「京都議定書」合意に至るまでの国際会議を描いた話題作を日本初演 「この作品が何かが変わるきっかけになれば」

「京都議定書」合意に至るまでの国際会議を描いた話題作を日本初演 「この作品が何かが変わるきっかけになれば」

 主宰である坂手洋二の作・演出を中心に、社会性・実験性の高さと豊かな表現力を兼ね備えた、斬新で意欲的な公演を行う「燐光群」。6月末からイギリスで大きな話題を呼んだ『KYOTO』の翻訳版を上演する。本作は英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーとグッドチャンスが共同製作し、日本では今回が初上演。97年に京都で開催された、気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)の合意に至る会議を演劇化したものだ。現実で起こった出来事を演劇で届ける意義を、出演者の猪熊恒和と、高木愛香に聞いた。

猪熊「これまでも燐光群では、実際に起こった事件や事故を描いた“報告劇”と呼ばれる作品を多く上演してきました。例えばイギリスの鉄道が民営化して事故が増え、時間通りに運行できなくなったことを検証する、というイギリスの芝居を翻訳上演して。その時も色々なことを勉強しながら演じて、役者として面白い経験になりましたし、お客さまの反応も非常に良かった。舞台に立っていて、手応えを感じました。ドキュメンタリーを観たり読んだりするよりも、多くのものを感じていただけるのが演劇だと思います」

高木「作られた物語は真実ではないとは言いませんが、やはり実際にあったことを描くことでしか伝わらないリアリティがあると思います。劇場はその空間をみんなで共有し体験するものなので、この作品もリアルにその場で感じ、目撃していただけるはず。きっと生身の人間が演じるからこそ伝わるものがあると思います」

 本作は、第1幕でバークシャーからスウェーデンなどによる国際会議、第2幕で京都でのCOP3が描かれる。立場の異なる約200カ国が意見を対立させながら合意に至る様子は、緊迫感のある政治スリラーのようでもあり、シェイクスピアの歴史劇のようでもある。

猪熊「この作品で描かれているのは、僕たちが向き合い続けなければいけない問題です。この作品が何かが変わるきっかけになればいいなと思います。楽しかっただけではない何かを受け取っていただけたら」

高木「難しいテーマではありますが、会議の様子はハラハラ、ドキドキする会話劇としても楽しんでいただけると思います。難しいだけの作品ではありません。多くの方に足を運んでいただき、演劇としてのドキドキ感を味わっていただけたら嬉しいです」

(取材・文&撮影:嶋田真己)

駄菓子屋で、駄菓子を3つ買うなら何を買う?(選んだ理由もあれば)

猪熊恒和さん
「麩菓子、歌舞伎揚げ、ウニせん、ですね。麩菓子はあのサクサクの口当たりが良いです。歌舞伎揚げは小学生のころ、友達が『一番美味い」と言ったのを聞いて買って食べて『おお一番だ!』と感激した思い出があります。ウニせんはもう少し年とってから、たぶんお酒飲むようになってから『美味い!』と感じました」

高木愛香さん
「ビッグカツ、ヤングドーナツ、フルーツのフーセンガム。遠足の前におやつ代をもらってワクワクしながら駄菓子屋さんに行ったのが懐かしいです。ビッグカツやヤングドーナツは単価がちょっとだけ高いので、組み合わせを考えて買いました。大人になった今は好きに食べられますね! ヤングドーナツなどは友達にあげたりできるのが楽しいですよね」

プロフィール

猪熊恒和(いのくま・つねかず)
神奈川県出身。1984年より燐光群に参加。『神々の国の首都』、『屋根裏』、『わが友、第五福竜丸』、『地の塩、海の根』などで主な登場人物を演じ、国内だけでなくヨーロッパ・アメリカ・オーストラリア・アジアでの海外公演に出演。その他、新宿梁山泊『東京アパッチ族』、うずめ劇場『地球星人』など、他劇団の作品にも出演している。

高木愛香(たかぎ・あいか)
愛知県出身。主な出演作品に、演劇ユニットLABO!『冬物語』、『A・R 〜芥川龍之介素描〜』、『HAMLET』、『パッチギ!』など。その他、英語劇やリーディング等に出演。燐光群は『地の塩、海の根』、『沖縄戦と琉球泡盛』に出演。

公演情報

燐光群『KYOTO』

日:2025年6月27日(金)~7月13日(日)
場:下北沢 ザ・スズナリ
料:一般5,300円 ペア[2枚1組]9,400円
  プレビュー[6/27]3,800円
  ※他、各種割引あり。詳細は下記HPにて
  (全席指定・税込)
HP:https://rinkogun.com
問:燐光群/(有)グッドフェローズ
  tel.03-3426-6294

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