一人芝居で綴る、1人の男と娘の物語をトリプルキャストで上演 三者三様の解釈でそれぞれの主人公を作り上げる

一人芝居で綴る、1人の男と娘の物語をトリプルキャストで上演 三者三様の解釈でそれぞれの主人公を作り上げる

 一人芝居で演じられる、父とその娘の、たった6年間の記憶の物語を近藤公園・田代万里生・松尾諭のトリプルキャストで上演する『キャプテン・アメイジング』。3人が演じるのは、スーパーヒーローに扮し、娘のために物語を作って語る男だ。

近藤「最初に台本を読んだときは『どうやってやるの?』と思ったのが正直な感想です。でも、読んでいておもしろくて。僕には娘が2人いるので子どもに観て欲しいと思いました。もちろん、相当高いハードルだろうとも思ったので、凄く怖い思いとワクワクが同時に押し寄せてきています。このおふたりと一緒に戦えるのはとても心強いです」

田代「ミュージカルで二人芝居をやったことはありましたが、ストレートプレイで一人芝居をやるとは考えたこともなかった。でもここで断ったら一生、一人芝居をやる機会がないかもしれないと思うと、断る選択はありませんでした。僕も幼い子供がいるので自分とリンクする部分があり、それが活かせるのではないかと期待して未知の世界に足を踏み込んでみました」

松尾「僕は寂しがり屋なので1人というのはちょっと(笑)。1人という責任に潰されそうですが、大きな挑戦だと思います。僕の下の子どもがちょうど7歳なのですが、いつも漫画を読みながら一人芝居をしているんですよ。遺伝というものがあるので、もしかしたら僕にもできるんじゃないかなと今、思っています(笑)」

 日本初演となる本作の演出を務めるのは、2022年に『ライカムで待っとく』で第30回読売演劇大賞 優秀作品賞を受賞するなど注目の演出家 田中麻衣子。

田中「最初に脚本に触れたとき、この作品には1人で演じる理由がある気がしました。一人芝居というと、観る方も力が入ると思いますが、この作品はまた少し違う、おもしろいものになるのではないかという感覚があります。トリプルキャストですが、私はそれぞれ違うのが好きなので、今回はキャストの皆さんの実年齢に重なるように作り上げていきたいと思います。実年齢でこの物語を語ると、感じるものも違います。その違いを稽古でたくさん汲み取って、“1人で演じているけれども一人芝居ではない”というところまで作り込んでいきたいと思っています」

 今回は、稽古も別々におこなわれる予定だという。それぞれのキャストが作り上げる、三者三様の“スーパーヒーロー”が誕生する。

(取材・文:嶋田真己 撮影:立川賢一 スタイリスト:髙木阿友子 ヘアメイク:YOSHi.T)

プロフィール

近藤公園(こんどう・こうえん)
2000年より大人計画に参加。同年、『キレイ-神様と待ち合わせした女-』で初舞台を踏む。2001年、映画『ウォーターボーイズ』で映画初出演。主な出演に、こまつ座『太鼓たたいて笛ふいて』、ケムリ研究室『眠くなっちゃった』など。

田代万里生(たしろ・まりお)
2003年、東京室内歌劇場公演 オペラ『欲望という名の電車』でオペラデビュー。2009年、『マルグリット』でミュージカルデビューを果たす。主な出演に、ミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』、『エリザベート』など。

松尾 諭(まつお・さとる)
2000年、映画『忘れられぬ人々』で俳優デビュー。著書「拾われた男」のドラマ化も話題を集めた。主な出演に、映画『シン・ゴジラ』、Netflix『地面師たち』、舞台『ワタシタチはモノガタリ』など。

田中麻衣子(たなか・まいこ)
日本大学芸術学部演劇学科卒業。日本の近代戯曲から新作、シェイクスピアなどの海外古典、新作ミュージカルなど、多岐にわたり演出。

公演情報

せたがやアートファーム2025
『キャプテン・アメイジング』

日:2025年7月26日(土)~8月3日(日)
  ※他、愛知公演あり
場:シアタートラム
料:一般7,000円 高校生以下2,000円
  ※要身分証明書提示(全席指定・税込)
HP:https://setagaya-pt.jp/stage/25010/
問:世田谷パブリックシアターチケットセンター
  tel.03-5432-1515(10:00~19:00)

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