“終わらなかった世界”と“終わってしまった世界”が交錯する 90年代のメロディで彩る、新作エンターテインメント音楽劇

“終わらなかった世界”と“終わってしまった世界”が交錯する 90年代のメロディで彩る、新作エンターテインメント音楽劇

 女性キャストのみで描かれる、デタラメな世紀末エンターテインメント音楽劇『NINETEEEEN GRRRLZ’99』が上演される。脚本・演出を務める山崎彬に本作の構想を聞くと。

山崎「友達に連れてこられた方や出演者のファンなど、普段あまり演劇を観ない人に楽しんでもらえる作品を小劇場で作りたい。そして、CDが売れて音楽番組が華やかだった90年代のメロディを使いたい。この2つのオーダーが始まりでした。99年当時、僕は人類が滅亡するという“ノストラダムスの大予言”を信じて、本当に世界が終わると思っていました。でも、世界は終わらなかった。本作では、演劇の“ウソ”を使いながら、“終わらなかった世界”と“終わってしまった世界”が交錯する物語を描きたいと思ったんです」

 出演する山口乃々華は、直近の出演作と世界線が似ている点に、縁を感じているようだ。

山口「日常や固定概念に因われず、自分の想像を超えた世界をどうお芝居に投影させていくのか。それがきっと今の私の課題なんだろうなと思っています」

 90年代のメロディがどう物語に組み込まれていくのか、期待が膨らむ。2人に90年代の音楽のエピソードを尋ねると。

山口「カラオケでもよく歌うくらい、華原朋美さんの『I’m proud』が大好きです!」

山崎「レンタルショップで音楽を試聴したり、音楽番組も欠かさずチェックしたりしましたよね。僕は、ゆずや19(ジューク)をよく聴いていました」

 最後に、本作への意気込みと読者へのメッセージを聞いた。

山崎「今は自分が好きなものをザッピングして見るのが主流になっていて、“みんなで観る”機会はなかなかないと思う。でも演劇をやっている以上、“みんなで観る”良さは絶対あると僕は信じているし、ぜひそのライブの素晴らしさを体感してほしいです。物語では30代後半から40代の人々の青春時代が出てくるので、同世代の人たちには刺さると思いますが、一方で今の若い世代の人たちがこれを観てどう感じるかにも興味があります。気になった方はぜひ!」

山口「お客さんと距離が近い劇場なので、集中力が求められるし、自分も緊張すると思います。でも、一緒に楽しめる仕掛けがあるようなので、純粋に楽しみたい。きっと皆さんも聞いたことがあるような90年代のメロディで彩られるということで、幅広い世代の方に楽しんでいただけたら嬉しいです」

(取材・文:五月女菜穂 撮影:立川賢一)

プロフィール

山崎 彬(やまざき・あきら)
1982年12月10日生まれ、奈良県出身。脚本家・演出家・俳優。「愛しのボカン大作戦」旗手。2004年、京都にて劇団「悪い芝居」を旗揚げ、全公演で作・演出・出演をしている。『駄々の塊です』で佐藤佐吉賞2011 最優秀作品賞・優秀脚本賞を受賞し、第56回岸田國士戯曲賞 最終選考にもノミネートされた。『メロメロたち』では、第24回OMS戯曲賞 大賞を受賞。

山口乃々華(やまぐち・ののか)
1998年3月8日生まれ、埼玉県出身。「E-girls」として、2012年よりパフォーマーとして2020年末まで活動。2021年より、本格的に女優としての活動を開始。主な出演作に、ミュージカル『ジェイミー』、『SPY×FAMILY』、『ラフへスト』、KAAT神奈川芸術劇場プロデュース 音楽劇『愛と正義』など。

公演情報

SAKURACROSS PROJECT
『NINETEEEEN GRRRLZ’99』

日:2025年4月3日(木)~13日(日)
場:六本木トリコロールシアター
料:S席[特典付・前方2列目以内確約]13,000円
  A席 9,900円(全席指定・税込)
HP:https://www.meijiza.co.jp/others/2025_04_01/
問:明治座チケットセンター
  tel.03-3666-6666(10:00~17:00)

Advertisement

インタビューカテゴリの最新記事