形にとらわれない、豊かな発想で創作活動をおこなうエンターテイメントユニット「bpm」の2025年本公演は、他人の人生の晴れ舞台を後押しする男が自分の人生の行方を模索し、奔走する物語だ。2008年に初演、2016年に再演され、観客のみならずキャストからも熱烈な支持を集める本作。ジャンルを越え、ファンタジー×タイムループ×シチュエーション・コメディの要素が盛り込まれている。脚本・演出の浅沼晋太郎は、その意図を次のように語る。
浅沼「ジャンルを掛け合わせることで、コメディとは無縁に感じる題材でも、興味深く受け取ってもらえるし、舞台に馴染みがない方にも、新鮮な気持ちで観ていただけると思っているんです。また、俳優だけではなく、声優さんや芸人さん、アイドルといった畑の違う方に出演していただくことで、異種格闘技的な化学反応を期待しています」
主人公のなんでも屋・阿部時男を演じるのは、俳優の鈴木裕樹。浅沼が「恐らく自分が書いた脚本史上最大」と明かす膨大なセリフ量に挑む。
鈴木「脚本からは真正面から勝負している印象を持ちました。掛け合いや笑いの部分がお客さんにダイレクトに届く工夫がされていて、単純におもしろい。脚本を読み終わって“時男を演じたい”と率直に思いました。確かにかなりのセリフ量ですが、“これを演じ切ったら格好いい”とまで思わせる魅力的な脚本です。まだ稽古前ですが、浅沼さんには『もう覚え始めていいですか?』と相談したところです」
笑いの中に垣間見える、人間模様にも注目だ。
浅沼「忙しないお芝居ですが、テンポのいい掛け合いの中で、自然と登場人物たちの見え方が変わってくる。“角度を変えるとこんな見方もできますよ”という仕掛けが組み込まれています。肩肘張らず、気軽に笑いの渦に飲み込まれていただけたら嬉しいです」
鈴木「僕もそういう作品が大好きなので、関われることが嬉しいです。多くの方が再演を楽しみにされている作品ですが、僕らがまた新しいものを提供できたらと思います。ぜひ、劇場にお越しください」
(取材・文:小笠原大介 撮影:敷地沙織(平賀スクエア))
プロフィール
鈴木裕樹(すずき・ひろき)
10月3日生まれ、岩手県出身。2007年、スーパー戦隊シリーズ『獣拳戦隊ゲキレンジャー』漢堂ジャン/ゲキレッドでドラマ初主演。以降もドラマ・映画・舞台で活躍。近年の主な出演に、ドラマ『警視庁・捜査一課長』シリーズ、舞台『歌舞伎町シャーロック』、『吸血鬼すぐ死ぬ』など。
浅沼晋太郎(あさぬま・しんたろう)
1月5日生まれ、岩手県出身。2007年より「bpm」のメンバーとして参加。全作品の脚本・演出を担当。脚本家・演出家・俳優として活動する一方、2006年、アニメ『ゼーガペイン』の出演をきっかけに、声優としても活躍。
公演情報
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ 提携公演 bpm本公演『アヴェ・マリターレ!』
日:2025年1月9日(木)~12日(日)
場:こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ
料:9,000円(全席指定・税込)
HP:https://bpm-home.jp
問:エフチケット事務局
mail:ticket@fortunerest.com