母と娘、そして家族の中で起こるすれ違い。それが導く結末は? オフ・ブロードウェイで話題をさらった作品を日本初演

母と娘、そして家族の中で起こるすれ違い。それが導く結末は? オフ・ブロードウェイで話題をさらった作品を日本初演

 2019年のオフ・ブロードウェイで話題をさらった『リンス・リピート』は、母と娘を中心に、ある家族の姿を描き出した作品。物語は、摂食障害の治療を終えた娘が帰宅するところから始まる。その娘を吉柳咲良が、彼女を迎える母親を寺島しのぶが演じる。

寺島「治療施設から娘が帰ってから4日ほどの濃密な時間の話です。家族って解り合えているようで実はそうではなく、逆に血が繋がっていなくても解り合えることもある。家族とは何かを客観的に観て感じていただきたいですし、誰もが何かしら共感していただける物語だと思います」

吉柳「摂食障害であったことはもちろんなのですが、家族の中での自分の立ち回りや、家族の中で彼女が何を思ってきたかが、話を進めるにあたって重要になってくるのかなと思います。家族それぞれに対して関わり方の違いや思いがありますし、親しいはずなのに治療で心が離れていたからこそ、家族内ですれ違いが起こるのだとも思います。本当の意味で解り合う、互いを思いやるとは何かを、改めて考え直す作品になると思います」

 舞台に立つのはほぼ1年ぶりだという寺島と、舞台だけでなくドラマなどでも大活躍の吉柳が、どんな母娘を見せてくれるかが大いに楽しみだ。お互いの印象はどうだったのだろう。

寺島「凄く頭のいい子だなと思いました。台本を他人の部分まで読み込んで、舞台の在り方を言葉にできる。この歳にして凄いなぁと思います。でもこのカンパニーはそういう方が多く、稽古を進める中で、常にクリエイティブでクレバーな現場になっています」

吉柳「ビジュアル撮影で初めてご挨拶させていただいたのですが、寺島さんは気品がありますし、姿勢も美しく凜とされていました。その美しい佇まいに緊張感が走りました」

 これからキャスト5人で更に深い稽古に入る前に、それぞれの意気込みを語ってもらった。

吉柳「センシティブな内容だと捉えられがちですが、構えすぎずに観てもいいんじゃないかと思います。きっと身近にある話ですし、家族という近すぎる距離感だから、結果として起こした摂食障害じゃないかと。むしろそこに至るまでを観ていただけるように意識していきたいです」

寺島「紀伊國屋サザンシアターというコンパクトな劇場での家族の話です。90分休憩無しでジェットコースターのような舞台になると思います。是非お越し下さい」

(取材・文:渡部晋也 撮影:番正しおり)

プロフィール

寺島しのぶ(てらじま・しのぶ)
文学座を経て、舞台・映画・ドラマで活躍。荒戸源次郎監督の『赤目四十八瀧心中未遂』と、廣木隆一監督の『ヴァイブレータ』で国内外の映画賞の女優賞を数多く受賞。若松孝二監督の『キャタピラー』で第60回ベルリン国際映画祭 銀熊賞(女優賞)を獲得。平柳敦子監督の『OH LUCY!』でインディペンデント・スピリット賞 主演女優賞にノミネートした。2021年、報知映画賞 最優秀助演女優賞を受賞。2023年、大人の女性として初の歌舞伎座で、山田洋次演出『文七元結物語』に出演した。

吉柳咲良(きりゅう・さくら)
2016年に開催された第41回ホリプロタレントスカウトキャラバン PURE GIRL 2016にて、当時歴代最年少の12歳でグランプリを受賞。翌年、ミュージカル『ピーター・パン』で10代目のピーター・パン役として舞台デビュー。その他、『デスノート THE MUSICAL』、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』に出演。さらにテレビドラマや映画に数多く出演するほか、アニメ映画・吹替映画の声優、音楽活動と活動の幅を広げている。

公演情報

舞台『リンス・リピート ―そして、再び繰り返す―』

日:2025年4月17日(木)~5月6日(火・振休)
場:紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
料:8,800円
  U-25[25歳以下]6,000円
  (全席指定・税込)
HP:https://horipro-stage.jp/stage/rinserepeat2025/
問:ホリプロチケットセンター
  tel.03-3490-4949
    (11:00~18:00/土日祝休)

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