斬新なアイデアと新たな演出・振付で評判の作品が新国立劇場に初登場 初役に挑む3人が、熱い想いを胸に役に挑む

 数々のバレエ公演の中でも、バレエ団独自の新演出版や新振付版を観るのは大きな楽しみの1つだろう。NBAバレエ団が2018年に上演した『海賊』も、芸術監督の久保綋一が手がけた新演出版で、大きな反響を巻き起こした。久保に加えて宝満直也を振付に迎え、音楽には現代音楽家の新垣隆を起用。さらにファイト・ディレクターの新美智士によるアクション指導によって、迫力ある剣技満載の戦闘シーンを盛り込んだ。3度目の上演となる今回、メドーラ役の米津美千花、ギュリナーレ役の市原晴菜、アリ役の中山諒は、それぞれ初役に挑む。

米津「もう結構長くバレエ団にいるので、2回目の役が徐々に増えてきていますが、初めてでないと見ることのできない景色があるんです。初役だからこそ新鮮に踊れるところがありますね」

市原「私はまだ初役が多くて、毎回心臓がバクバクいってます(笑)。稽古を通して出来ることはやり尽くして、本番を迎えたいです」

中山「僕はまだ入団して日も浅いですが、そもそも『海賊』は初めて取り組むレパートリーなんです。でも、アリは子どもの頃から憧れていた役で、バリエーションをYouTubeで探して観ていたくらいです。だからすごくわくわくしていますが、クールな一面もある役なので、心を落ち着かせて演じたいです」

 それぞれの言葉からは初役だからこその緊張感が伝わってくる。まだ稽古前の時点ではあるが、それぞれどんな役作りを目指していくのだろう。

中山「客席で観ていて思わず惚れちゃうような、男らしいアリを目指していきたいですね。僕は太りやすい体質なのですが、『海賊』は上半身裸で踊るので絞っていかないといけないと思っています」

市原「ギュリナーレは奴隷の身分ですが、皆さんに綺麗だなと思っていただきたいです。表情も研究して、観ている側が感情移入できるような踊りが出来たらいいですね」

米津「私も表情は研究したいです。今まで演じてきたのが比較的可愛くて感情を素直に出すような役が多かったんです。メドーラはコンラッドに対して深い愛情を持っているからこそ、あまり無茶を言わない、おしとやかなイメージ。今回は、新たな役柄への挑戦でもあります。それにコンラッドが北爪さんなので、きっと深い愛情を見せてくれると思いますから、それに応えて踊りたいです」

(取材・文:渡部晋也 撮影:平賀正明)

新生活! 最近新調したグッズを教えてください

米津美千花さん
「最近新調したグッズは、電気ブランケットです。最近とても寒かったですし、少し前から気になっていたので購入してみました。とても軽く、大きさもちょうどいいです。よく下半身が冷えない様に膝から掛けているのですが、肩から羽織れたりもするので凄く便利で、毎年の冬の必需品になりそうです。
 少し失敗した点は、コードがついてるのを購入したので羽織ったまま移動が出来ないのが残念でした。次回はコードレスの物にしたら、公演などにも持って行けそうだと思ったので、そのような物を購入しようと思います」

市原晴菜さん
「私が最近新調したグッズは、ウォームアップ中に着るNIKEのトレーナーです! とても好みの形と色でお店で即決しました! 私はもともとNIKEのウェアがとても好きでたくさん愛用しています。このウェアを着た日のレッスンは、いつもより少しウキウキした気分で踊っています! 実はもうすぐ自分でデザインカスタムできるNIKEのウェアを作りに行く予定があり、今からとても楽しみにしています」

中山 諒さん
「最近、ダークブラウンのトラックジャケットを購入しました! 僕は、身につけるものによって気分が変わるタイプで(笑)、普段の生活はもちろん、お稽古の時にもモチベーションに影響します。これまでレッスン用に着用していたジャージは、4年間着続けたことで色褪せ、縮んでしまっていて……。そろそろ新しいものに買い替えようかなと思っていたときに、このジャケットを見つけました! シンプルながらもブラウンの色味が良くて、「これを着てお稽古したいな!」と思いました。今ではすっかりお気に入りです!」

プロフィール

米津美千花(よねつ・みちか)
埼玉県出身。3歳よりエアリーズバレエスタジオにて高柳えり子に師事。東京高等バレエ学校に入学してバレエを学ぶ。その後、Australia National Theater Ballet School へ留学。帰国後の2016年にNBAバレエ団にアーティストとして入団。現在ソリストとして活躍中。

市原晴菜(いちはら・はるな)
奈良県出身。10歳よりYumi Bright Balletでバレエを始め、矢木由美に師事。高校を卒業後に京都バレエ専門学校に入学。有馬えり子、安達哲治らに師事。専門学校卒業後、NBAバレエ団に入団。現在ソリストとして活躍中。

中山 諒(なかやま・りょう)
石川県出身。6歳よりバレエを始める。2019~2023 年にかけてフランスのカンヌ・ロゼラ・ハイタワーに留学。クラシック、コンテンポラリー、ネオクラシックを幅広く学び、在学中には様々なジャンルの作品に出演。2023年、同学校を卒業しディプロマを取得。帰国後の2024年にNBAバレエ団にアーティストとして入団。

公演情報

NBAバレエ団『海賊』

日:2025年6月7日(土)・8日(日)
場:新国立劇場 中劇場
料:S席9,900円 障がい者S席7,900円
  車いすS席5,000円
  学生席[25歳以下]2,000円
  ※障がい者S席・学生席は要身分証明書提示
  (全席指定・税込)
HP:https://nbaballet.org
問:NBAバレエ団
  tel.04-2937-4931(9:00~17:00/土日祝休)

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