですね。
秋葉「そうですね、細かいところのテンポとか。特に俊君が書いたすれ違いコントで、何を立たせるか凄く重要な笑いどころは、かなりやりましたね」
田邊「あれは難しかったね。今決まっているのは、今回も大トリは友佑を中心としたコントを持ってこようと」
秋葉「おおお!」
田邊「前回、僕の中で挑戦のコントを1つ書いていて、本読みの時にみんな『これ最後お客様はどういう気持ちになるの?』と言っていたら、案の定泣いてるっていう(泣笑)」
秋葉「最後のコントがめちゃくちゃ良い話でお客様が泣いていて、カーテンコールで僕も泣いてるっていう(笑)」
田邊「今回もあんなコントを書きたいですね」
秋葉「あと最初の合コン コントがツボで、サッカーの試合の戦術に例えた合コンの戦術を真面目に話すコントがありまして、凄くテンションが上がりましたね」
田邊「前回に引き続きちょっとブラッシュアップさせて、前回観てくださった方も楽しめるように再演ものをいくつか入れようかなと思っています」
―――新メンバーを迎えて更にパワーアップしそうです。
秋葉「今回から参加される方もいらっしゃいますよね。(公演概要を見ながら)あ! 五十嵐さんがいる! うわ、うわ、面白そう! 相当パワ―アップしますね!」
田邊「重複しますが、個性を持っている役者さんが集まっているので、みんなの魅力だったり、ファンの方の気持ちになって、この人のこういう姿は普段見られないな、見たいなと思うところを目指して、上品な中の下品さの世界を目指したいと思っています」
いつかみんなでマスクを外して校歌を歌えるように
―――そして見どころのひとつにギネスの挑戦があります。
秋葉「毎回違う挑戦がありまして、“風船2個ずっと落とさない選手権”は全然ダメでしたね。今回、1個はタイトル取りたいです!」
田邊「あははは! それでも友佑は1番ギネスに近かった男なんです」
秋葉「馬飛びが得意でした。あと大繩飛びもやりました」
田邊「大人になって人前で大繩飛びするって意外とないよね。しかも意地悪してくるっていう(笑)」
秋葉「今回五十嵐さんが何か取りそう。あと上遠野君は何かやってくれる男なんですよ」
田邊「上遠野君のコントは想像がつかないね」
秋葉「彼は本当に面白いです! 今からワクワクします」
―――出演者はどうやって決まるのですか?
田邊「単純に仲が良い人です。普通だったらNGになる脚本をNGじゃなくしてくれる方々。企画書に赤字で書いてあります、すみませんと」
(秋葉爆笑)
秋葉「“バカになれる天才であれ”のテーマの通りの人たちが集まっています!」
―――お客様は自由にして良いのですか?
田邊「やはりコロナ禍だったので、前回はいつもと違いました。萩原君の案で前説の時から出て大喜利大会をやりながら開演しましたが、笑って良いのか探るような独特な雰囲気で。それが千秋楽の頃にはいつもの劇場の空気感みたいになって、結構グッとくるものがあったよね。
前回、校歌を作りましたが今回はテンションも上がり、オリジナルジャージを作ろうと。数々の2.5次元作品の衣装を手掛ける西田さんにオリジナルジャージを作ってもらったり、ガチで気合が入っています!」
秋葉「テンション上がりますよね! 今回劇場がサンモールで、そこもまた楽しみです」
田邊「また違う雰囲気になるね。校歌はCDも発売されていますし、YouTubeでも公開されているのでチェックできます。このコンテンツがずっと続けられて愛していただけたら、いつかみんなでマスクを外して校歌を歌えるような日が来ると信じて、そこに向かって今回も良い形にできたら。
今色々と書いていて、全員が出るコントをいくつか作りたくて。“笑い”はこだわりがあるジャンルなので、攻めた新しい形の作品を書いていきたいです」
―――最後にお誘いのメッセージをお願いします。
秋葉「この作品に出演してとても反響があり、とても面白かったと言っていただいたので、1年に1回のお祭りではないですが、今回も辛い事も忘れるくらい笑わせてみせます。このメンバーだったら確実なので楽しみにしていてください。劇場でお待ちしております」
田邊「この作品をやるにあたり、お客様も含めて全員が演劇というものとの向かい方を見つめ直したことがあって、再認識したのはやはりお客様と時間を共有することの素晴らしさ。その価値は計り知れない程に深いなと、本当に感じ取れました。今回もそこで得たもの、感じたことを大事にしつつ、大好きなメンバーと全力でバカができることを楽しみながら、お客様にも楽しんでいただけたら。
笑いは医学的にも免疫になると言われています。上演中は全力でこの情勢を忘れるくらい、笑いあえる時間を共有できたらと思います。是非足を運んでいただけたら嬉しいです」
(取材・文&撮影:谷中理音)
プロフィール
田邊俊喜(たなべ・としき)
1987年9月3日生まれ、 香川県出身。
俳優に加え脚本家・演出家としても活動中。toshiLOG主宰。演出家としての近作に舞台『YOSHITSUNE 廻]、朗読劇『モノクロの空に虹を架けよう』、舞台『ゲキドル the STAGE』などがある。舞台『YOSHITSUNE 廻』DVD発売決定。
秋葉友佑(あきば・ゆうすけ)
1992年4月6日生まれ、神奈川県出身。
人気舞台を中心にドラマなどで活躍中。主な作品に2.5次元ダンスライブ『ツキウタ。』ステージ『ツキステ。』シリーズ・長月夜役、舞台『弱虫ペダル』シリーズ、劇団シャイニング from うたの☆プリンスさまっ♪『BLOODY SHADOWS』など。9月には『ツキウタ。』ステージ第11幕『月花神楽~黒と白の物語~』が控えている。
公演情報
こんとらいぶ『区立すーぱーうるとらスゲェふぁいやーこんと小学校』
日:2021年8月24日 (火) ~29日 (日)
場:シアターサンモール
料:特典付S席8,510円 S席7,510円
特典付A席7,510円 A席6,510円
(全席指定・税込)
HP:https://twitter.com/susfprimary
問:hananaki produce制作部
mail:mnop.sao@gmail.com