
宮沢賢治の小説『銀河鉄道の夜』を朗読で上演するリーディング『銀河鉄道の夜』が、23年に続き上演される。演出を手掛けるのは彌勒忠史、キャストに飛龍つかさ・宇月颯・水夏希という贅沢な顔ぶれが揃った。
彌勒「この文学作品には行間を“間”として味わえる、朗読というスタイルが合うと思っています。『銀河鉄道の夜』は子どもの頃に読んでいて、当時はファンタジー的設定に惹かれていましたが、大人になってからは描かれているドラマに目が向くようになりました。登場人物の名前がイタリア風だったり、作中に讃美歌が出てきたりとクラシック音楽家として関心が湧くポイントもあり、何度読んでも“おいしい”作品だと感じます」
ジョバンニ役を演じる飛龍に、リーディングに向き合うにあたっての意気込みを聞いた。
飛龍「以前から身体を使わず、声だけで表現する世界に憧れがありました。声音1つで作品の世界をどこまでも深められる可能性がある、リーディングの世界に挑むのが楽しみです! 少年を演じられるのも喜びの1つ。作品が文語体で書かれていて、『では僕、行ってこよう』など宮沢賢治独自の文章を音声として発したとき、お客様にどのように届くのか興味があります。観客の皆さんが『また聞きたい』とクセになるようなリーディングにしたいですね」
彌勒「私は『銀河鉄道の夜』は非常に音楽的だと考えています。韻文に近い散文なので、『歌を歌う人たちにやってもらいたい』という想いがずっとありました。宝塚出身のお三方にやっていただけるのは理想的! また全員、優れたダンサーでもあるというのが大きい。リズムは音楽の根源。ダンサーの方が歌う歌は、リズムがしっかりしていて素敵なのです。そんなわけで、今回のお稽古にはもう楽しみしかありません!」
飛龍「宇月さん、水さんは同じ学校・劇団出身ゆえの絶大な信頼があり、心強いです。お二方のお芝居は何度も拝見して素敵だなと思っていたので、たくさん芝居を交わして、あれこれセッションできるのが嬉しいです」
23年度版からブラッシュアップする演出も見どころだ。
彌勒「プロジェクションマッピングによる書き割り的表現をなくし、お客様の想像力に委ねる瞬間を多くして、聴覚への集中度を高めたいと思っています。また、賢治は西洋音楽に心を寄せていたので、今回はピアノ演奏を入れていきます。どんな音楽になっていくのか、朗読との『化学反応』が楽しみです」
飛龍「同じ作品でも演じ手が違えば全く違うものになる、というのを何度も経験してきました。舞台の魅力は生であること。最善の道を採るため、稽古場で調整していける環境に助けていただきつつ、精一杯努めたいです」
(取材・文:木下千寿 撮影:間野真由美)


彌勒忠史さん
「マッコウクジラでしょうか。大型の鳥類になって、自力で空を飛び、その眺めを楽しみたいとも思ったのですが、神秘的な海の世界をくまなく眺めたいという気持ちもあります。海の表層から深海へと潜ってゆくなかで、どんどん変わってゆく海の中を想像するだけでワクワクが止まりません。ダイオウイカと格闘する機会があれば、さらに楽しそう! 人はこうして想像の翼を広げて、あらゆる世界を楽しむことができる。だからこそ、文学があり、演劇、音楽があるのだなぁ、としみじみ思います」
飛龍つかささん
「1日限定で変身出来るとしたら、ディズニーのパレードダンサーになりたいです。宝塚のショーと、似ているような、でもまた違うエンターテイメントだと思い大好きなのですが、パレードルートを進みながらゲストを楽しませつつクオリティの高いダンスなどのパフォーマンスを見せてくれるダンサーさんがいつもカッコよく見えるので、なってみたいです!」
プロフィール

彌勒忠史(みろく・ただし)
千葉大学卒業、同大学院教育学研究科修了。東京藝術大学声楽科卒業。カウンターテナーとして国内外のオペラ・コンサート、テレビやラジオ番組へ出演、参画するなど広く活躍。また演出家としても、オペラを中心にさまざまな舞台を手掛ける。

飛龍つかさ(ひりゅう・つかさ)
10月11日生まれ、東京都出身。2012年に宝塚歌劇団へ入団。2022年の退団後、日中合作 音楽劇「李香蘭-花と華-」川島芳子役に抜擢され、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』ジュディ・ナイトレー役で声優デビュー。俳優・声優としてのキャリアをスタート。2025年4月にはミュージカル『薔薇王の葬列』に主演するなど、舞台を中心に精力的に活動。
公演情報
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リーディング 『銀河鉄道の夜』
日:2025年5月9日(金)~11日(日)
場:あうるすぽっと
料:8,000円(全席指定・税込)
HP:https://artistjapan.co.jp
問:アーティストジャパン
mail:info@artistjapan.co.jp