
トニー賞9部門、ピューリッツァー賞など数々の賞に輝くミュージカルの金字塔『コーラスライン』が、新演出でこの夏来日。ミュージカルのオーディションに挑む名もなきダンサーたちの姿を描いた物語で、キーパーソンの演出家 ザックをアダム・クーパーが演じる。
「イギリスでの初演はとても良い評価を頂きました。1970年代に出演したキャストも観に来て、『オリジナルより良いかもしれない』との言葉をもらっています。とても光栄です」
1975年にオフ・ブロードウェイで開幕したマイケル・ベネット演出振付版の精神を受け継ぎ、ニコライ・フォスターの新演出で2021年にイギリスで初演。オリジナルと大きく違うのはザックの立ち位置だ。
「オリジナル版ではザックは客席にいて神の声のように語りかける役回りでしたが、新演出版ではザックはダンサーと共に舞台上にいます。オリジナル版のザックは冷たく厳しい人物という描かれ方をされていたけれど、新演出版のザックは物語が進むにつれ、ダンサーたちの悩みや葛藤にザック自身が影響を受け、次第に感情があらわになっていく。できる限り人間らしい人物としてザックを演じ、舞台で生きられたらと思っています」

新演出版のオリジナルキャストとして、アダム自身もクリエイションに立ち会っている。
「クリエイションでは私もいろいろ提案させてもらいました。例えば1人のダンサーが怪我をしてしまうシーンでは、ザックはダンサーと一緒に床に座って話を聞いたらどうかと提案させてもらいました。ザック自身ダンサーからキャリアを始めていて、そうすることで彼自身もダンサーの1人のような気持ちになれるのではと考えたのです」
劇中にはザックのソロも登場。これも新演出版の見所の1つだ。
「ラストにかけて私が踊る小さいソロを作ってもらいました。このソロは最後の楽曲“One”とリンクしていて、それもまた物語を深めてくれています」
ミュージカル『コーラスライン』が誕生して50年。新演出でさらに魅力が増したと話す。
「この新しいバージョンができたとき、私自身すごく感動しました。元々の脚本の素晴らしさもありますが、演出の力でより魅力が高まり、それによって心が大きく動かされていく。私自身1人の演者として、そしてザックとして、舞台に立つたび何度でも感動しています」
(取材・文:小野寺悦子 撮影:平賀正明)

プロフィール

アダム・クーパー
1971年生まれ、イギリス ロンドン出身。1989年~1997年、ロイヤル・バレエ団に在団し、1994年にプリンシパルに昇格。1995年、マシュー・ボーンの『スワンレイク』の演技が世界的に評価され、タイムアウト賞をはじめ数々の賞を受賞し、1999年度トニー賞ミュージカル主演男優賞にもノミネート。ロイヤル・バレエ団退団後も、ゲスト・アーティストとして出演を続ける傍ら、自ら振付や演出・脚本までも手掛ける。日本での人気も高く、これまでに出演した日本上演作品には、『スワンレイク』、『危険な二人』、『雨に唄えば』、『兵士の物語』、『レイディマクベス』などがある。
公演情報
ミュージカル『コーラスライン』日本特別公演
日:2025年9月8日(月)~22日(月)
※9/8、9/9 13:30は、プレビュー公演
場:東京建物 Brillia HALL
料:スペシャルONEシート[前方4列]20,000円
S席16,500円 A席12,500円 B席8,000円
※プレビュー公演は各1,000円引
(全席指定・税込)
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