浅野ゆう子と中村梅雀が、短歌を詠み交わし続けた夫婦の物語を演じる 大切な人と観てほしい、夫婦の絆に心揺さぶられる作品

 歌人・河野裕子と永田和宏の夫婦が互いに詠んだ様々な短歌と、折々の随筆を織り込んで綴る朗読劇『たとへば君 四十年の恋歌』が上演。夫婦役を務めるのは、浅野ゆう子と中村梅雀だ。

浅野「おふたりが積み重ねた四十年間での関係性の温かさや愛を演じさせて頂けるのは、いち俳優として嬉しく、有難いことです。原作や脚本を読み、河野さんは奔放で可愛い女性だったのだろうなと想像しております。自分の全てを永田先生にぶつけて、死に向き合いつつ生きたその姿を、嘘にならないよう丁寧に作り上げて、河野さんに近づけていけたらと思います」

中村「ご夫婦の間で歌の交わし合いがあったからこそ、ときに激しくぶつかっても、その関係性が壊れることはなかったのだと思います。お会いした永田先生は穏やかな佇まいが印象的で、学者として一途な力強さや自由な一面、愛する人への繊細さも感じました。そうした人間臭いところを出せれば、舞台上でも説得力のある人物になるだろうと考えています」

浅野「稽古初日に永田先生がいらして。本当に緊張しましたが、優しく素敵な方で、歌の読み方や言い回しを細やかにご指導頂きました。短歌の限られた文字数でこれだけ凝縮した表現ができるのかと、改めて感動しました。朗読するにあたって一字一句間違えられない!と、緊張感がかなりあります」

中村「僕も台本通りにセリフを喋らない役者でして(笑)。しかし、この作品はそういうわけにいきませんから大変です。また台本の読み合わせの時点で涙がこぼれ、嗚咽を堪えたくらいなので、本番も感情のコントロールが難しそうだなと思っています。チェロとピアノの生演奏も加わりますし、より気持ちを揺さぶられるでしょうね」

 脚本・演出を手掛けるのは、星田良子。ドラマや舞台の演出に多く携わり、優れた作品を世に送り出している。

浅野「星田監督の作品ならやります! と二つ返事でお受けしましたが、知れば知るほど凄い作品で、本当に私で良かったのだろうか?と恐縮するばかりです。監督の思い描いているところにどこまで寄れるか、勉強場所を頂戴したと考えて取り組みます。私が一番、仕上がりを楽しみにしているかもしれません(笑)」

中村「星田さんからお声掛けを頂いたとき、本作へのただならぬ意気込みを感じましたし、脚本にもその気迫が溢れていました。星田さんの現場は常に熱量が高く刺激的なので、今回また、その空気を味わえるのがなんといっても楽しみです!」

(取材・文:木下千寿 撮影:間野真由美)

もし移住するならどこに住みたいですか?

浅野ゆう子さん
「ふるさと 神戸です。海があり山があり温泉があり、程よい自然がありながらそれでいて、ファッションの発信ができるとてもおしゃれな街、神戸。いつの日にか、帰ろうかなぁ……と、前々から思っているふるさと 神戸。移住するなら神戸以外の選択肢は無いかもしれません」

中村梅雀さん
「カナダ エドモントンあたりでしょうか。行ったことが無いので、ただの想像だけですが(笑)。自然が豊かで気候も穏やかそうで。地球温暖化と地殻変動が激しくなる中で、比較したら、少し安全なのではないか……」

プロフィール

浅野ゆう子( あさの・ゆうこ)
兵庫県出身。1974年に歌手デビューし、同年にドラマ『太陽にほえろ!』で俳優デビューを果たす。1980年代以降、“トレンディドラマの女王”として人気を集める。1995年公開の映画『藏』で、第19回日本アカデミー賞 最優秀主演女優賞を受賞。8月2日からは、舞台『ゲゲゲの鬼太郎2025』に出演。

中村梅雀(なかむら・ばいじゃく)
1955年12月12日生まれ、東京都出身。1965年6月初舞台。桐朋学園短期大学演劇コースを経て、1980年に劇団前進座入座。同年、12月歌舞伎座公演で二代目中村梅雀を襲名。2007年、劇団前進座を退団。NHK 大河ドラマ『八代将軍吉宗』(松尾芸能賞)、映画『山中静夫氏の尊厳死』(映画批評家大賞主演男優賞)、
ドラマシリーズ『信濃のコロンボ』、ミュージカル『昭和元禄落語心中』など、幅広く出演。ベーシスト・作曲家・ナレーターとしても活動。

公演情報

朗読劇『たとへば君 四十年の恋歌』

日:2025年9月17日(水)~20日(土)
場:新国立劇場 小劇場
料:S席8,000円 A席7,000円(全席指定・税込)
HP:https://artistjapan.co.jp/performance/ajrt_tatoebakimi2025/
問:アーティストジャパン
  tel.03-6820-3500(平日11:00~18:00)

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