没入感のある最強の“2.5次元”コンテンツ、新たな世代へ! 「アルスマグナ」新メンバーによる『クロノステージvol.6』まもなく開幕

 2.5次元コスプレダンスユニット「アルスマグナ」。彼らは私立九瓏ノ主(クロノス)学園を舞台に2次元と3次元(現実世界)を行き来することが出来る存在として、動画サイトでの活動から始まり、イベント、舞台出演に音楽活動と活動の場を年々広げている。活動は10年以上におよび、ファンとメンバーの絆はこの“コロナ禍”であっても非常に強固なものだ。そんな彼らだが、先日初代のオリジナルメンバーが卒業し、その魂は新たなメンバーたちに受け継がれた。そんな中、まもなく本番を迎える『クロノステージvol.6』について、誰よりもアルスマグナを理解している脚本・演出のOH-SEに話を聞いた。


―――まずは「アルスマグナ」について教えていただけますか?

「約10年前にニコニコ動画の“踊ってみた”というジャンルから始まって、舞台、ライブ出演へと派生していったユニットです。このご時世で今回は久しぶりの、そして先日オリジナルメンバーが卒業したので、新メンバーの6人での初めての舞台になります」

―――今回の『クロノステージvol.6』について、どのようなテーマやメッセージをお客様にお届けしたいとお考えでしょうか?

「『クロノステージ』、アルスマグナが主に描くのは高校生男子たちの日常なんですが、高校生の男の子にとって、大人になって思い返せばほんの小さいことでも、それがものすごく大事件だったり、青春だったりするじゃないですか。たとえば、これは『クロノステージ』の本編とは何にも関係ないんですけど、『大事にとっておいた“あんまん”を誰かにとられた!』とか、もっと分かりやすく言うと『好きな子が出来た!』とかね。そういう些細な日常を描くのが元々のアルスマグナ自体のテーマでもあって……その空気感をお客様にも共有してもらいたいです。
 人それぞれ大なり小なり悩みがあって、それを乗り越えて生きていくんだと思うんですが、『クロノステージ』でアルスマグナのメンバーたちが些細なことも含めて一生懸命に乗り越えていく様子を見て、学校にこういうヤツいたな~、こんなことで私も悩んでいたな~、って共感しながら観ていただけたら嬉しいですね。ただ“2.5次元”なので、日常じゃ起こりえないようなことも沢山起きちゃうんですけど(笑)」

―――新メンバーでの公演とのことですが、フレッシュな彼らならではのストーリーや演出もありますか?

「新メンバーの6人が約10年も活動していたグループをいきなり背負うことになるのって……なかなかキツイじゃないですか。バカ騒ぎしている中で、どこかその“葛藤”も、作品の中で描いていけたらいいなと思っています」

―――アルスマグナを熟知しているOH-SEさんが脚本・演出を務めるというのも大変意味があることだと思っています。ご自身だからこそ出来る演出や脚本のギミックはありますか?

「確かに、アルスマグナの6人の1番身近にいる脚本・演出家であることは間違いないです。だからこそ知り得ている彼らのクセや、いわゆるファンの方がクスっとなるような“身内ネタ”を脚本演出の中で上手く引き出してあげることが出来たらなと……それこそが僕が脚本演出に選ばれた意味だと思っているので。新メンバーの6人の個性や魅力をこの舞台を通じて、今でもアルスマグナを応援してくれるファンの方々、さらには新規ファンの方々に届けていきたいです」

―――歌やダンスも含めての総合的なステージになると思うのですが、見どころは?

「僕自身は舞台やミュージカルが大好きで、リスペクトしている前提で聞いてほしいんですが、日常で舞台みたいに、急に自分にピンスポットが当たって心の声がモノローグで流れたり、はたまた感情が高ぶって急に歌い出したりなんてしないじゃないですか(笑)。これってふと我に返って俯瞰で観た時に、ちょっと面白いなって思って……」

―――確かに、当たり前のように受け入れていますが、冷静に考えるとそうですね(笑)。

「だからいっそ、この演出を逆手にとって、コメディにしちゃったらどうかなって。アルスマグナの6人もとてもダンスが好きで練習してますし、ボーカルになった(小日向)タケルも自分なりに目標を見つけて歌の練習をしています。彼らが一生懸命やっている様子をただ応援してください、っていうのは誰でも出来ることですが、それだけじゃなくて、未熟でも必死に頑張る彼らを微笑ましく、楽しく見守ってもらえるような構造にしたいなと思って……色々な仕組みを考えています!」

―――ダンスといえば、OH-SEさんは先日、日本発のダンスのプロリーグ「D.LEAGUE(ディー・リーグ)」のディレクターに就任されたそうで、そちらについてもお話伺えますか?

「ぜひ! ダンス、特にストリートダンスってプロとアマチュアの線引きがずっと曖昧なまま来ているのですが、ダンスをする若者たちの人口だけとにかく増えているという状況なんです。そこで将来ダンスで生計を立てたい、ってなった時に、じゃあ振付師になれば成功なのか、ダンス教室の先生になれば正解なのか、それともイベントに出続けてゲストとしてギャランティをいただくということを続ければいいのか……ふんわりした感じで。何でかっていうとストリートダンス自体の歴史が演劇や同じ踊りでもバレエなどに比べると圧倒的にまだ浅いからなんですね。このジャンルを生み出した方々ですらまだご存命なくらいなので!
 そこでD.LEAGUEという団体は、ダンスを頑張る子たちが将来プロダンサーとして就職する先を作ろうとしているんです。まだ2年目なんですが、(スポンサー)企業さんたちがグループを作って、そこでお仕事を頂いて、ちゃんとお給料がもらえるように……ダンサーたちのしっかりした就職先を作った、という形です。僕はそのグループの1つであるUSEN-NEXT I’moonというグループのディレクターを務めさせていただいています」

―――D.LEAGUEに関わってみて、思ったこと、感じていることは?

「表現方法として演劇でも歌でもなく“ダンス”を選ぶ子って、不器用な職人肌が多いなと個人的には思っていて。そんな彼らですが、ダンス自体をエンタメの1つとしてお客様に認知してもらって、実際に観てもらう機会をD.LEAGUEが作ることで、彼らのようなダンサーたちの地位向上を目指していきたいです。とはいえ、ダンスって台詞や歌詞がない分、一方通行だなって……伝えたい気持ちが本当にお客様に伝わるのか、芸術っていいも悪いも主観での判断になるし、難しいですね。演劇にも総合芸術としての難しさはありますが、ダンスだけ、というのも本当に難しい」

―――非常に幅広く活躍されているOH-SEさんですが、今後の展望はありますか?

「ダンスや演劇って特殊技能みたいになっちゃっているじゃないですか。道行く人に『ちょっとダンス踊れる?』って言ったら多分無理って言われる……けど、たとえば『ラジオ体操できる?』って言ったら、出来る人が多いですよね。この状況を解消できないかなって思うんです。歌は一般の人が歌えるカラオケボックスがあるのに、演劇とダンスって何でこんなに観るのもやるのもハードルが高いものだと思われているんだろうって。もっと身近なものになってほしい……観ているうちに自分も踊りたくなっちゃう、演劇やってみたくなっちゃうような舞台も作っていきたいし、先ほどダンサーは不器用な子が多いと言いましたが彼らがお芝居や歌も出来るようになったら最強だと思うし……エンタメの垣根がもっと曖昧であればいいのになと思います」

―――そんな中で、『クロノステージ』の今後の展望はありますか?

「演劇って食わず嫌いな人が多いと思っているので、入り口が必要だと思っていて。そこでアルスマグナの子たちは圧倒的に“変なやつら”でいてほしい(笑)。普通に考えたらあんな奇抜な髪色の男子高校生なんて存在しないけど、でも『クロノステージ』を観に行くとそこに実在している、という感覚になったらなと。ものすごく分かりやすく言うとディズニーランドみたいな場所になってほしいんです」

―――アルスマグナは没入感のあるコンテンツですよね。

「そうなんですよね。お客様もイベントや舞台に制服を着てきてもOKですし、教師として彼らに接したいなら教師っぽい格好をしてきてもOK。好きな立場から彼らと一緒に楽しめるコンテンツなんです。まだご時世で難しい部分もありますが、せっかくならお客様にも積極的に参加してもらいたいと思って色々な仕掛けも考えているので、楽しみにしていてください! 1つだけ今作のネタバレをすると……オープニングで爆発が起こる予定です! お見逃しなく!(笑)」

(取材・文:通崎千穂)

プロフィール

OH-SE(オーセ)
電撃チョモランマ隊のリードヴォーカル担当。2001年『JAPAN DANCE DELIGHT VOL.8』で優勝。グループ活動以外でも、俳優としてドラマや映画、舞台の出演、アーティストの振付や脚本、演出と幅広いフィールドで活動する。

公演情報

クロノステージvol.6『Seriously~汗水垂らして舞い踊れ!~』

日:2022年1月27日(木)~30日(日)
場:シアターグリーン BIG TREE THEATER
料:クロノスシート10,000円
  指定席8,000円(全席指定・税込)
HP:http://ars-magna.jp/
問:株式会社プランチャイム
  mail:chronos.stage.info@gmail.com

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