夢枕獏が柳家喬太郎に書き下ろした新作落語『鬼背参り』が舞台化される。演出・鈴村展弘と協同でプロデューサーを務めるのが、ヒロイン・お美津を演じる加藤夏希だ。
加藤「私が喬太郎師匠の大ファンで、どうやったら自分の立場で師匠の作品と関われるか考えた時、師匠の噺を舞台化するのはどうだろうと思って。それから10年以上あちこちで舞台化の話をしてきました。私が師匠の『鬼背参り』を生で聴きたかったのもあるんですけどね（笑）」
鈴村「加藤さんから話を聞いて、実際に落語を聴いてみたら、面白いし切ないし、ホラー感もあるいい話だなと。ぜひやってみようということになりました」
主人公・四方吉は、家業も許嫁のお美津も捨てて他の女と逃げた浮気者。一途なお美津はその後“鬼”となり、夜な夜な江戸の街を徘徊して四方吉を探し歩くようになる。
加藤「恋愛したり失恋したり、私の人生のターニングポイントで必ず聴きたくなる噺が『鬼背参り』です。私の思う『鬼背参り』を皆さんと共有したいし、師匠に『俺を越えたね』と言わせたいです。勝手に弟子のつもりでいるので（笑）」
鈴村「柳家小平太師匠と声優さんの掛け合いなど落語のテイストも残しつつ、舞台なりのアレンジといいますか、落語ではできない表現を盛り込み、登場人物も増やしています。喬太郎師匠に独演会をやっていただけるので、ぜひ両方を比べてほしいですね」
四方吉を演じる萩野崇は両名でキャスティングをしたという。
加藤「以前『仮面ライダー龍騎』に私の敵役で出演されていたんです。あの時の萩野さんみたいに、色気もダメ人間的なところもあり、ほっとけない人いないかな……という話になって」
鈴村「じゃあもう萩野ちゃんでいいじゃん！みたいな（笑）」
本読みの段階で手応えは十分とのこと。舞台で繰り広げられる悲しくも切ない物語をぜひ体験してほしい。
加藤「私はお美津とは全然違う人間だけど、10年近くともに歩んできた相棒みたいな感覚があるんです。自分が想像してきた『鬼背参り』の世界に、キャストやスタッフの色が入ってくることに楽しみを感じています。終演後、悲しい気持ちになったら、ぜひ寄席に寄って笑って下さい」
鈴村「舞台化してよかったと言ってもらえる作品にしたいです。落語と演劇の架け橋になればと思います」
（取材・文：いつか床子 撮影：平賀正明）
プロフィール
加藤夏希（かとう・なつき）
秋田県出身。女優・タレント・YouTuber。1999年に特撮ドラマ『燃えろ!!ロボコン』のヒロイン役として女優業を開始。以降、多数の映像作品に出演。2002年、『劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL』で女性初の仮面ライダーを演じて話題となった。モデルとしても活躍しており、2004年から2013年までファッション雑誌「JJ」のレギュラーモデルを務めた。今回が舞台初プロデュースとなり、舞台出演は2009年以来16年ぶりとなる。
鈴村展弘（すずむら・のぶひろ）
東京都出身。ディレクター・演出家・演劇集団「BELL＋UP Company」主宰。2000年、『仮面ライダークウガ』で監督デビュー。その後『仮面ライダー』シリーズや『スーパー戦隊』シリーズを中心に多数の演出に携わる。加藤のデビュー作『燃えろ!! ロボコン』にも助監督として参加しており、加藤とは当時から面識がある。2020年にはAmazon Prime Video オリジナルドラマ『湘南純愛組！』を演出するなど、多岐に渡って活躍。
公演情報
舞台 『鬼背参り』
日：2025年1月29日（水）～2月2日（日）
場：シアターサンモール
料：通常席＋独演会セット券12,500円
※舞台公演は平日の回から選択
通常席［舞台公演のみ］8,500円
（全席指定・税込）
HP：https://www.oninosemairi.com
問：T.M.E.Studio
mail：oninosemairi2025@gmail.com
