観終わって「人に優しくしよう」と思ってもらえる作品に! 初の邦画作品に挑む、Classic Movie Readingシリーズ第4弾

 名作映画を朗読劇にし、その魅力に再び焦点を当てる本シリーズ。4作目にして初の邦画に材を取り、小津安二郎監督の傑作『東京物語』が上演される。戦後日本の「家族」の変化を描き、血のつながりがあるからこその難しさ、それを越えた絆や信頼を描く不朽の名作が朗読劇としてどう蘇るのか。この作品で初共演を果たす愛月ひかると内海光司が意気込みを語った。

内海「約70年前の作品なのに全く古さを感じさせないし、日常を淡々と撮っているだけなのに惹きこまれる。名作揃いの小津監督作品の中でも特に傑作と言われるだけのことがあります。それだけに朗読劇として如何に魅力を伝えられるか?にはプレッシャーもあるんだけど」

愛月「私には、原節子さんの役を演じるというさらに大きなプレッシャーがあります。戦死した次男の妻・紀子を演じますが、血のつながりのない義理の両親に対する紀子の愛情が色濃く描かれているので、本当に丁寧に演じていかなければと」

内海「観ている側にとっても救われる役だよね。僕が演じる長男の幸一なんて『お前もうちょっとしっかりしろよ』って思うから。事なかれ主義だし、折角上京してきた両親に対して冷たいじゃない。観光に連れて行くって言ってたのに仕事に行っちゃうし(笑)。でも、だからこそ紀子の行動が際立つと思う」

愛月「決して無理にやっているのではなく、亡くなった夫への愛情が、義理の両親へのそれに自然に繋がっている気がします」

内海「純粋だよね。だからお父さんが最後に『早く自分の幸せを見つけなさい』と間接的に伝えるシーンが本当に印象的で、そこに向けてお客様には、幸一や実の子供たちを観てちょっとイラっとしてもらうのが正解かもしれない。登場人物が際立っているから、朗読劇として凄くやりがいがあると思う」

愛月「私は、宝塚歌劇団時代は男役で、退団後も女性役は朗読劇でしか演じたことがないんです。本当に朗読劇って面白くて、ちょっとした間の捉え方で全てが変わることもあるので、毎回新鮮な発見があります」

内海「やっぱり読むからこその味ってあると思う。台詞なんだけど読み聞かせでもあって、すごく集中していないとできないから、普通に演劇をやるよりも疲れるくらいだし。でもその一種の緊張感のなかで、旧き良き日本の姿を令和に蘇らせて、観終わったあと『人に優しくしよう』と思ってもらえる作品にできるように、みんなでアイデアを出し合いながら頑張りたいね」

愛月「私にとっても日本人女性を演じるのは初めての挑戦ですし、シリーズ初の邦画作品でもあるので、これをきっかけにまた邦画の名作の朗読劇も観たいと言っていただけるように『東京物語』の世界を皆さんと一緒に生きられたらと思っています。是非観にいらして下さい!」

(取材・文:橘 涼香 撮影:平賀正明)

プロフィール

愛月ひかる(あいづき・ひかる)
千葉県出身。2007年、宝塚歌劇団に入団。宙組で二枚目から色濃い役柄までを演じ分け人気を獲得する。2019年、専科を経て星組に組替えとなり、2番手スターとして活躍した。2021年の退団後は、舞台を中心に多岐に渡る活動を続けている。主な出演作に、ミュージカル『The Fantasticks』、KASSAY第15回公演『ジョルジュ&ミッシェル ショパンを創った、ふたり』、Special Entertainment Stage『RUNWAY』など。

内海光司(うちうみ・こうじ)
東京都出身。1987年、光GENJIのメンバーとしてシングル「STAR LIGHT」で歌手デビュー。1995年のグループ解散後は、俳優業を中心に多彩な活動を続けている。主な出演作に、浪漫舞台 新装『走れメロス』〜小説 太宰治〜、神津恭介シリーズより『呪縛の家』、舞台『真夜中のオカルト公務員 The STAGE』など。

公演情報

Classic Movie Reading Vol.4『東京物語』

日:2025年2月5日(水)~9日(日)
場:三越劇場
料:9,900円(全席指定・税込)
HP:https://tokyostory-reading.com
問:style office
  mail:stage.contact55@gmail.com

インタビューカテゴリの最新記事