さまざまな伝説をもとに練り上げられた藤間勘十郎オリジナルの妖狐譚 名優を迎えて贈る、妖しくも華々しいエンターテインメント

さまざまな伝説をもとに練り上げられた藤間勘十郎オリジナルの妖狐譚 名優を迎えて贈る、妖しくも華々しいエンターテインメント

 藤間勘十郎が上演台本・演出・振付・音楽を手掛け、日本文学に古典芸能の要素を取り入れたエンターテインメントとして作劇する“文芸シリーズ”。今回は九尾狐や妲己など、伝説の世界をモチーフにした藤間独自の「妖狐譚」を、白石加代子を主演に迎えてお届けする。

藤間「九尾狐の話は文楽や歌舞伎『玉藻の前』などがあり、ずっと興味があった題材です。妲己に関しては、白井鐵造先生の脚本・演出で、私の祖父が振付に入った作品がとても面白く、印象に残っています。随分前に父から『能や歌舞伎、宝塚など多様なジャンルが入る作品を考えてくれ』と言われて書いたプロットが残っていて。人里離れた一ツ家に賎の女が出てくるという能『黒塚』のイメージで、本作の冒頭シーンに繋がりました。そのシーンを思い浮かべた時、実は金毛九尾の狐である賎の女をぜひ白石さんにやって頂きたいと思ったのです」

白石「お声掛け頂いた時はびっくりして、何かの間違いではないかと思いました(笑)。日本舞踊はできないけれど興味があり、勉強させて頂ければありがたいと、お話を図々しくもお受けしました」

 この“文芸シリーズ”を通じて、若い世代に日本文学や古典芸能の魅力を届けたいと藤間は語る。

藤間「近年はテンポやアクションを重視した舞台が多いですが、私は動きを極力抑え、言葉を聞かせる舞台が好きです。客席がしんとして、集中してぐっと見入るような時間を演出したい。そうなると演じ手の存在感が非常に大事なんです」

白石「私も動き回る芝居は好きではないし、どっしりと居るのが得意だから(笑)。お話を聞いて安心しました。私は化け物を演じることも多いですが、自分からは踏み外さず、まず言葉をしっかりやらせて頂く。そして声と体を使いたいと思っています」

 踊りや立ち回りなどを取り入れた、格調高くも華やかな舞台に向けて、試行錯誤が始まる。

藤間「今回は歌舞伎風の台詞にしたので、皆さんにどう読んで頂くかなど、演出について考えることは色々あります。本読みでは僕がまず台本を読んで皆さんに聞かせ、やりたいことを提示して、ご相談していくというのも面白いのかなと思っていて」

白石「何人かの演出家さんで、そういう経験がありますよ。ぜひ、やってみてください! 稽古が本当に楽しみ。何か新しいものが生まれる、そんな公演にしたいですね!」

(取材・文:木下千寿 撮影:平賀正明 メイク:栗原佐代子)

プロフィール

白石加代子(しらいし・かよこ)
東京都出身。1967年、早稲田小劇場(現SCOT)に入団。1989年の退団後は、蜷川幸雄演出作品に多数出演し、唯一無二の存在感で印象を残す。1992年よりライフワークとして、『百物語』に取り組んでいる。

藤間勘十郎(ふじま・かんじゅうろう)
東京都出身。日本舞踊宗家藤間流家元・歌舞伎舞踊振付師。2002年、八世勘十郎を襲名。2003年、芸術選奨文部科学大臣賞 新人賞受賞。歌舞伎公演の演出・振付、日本舞踊協会公演の脚本・演出・振付・作曲を手掛けるなど幅広く活躍している。

公演情報

藤間勘十郎文芸シリーズ 其の五『其噂妖狐譚―そのうわさだっきものがたり―』

日:2025年2月18日(火)~24日(月・振休) ※他、京都公演あり
場:あうるすぽっと
料:S席9,500円 
  A席[後列2列]8,500円(全席指定・税込)
HP:https://artistjapan.co.jp
問:アーティストジャパン
  mail:info@artistjapan.co.jp

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