勢いを引き継ぎ、バトンを渡し、ラストまで駆け抜ける 笑って泣けるエンターテインメント時代劇! ロングラン公演が絶賛上演中

勢いを引き継ぎ、バトンを渡し、ラストまで駆け抜ける 笑って泣けるエンターテインメント時代劇! ロングラン公演が絶賛上演中

 2012年に朝比奈文邃が旗揚げしたエンターテインメント時代劇の一座「ざ☆くりもん」。時代劇をベースにしつつも、幅広い年齢層に分かりやすく、親しみやすい、笑って泣けるハートフルコメディ人情劇を届けている。
 2025年4月5日から、ロングラン公演『六道追分』が池袋シアターグリーンBASE THEATERにて開幕。第一期(2025年4月5日〜27日)、第二期(同年4月30日〜5月11日)、第三期(同年5月13日~25日)、第四期(同年5月27日~6月8日)、第五期(同年6月11日~6月22日)、第六期(同年6月25日~7月6日)、第七期(7月9日~7月20日)、第八期(7月9日~7月20日)と予定されている。
 『六道追分』(ろくどうおいわけ)は、江戸時代を舞台にした逃亡劇。鬼アザミ清吉は子分の粂次郎、伊助、三吉とともに世を騒がせる盗賊だったが、狙うは汚い守銭奴ばかり。さらに奪った宝を庶民に配る痛快な犯行に、一味はいつしか江戸庶民に人気の「義賊」になっていたが、ある日、「吉原」のお宝を狙っていたところ、思わぬ出来事が起こり、東海道を逃げることになってしまうという物語。
 今回は第四期まで主人公の清吉を演じる山田拓未、第一期で粂次郎を演じ、第五期で清吉を務める早乙女じょうじ、そして第六期で清吉を演じる谷佳樹に本作の見どころや役柄への思いなどを聞いた。


―――山田さんは第四期まで、早乙女さんは第五期、谷さんは第六期に同じ清吉を演じます。まず、早乙女さんと谷さんから清吉として出演が決まったお気持ちを聞かせてください。

早乙女じょうじ(以下、早乙女)「ロングラン公演の中で主演を務めさせていただくことにとても喜びを感じています。(山田)拓未さんが長い期間、清吉を演じるので、それを超えていかなくてはいけないと感じてしまいがちですが、超える、超えないではなく、自分なりの清吉を演じて、少しでもこの『六道追分』のロングランの力になれたらと思っています」

―――早乙女さんは第一期では粂次郎役で出演されていますよね。次は役が変わって清吉を演じられるというのもまた、とても楽しみです。

早乙女「ちょうど今(取材当時)、公演をやっていますが、清吉のセリフを聞きつつも覚えないようにしています(笑)。拓未くんからヒントをもらい、自分なりの清吉に生かせたらと思っています」

―――谷さんはいかがですか?

谷佳樹(以下、谷)「これほどのロングラン公演って、今、珍しいですよね。僕自身、時代劇が好きなので、観劇させていただき、より楽しみになりました。初めて出演させていただく団体さんということもあって、お話をいただいたときからとても楽しみでした」

―――第一期の公演をご覧になった率直なご感想は?

谷「すごくすてきな作品でした。僕も清吉を演じるんだと思いながら観させていただいたのですが、気がついたらストーリーに引き込まれていて。僕はもともと純愛ものがすごく好きなので、この作品の上質な純愛に惹かれました。僕の好きな作風だったので、より楽しみになりました」

早乙女「特にラストがいいんだよね」

谷「はい、頑張ろうと思いました。じょうじさんが言うように、自分なりに演じていきたいと思います!」

―――山田さんからは、ついに公演がスタートした今の率直なお気持ちを聞かせてください。

山田拓未(以下、山田)「きちんとやり切れるのかなという気持ちがまずあります(笑)」

早乙女「何公演くらい出るの?」

山田「通し稽古を入れると、100公演近く演じるんじゃないかな」

谷「すごい!」

山田「なので、自分なりにバランスを取り、ケアを怠らずに、粛々と頑張っていきたいなと思っております」

早乙女「何チームで出るの?」

山田「第一期はシングルキャストだったので、僕が出るのは5チームですね」

谷「それだけ共演者がいると、知り合いもめちゃくちゃ増えますね(笑)」

山田「○期の誰々ですとなっても、訳がわからなくなってしまいそうです(笑)。でも、たくさんの方とお芝居ができるのは楽しみです。次の第二期の稽古も始まるので、どうなるのかなという感じです」

早乙女「え、嘘でしょう?」

山田「第一期の本番をやりながら、第二期の稽古です」

谷「……すごいですね。主演をやりながら、次の稽古でもまた主演をやられて」

早乙女「何してんの(笑)?」

山田「何してるんだろう(笑)」

谷「作り上げたものを一度、崩さないとダメですもんね。今、出来上がっているものをなぞるというのもまた違うけれど、なぞらないといけないところもあるだろうし」

山田「今でも〈龍〉チームと〈剣〉チームの2つに出ていてできているので、それを応用していけばいいのかなと思っています」

―――皆さんが演じる清吉というキャラクターについては、今の時点ではどう捉えていらっしゃるんですか?

山田「前回のカンフェティさんのインタビューのとき、清吉を演じる4人にお話を聞いてもらったのですが、4通りの清吉像があったので、捉え方が違って面白かったですね。(第二期で清吉を演じる)瀬戸啓太くんは、子どもっぽい人と捉えていたようです」

―――やはり演じる人によって捉え方も演じ方も変わりますよね。

早乙女「僕としては、大人な清吉を作り上げていきたいなと今は思っています。まだ他のキャストさんが分からないので、これから変わってくるかもしれませんが、ロングランの中でも大人な清吉を目指したいです。違いを作りたい」

谷「役者は、職業病なのか『自分がこの役を演じさせていただけるならこういう感じになるだろうな』とか、『そこはこう演じるんだ?』と思いながら観劇をするところがあると思いますが、この『六道追分』を観劇したときもそう感じたシーンがいくつかありました。おっしゃるように役者が変わると作品が変わっていきますし、登場人物の印象も全く変わると思うので、それがロングランの面白さでもあるのだと思います。観劇して感じたのは、僕はきっと感情を率直に出す、子どもっぽさを持った清吉になるのではないかと思います。山田さんが演じる清吉は感情を抑えたところあって、それが大人の清吉に感じたので、僕はもっと子どもっぽい印象になるのかなと思います」

早乙女「僕も子どもっぽくしようかな」

山田・谷「あはは(笑)」

―――山田さんは実際に幕が開いて、清吉に対する思いや演じ方が変わったり、確信が持てたりしたところはありますか?

山田「〈龍〉チームと〈剣〉チームで少しずつニュアンスは変わっていると思います。僕の中では〈剣〉チームの方が子どもっぽさはあるのかなと。ただ、自分自身では、まだ確実にこうだと固められていないところがありますし、やはりお相手の方が変わるとこちらも変わってくるので、同じように演じていても違ってくるのだとは思います」

―――なるほど。ちなみに、こうしたロングラン公演で、しかも1日2公演の日もかなりありますが、実際に行っている体のケアやロングラン公演に備えていることはありますか?

山田「普通のことですが、風呂に入ってストレッチするというような基本的な体のケアは怠らないようにしています。あとは、なるべく早く寝る。結局朝6時半から7時には起きてしまうのですが」

谷「やっぱり気を張っているんでしょうね」

―――以前から体力作りなどはされていたんですか?

山田「元々、器械体操をやっていたので、その延長で体はずっと動かしていました。筋トレも定期的に行っているので、基本的な体力はあるのかなとは思います」

早乙女「ただ、清吉は今回、それほど体力勝負じゃないよね」

山田「はい、それはありがたいところです」

谷「殺陣などの派手なシーンばかりではなく、ストーリーで見せていくというのはこの作品の魅力でもありますよね」

山田「(第一期で早乙女が演じている)粂次郎役も大変じゃないですか?」

早乙女「全然、全然。いい塩梅だと思います、ストーリーの中に入る殺陣が」

山田「ざ☆くりもんでは、きれいな殺陣というよりは、感情で動く殺陣をお見せしたいと思っているので、今回も感情を優先した殺陣になっています。それから、今回、シアターグリーン BASE THEATERで上演しているので、声を思い切り張らずにすむというのも僕としてはありがたいです。やはり公演が続くと声を張り上げ続けるのは大変なので」

―――早乙女さんは、粂次郎としてステージに立って今、どんなことを感じていますか?

早乙女「演出の文さん(朝比奈文邃)さんや演出助手の方がバランスを見てキャラを演出してくださるので、すごくいいメンバーになっていると思いますし、僕もそれに乗って楽しくお芝居できています。男性キャストも女性キャストも個性が強い人たちが多いので、やっぱりバランスがすごく大事だと思うんです。同じ方向にいっても面白くないでしょうし、作品自体もうまくいかないと思うので、秀でているものをみんなが出しつつ、バランスをとってできているなと思います」

―――では、お互いの印象も聞かせてください。今回は、清吉を引き継いでいくメンバーに集まっていただいたので、リレー形式で印象を教えていただけますか? まずは、早乙女さんの印象を山田さんから。

山田「最初はあまり話さない方なのかなと思っていましたが、めちゃくちゃ話しかけやすかったです。冗談を言ってもらえるのは、人見知りの僕からしたらすごく嬉しくて『やった!兄さん!』という感じでした」

早乙女「冗談しか言ってない(笑)」

山田「いや、最高です」

―――初共演ですよね?

山田「そうです」

早乙女「最後までうるさいかもしれませんが、よろしくお願いします(笑)」

―――早乙女さんから見た谷さんの印象はいかがですか?

早乙女「谷とは共演した経験もありますが、プライベートも交流があって」

谷「共演よりもプライベートで会ったのが先だったと思います」

早乙女「そうだね。その後に共演して、コメディ作品の配信をコロナ禍でやったりもしました。舞台ではそれほど多く絡んではいないのですが、一緒に作る上で楽しむ気持ちがあるし、座組みを盛り上げる意識もある人という印象があります。まとめるタイプとみんなを巻き込んで盛り上げるタイプの2つに分かれるとしたら、谷は周りを巻き込んで盛り上げていく人だと思うので、きっと第六期でも良い雰囲気の『六道追分』が出来上がるのではないかと思います」

谷「頑張ります」

―――では、最後に谷さんから見た山田さんの印象を教えてください。

谷「僕は今日初めてお会いするのですが、この取材を通してすごく真面目な方なんだろうなと。僕にそっくりで……」

早乙女「……それは突っ込んだ方がいいの?」

谷「突っ込んで欲しかったです(笑)」

早乙女・山田「あはは(笑)」

谷「この『六道追分』という作品の核となる方なので、公演を観劇させていただき、すごく大きな収穫になりました。じょうじくんが言ってくださったように、それぞれの色で勝負した方がもちろん良いと思いますし、ロングラン公演の意味はこの作品の良さをいろいろな角度から知ってもらえることだと思います。なので、ぜひ第一期から第五期までの方たちにこの『六道追分』のファンをガッツリ掴んでいただいて、『第六期は集客しなくても大丈夫。この作品が観たいという方がたくさんいる』という状況にしていただけたら助かります(笑)。もちろん、僕たちも新たなお客さまに観ていただけるように頑張ります」

―――最後に公演への意気込みと読者にメッセージをお願いいたします。

早乙女「第一期でとてもいいスタートを切れたという感覚があるので、第二期、第三期、第四期とさらに盛り上がっていって、第五期でこの勢いを落とさないように。そして、その勢いをきちんと引き継いで、第六期の谷に良いバトンを渡せるように、稽古から本番まで自分らしく楽しんで舞台を盛り上げたいなと思っております。ぜひ観に来てください。お願いします」

谷「人によってこの期がよかったという好みはあるかもしれませんが、それぞれの色を出す役者が集まっていると思うので、自分なりに精一杯この世界観で生きられたらと思っています。応援しに来ていただけたら嬉しいです」

山田「第八期までありますので、僕はまず第一期から第四期まで続けること。それから、バトンをきちんとお渡しできるように盛り上げていきたいと思っております。第五期以降は離れますが、応援できるようにいろいろと模索しています。離れてもバンバン宣伝をします(笑)。とてもすてきなお話なので、ラストまでこの勢いのまま突っ走りたいと思っております」

(取材・文&撮影:嶋田真己)

プロフィール

山田拓未(やまだ・たくみ)
1986年2月1日生まれ、大阪府出身。テーマパークでダンサー・アクターとして活躍の後、2008年に蜷川幸雄演出の舞台『さらば我が愛覇王別姫』で役者デビュー。主な出演作品に、杉並演劇祭優秀賞 一茶企画『最後の晩酌』(2021)、大統領師匠vol.13『ユナイテッドステイツ』(2021)、ラゾーナ川崎プラザソル周年公演『俺は黙って鍋を振る』(2022)など。

早乙女じょうじ(さおとめ・じょうじ)
1986年12月8日生まれ、福島県出身。俳優ユニット「TeamUnsui」メンバー、ラジオや舞台イベントで活動するほか、ショートドラマ制作チームPICTFILM「行けよ。おじさん」SNSで配信中。TikTokショートドラマ「セイカイガワカラナイ」などにも出演中。主な出演作品に、舞台『刀剣乱舞』、イケメン戦国THESTAGE、ミュージカル『忍たま乱太郎』『ワールドトリガー the Stage』など。

谷佳樹(たに・よしき)
1987年6月8日生まれ、大阪府出身。2016年から2018年にかけて、2.5次元ダンスライブ『ツキウタ。』ステージ【ツキステ。】シリーズで長月夜役を好演し、注目を集めた。2023年には自身初となるオリジナルブランド「taniCo.」の立ち上げ、初の個展「Co.re 2023 ~芯~」の開催など、活躍の場を広げている。代表作に、舞台『信長の野望・大志』シリーズ 明智光秀役、『文豪とアルケミスト』シリーズ 志賀直哉役、『DARKNESS HEELS ~THE LIVE~』ジャグラスジャグラー役など。

公演情報

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」第33回ロングラン本公演 『六道追分』【第5・6期】

日:2025年6月11日(水)~7月6日(日)
場:シアターグリーン BASE THEATER
料:SS席[前2列]8,000円 S席6,000円
  (全席指定・税込)
HP:https://alii-inc.co.jp
問:アリー・エンターテイメント 
  tel.090-3500-9394(平日10:00~17:00)

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