従来版とは一味違う! NBAバレエ団が贈る独創的な『くるみ割り人形』 大人から子どもまで誰もが楽しめる、クリスマスの風物詩

従来版とは一味違う! NBAバレエ団が贈る独創的な『くるみ割り人形』 大人から子どもまで誰もが楽しめる、クリスマスの風物詩

 『くるみ割り人形』は物語の舞台がクリスマスであるため、年末に多くのバレエ団によって上演される演目だ。なかでもNBAバレエ団は、従来とは一味違う演出が施されていると団員の宮内浩之と山田佳歩は話す。

宮内「一番他のバレエ団と違うのは『葦笛の踊り』のシーンです。普通はフランス風の踊りを女性が踊ることが多いですが、NBAでは3匹のねずみが踊ります」

山田「それに、プロジェクションマッピングが多用されているので、観ていて華やかですよ」

 クララ役の米津美千花と、王子役の栁島皇瑶は今回が初役だ。

米津「これからリハーサルなのでどうなるかわかりませんが、10代の少女をどう演じるかがポイントですね。バレエ団によっては子役を使うこともあるので、どれだけ可愛らしくできるか考えています」

柳島「僕はアメリカでの活動が長くて、区切りをつけて戻ってきたときに、ヒロさん( 宮内)に声をかけてもらいNBAに入りました。それからまだ2年目で、初の王子役です。頑張らないといけませんね(笑)。実はこの作品を客席から観たことがないんです。上演されるシーズンが忙しい時期に当たることが多くて……」

 一方、カバリエールと金平糖の精の役割について聞くと。

宮内「この作品はクララの成長物語だと思うんです。金平糖はクララが憧れる女性の象徴で、カバリエールはその相手役ですから、僕もまたクララの憧れになるような存在感を出したいですね」

山田「そうですね、金平糖はいわば大人の女性です。だからお菓子の国の女王として、立っているだけで出てくる気品を表現したいです」

 それぞれ重要な役回りを務める4人。最後に公演に向けての意気込みを聞いた。

柳島「王子としてこのストーリーをどんな雰囲気で幕を下ろせるか。その着地点をリハーサルで探っていきたいと思います。どうなるかが今から楽しみですね」

山田「2回目の金平糖ですが、前回は急な出演だったので準備が万全では無かったと思います。それだけに今回はクララの憧れの存在をしっかり演じきることが出来るように頑張ります」

米津「自分がどのようにクララを表現するかはこれから詰めていきますが、他の方が演じるクララとはまた違う、新たなクララを目指します」

宮内「この作品に限りませんが、常に自分を磨いて新たな自分を探し続けています。結構歳もいってますが、進化する自分を見せていきたいです」

(取材・文:渡部晋也 撮影:友澤綾乃)

 

劇場でついついやってしまうことは?

宮内浩之さん
「”トイレが近くなる”。本番は舞台上や廊下の床が硬く、舞台袖と楽屋の行き来が多くなる為、放っておくと足が攣ります。その対策で普段よりもミネラル系ドリンクを多めに飲む影響で、トイレが近くなり、衣装の背縫いをした後、後悔することがあります。でも、どうしようもないです」

山田佳歩さん
「劇場でついついやってしまうことは、出番前の袖に行く時に、昔実家で飼っていた愛犬にそっくりのぬいぐるみに、“見守っててね”とぎゅっと握りしめてお願いしてから行くことです! 私が2歳の頃から18年間ずっと一緒で、どんな時でも隣にいてくれた相棒のような子だったので、本番の時は毎回その子から力をもらっています!」

米津美千花さん
「私の劇場でついついやってしまう事1つ目は、寝る事です。舞台前の緊張で欠伸が出てしまう体質の為、リラックス法として、時間に余裕がある時に少しでも寝る事を心がけています。学生のコンクールに多く出場していた時から始めましたが、今現在では劇場でのルーティンになっています。
2つ目は、楽屋の自分の席に共演者からの差し入れを飾る事です。お菓子や栄養ドリンク・入浴剤など様々ですが、舞台にあがる前に頂いた共演者の皆からパワーをもらえるような気がするので、毎回飾っています」

栁島皇瑶さん
「何故だか分かりませんが、劇場入りをしますととてもお腹が空きます(笑)。ついついお菓子など沢山食べてしまいます。あまり食べ過ぎてしまうと身体が重くなってしまい、良いパフォーマンスが出来なくなるのは分かっているのですが……。気付いたら食べ物に手が伸びています」

プロフィール

宮内浩之(みやうち・ひろゆき)
千葉県出身。2007年、ボストンバレエ団に留学。帰国後、牧阿佐美バレヱ団に入団。2014年、NBAバレエ団に入団。2016年、バレエ団主催アトリエ公演にて振付・演出を担当。2018年、プリンシパルに昇格。

山田佳歩(やまだ・かほ)
長野県出身。2017年、フランス リヨン国立高等音楽・舞踊学校に首席で飛び入学、その後同団のジュニアバレエに所属。2021年、NBAバレエ団に入団。2023年、プリンシパルに昇格。

米津美千花(よねつ・みちか)
埼玉県出身。3歳よりバレエを始める。2013年、東京高等バレエ学校に入学。2014年、オーストラリアへ留学。その後、2016年にNBAバレエ団にアーティストとして入団。2024年、ソリストに昇格。

栁島皇瑶(やなぎしま・こうよう)
長野県出身。2015年、オランダ国立バレエ学校に留学。2016年、米国コロンビアクラシカルバレエ団に入団。主演を務める他、コンテンポラリー作品の振付も担当。2019年、米国クリーブランドバレエ団に移籍。2022年、NBAバレエ団に入団。

公演情報

NBAバレエ団『くるみ割り人形』

日:2024年12月21日(土)・22日(日)
場:所沢市民文化センターミューズ マーキーホール
料:SS席9,900円 S席8,800円 
  A席7,700円 B席6,600円
  ※他、各種割引あり。詳細は団体HPにて
  (全席指定・税込)
HP:https://nbaballet.org
問:NBAバレエ団 
  tel.04-2937-4931(9:00~17:00/土日祝休)

 

Advertisement

 

インタビューカテゴリの最新記事