見えるもの、見えないもの。『See』が意味するものとは――。s**t kingzが2年ぶり待望の新作公演を上演!

見えるもの、見えないもの。『See』が意味するものとは――。s**t kingzが2年ぶり待望の新作公演を上演!

 ダンスパフォーマンスグループ s**t kingzが、待望の新作舞台公演『See』を上演。タイトルに込めた想いとは?

Oguri「物事を見る物差しって人によって違う。いざこざがあったとしても、お互いどんな事情があるかはわからない。見えてないからぶつかっちゃうけれど、見えたらいざこざもなくなるかもしれない。逆に見なきゃよかったということもある。『See』=“見る”には捉え方が色々あって、それをテーマに舞台を作ったら面白いかもね、っていうところから始まったんですけど……」

shoji「ただ実際に制作をしていると、『See』の言葉の解釈が自分たちの中でも違っていたんですよね。見る・見ない、見たいもの・見たくないものとか……。 17年一緒にやってきているメンバーでも、1つの言葉に対する感覚が全然違ってた。それを舞台に反映させるためにも、今回はs**t kingzがs**t kingzとしてステージに立ちます。何か役を演じるのではなく、自分たちを演じます」

NOPPO「s**t kingzとして舞台公演に登場するのは初めてなので、すごく新鮮で。同時にめちゃくちゃ難しいけど」

kazuki「架空のキャラクターだったらある意味、面白ければいいみたいなところもあるけれど、今回はあまり極端な嘘をつけないというか。リアルさを大事にしなればいけないところもあって、そこはやっぱり難しく感じます」

 2013年の第1弾公演から6作目となる本作。今回もまた、様々なこだわりがあるという。

Oguri「楽曲は全て新作で、色々な人にお願いしています。新たな出会いもあって楽しみ、もうワクワクです」

kazuki「会場が東京の新国立劇場のみというのも新たな試み。これまではツアーで全国を回っていたので、会場によって大きさや機構も違ってた。でも今回は新国立劇場に特化した演出やパフォーマンスを作っていけるので、いつもの公演とは大きく違ってくると思います」

NOPPO「そうだよね。演出や照明、ダンスにしても、やっぱり会場と紐づいているから。セットの在り方とかも、この会場だったらこういう形がいいよねってなるし」

shoji「今回は公演のストーリーを楽しみに来てほしいというよりは、s**t kingzのクリエイティブを見に来てほしいなと思っていて。僕らの頭の中にどんなアイデアがあって、それがどうパフォーマンスとして表現されているのか。“見る”をテーマに、s**t kingzがどんなパフォーマンスを見せるのか。セリフのある舞台とはそれが違うところで、僕たちの作品の魅力だと思うんです」

 作・演出・振付まで、舞台の全てを自らで作り上げるs**t kingz。メンバー間の役割分担はというと?

Oguri「舞台の基本となる演出はshojiくん。軸となることを考えてきてくれて、それを周りの大人たちに話してくれる」

shoji「大人たちって(笑)。いつまで若いつもり??」

Oguri「だよね(笑)。自分は音楽面を担当していて、アーティストに曲のイメージを伝えたり、曲と曲の繋ぎの音を作ったり。NOPPOは衣裳やグッズ担当で、おもろいアイデアを現場で言うのがkazukiの役目(笑)」

kazuki「沈黙の空気を打ち破るために、毎日リハーサルに行ってます(笑)」

shoji「でも基本的には4人で作っている感じ。自分がシーンを文字にして、よくできたと思えたストーリーでも、ダンスを見てて面白くなかったら意味がないから。振付も4人でしてるけど、そのすり合わせは結構難しいかも。いや、こうじゃないでしょ、なんてこともあるので」

NOPPO「本当に、それはもう毎日です(笑)」

 昨年はメディアへの出演も多く、“大ブレイク”と言える活躍ぶりだった彼らの、今年印象に残ったことは?

NOPPO「大きかったのが夏のフェス。色々なアーティストさんが参加してくださって、そこで出会いもあったし、幅も広がりました。アーティストさんの中には『s**t kingzのためにセットリストを組みました』という方もいて、すごく愛を感じた1年でしたね」

kazuki「『情熱大陸』の反響もすごかったですね。アメリカまでついてきてくださって、あそこまで密着していただくのってなかなかない。自分たち的にもちょっと特別感がありました。久しぶりに4人でするアメリカでのワークショップだったので、そういう瞬間をああやって番組として映像に残してもらえたのも嬉しくて」

shoji「でも正直なところ、ブレイクしたという実感はないんですよね。もっともっと頑張らなきゃいけないなっていうこともたくさんあるので」

Oguri「たぶんみんな同じことを繰り返すことがすごく苦手なんですよね。だから、もっともっとってなる。ルーティーン化することをすごく嫌がる4人なので、なんか常にワクワクするために新しいことを探してる。それはこれからもずっと続いていくと思います」

 結成17年を迎えてなお、より高みを追い求める。それもメンバーの強い絆があってこそ。

shoji「こだわる部分とか、違和感を感じる部分が4人とも違うんですよね。いい意味での揺れ動きみたいなのがあって、それが混ざり合ってるから、より面白いものができている気がします」

kazuki「一筋縄じゃいかない面倒臭い4人で、だから出てくるアイデアもユニークなんですよね。持ち合わせている感覚が4人とも少しずつ違うから、4人で作ったらこうだけど、例えば1人抜けて3人で作ったら違うものになる。違う1人が抜けたら、できあがるものもまた変わってくる。みんなで作っているからこそのものだと思うし、どのショーとも全然違う」

Oguri「ダンスが好きな人も知らない人も関係なく楽しめる、それをずっと目指してきた。その延長で、舞台公演を始めるなど、色々な活動に繋がってきた。そこは出発点から変わってないのかなって感じがします」

NOPPO「人間関係も変わらず。昔からずっとこんな感じだったよね」

kazuki「ムードメーカーはやっぱりshojiくん。おもちゃが近くにあるから楽しめる(笑)」

NOPPO「みんなで順番に遊んでる感じ。常に3対1でshojiくんをいじってる(笑)」

shoji「さらに最近は後ろに大量のスタッフを引き連れていて、10対1くらいになってる。なんか人数が増えてるんですよ。でも大丈夫、そこのメンタルは強いので!」

 開幕に向け、意気込みとメッセージを聞いた。

kazuki「s**t kingzの公演はどれとも同じではない、オリジナルの舞台だと思っていて。見たことのない方は、ダンスのパフォーマンスがひたすら行われるだけなのかなと思うかもしれない。でもそこは一味も二味も違うs**t kingzなので、こんな新しい世界もあるんだなって、きっと感じてもらえると思います!」

NOPPO「あらすじやメッセージもありつつ、ダンスや音楽もオリジナルで、より直感的に楽しめる。見に来てもらえたら絶対に楽しんでもらえる自信はあるので、ぜひ足を運んでみてください!」

Oguri「映像で見るのとは違う舞台ならではの臨場感、高揚感、感動が絶対にあると思うので、それをぜひs**t kingzを通して味わってもらえたら。あまり考えすぎず、 ぷらっと見に来てくれたら嬉しいですね」

shoji「『See』をテーマに、s**t kingz がどんな世界をみなさんにお見せして、みなさんは何を見るか。s**t kingzの舞台って、セリフがなくて、みんなが見えたものだけでストーリーを紡いでいく。なので同じ舞台を見た人たちでも、印象に残るシーンだったり、感覚が1人ずつ違ったりすると思う。どんな世界が見えるのか、楽しみに来てくれたら嬉しいです!」

(取材・文:小野寺悦子 撮影:Hiromitsu)

プロフィール

s**t ki ngz(シットキングス)
shoji・kazuki・NOPPO・Oguriの4人で構成される世界が注目するダンスパフォーマンスグループ。アメリカ最大のダンスコンテスト「BODY ROCK」で、2010年・2011年と連続優勝。自身が作・演出・振付を手掛ける舞台公演は、セリフ無しでダンスとパフォーマンスによりストー リーが紡がれる。そのオリジナリティが毎回大好評で、2022年に上演 された5作目の舞台『HELLO ROOMIES!!!』では3 万人を動員した。

shoji(ショウジ)中下/ s**t kingzリーダー。独自のダンススタイルを確立し、振付から演出まで幅広く手掛ける。俳優として、ドラマにも多数出演。

kazuki(カズキ)左/10歳よりダンスキャリアをスタート。K-POPアーティストや木村拓哉、Nissyなどの大規模ライブの演出を数々と手がける。セクシーなダンスが魅力。

NOPPO(ノッポ)右/静と動を兼ね備えた緩急のあるダンススタイルに海外やダンス業界内のファンも多い。俳優・イラストレーターとしても活躍。

Oguri(オグリ)中上/ロック・ジャズ・バレエ・タップなど幅広いジャンルをカバー。映画・ドラマ・ミュージカルにも出演し、活動の幅を広げている。

公演情報

s**t kingz 舞台公演 『See』

日:2025年2月1日(土)~9日(日)
場:新国立劇場 中劇場
料:9,900円(全席指定・税込)
HP:https://shitkingz.jp/s/see
問:キョードー横浜
  tel.045-671-9911
  (月~金11:00~15:00/土日祝除く)

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