日本と日本人の始まりを記した物語を、ダンスと音楽で綴る舞台 10年目に訪れた、新たなる“場”との出逢い

日本と日本人の始まりを記した物語を、ダンスと音楽で綴る舞台 10年目に訪れた、新たなる“場”との出逢い

 日本の“はじまり”を記した『古事記』。今から1300年以上も前に編纂された物語だが、日本人なら誰しもいくつかのエピソードを知っているだろう。そしてこの『古事記』の舞台化に力を注いでいたのが、昭和のテレビドラマ全盛時代に数多くの作品を遺した市川森一だった。2005年にラジオドラマとして発表されたが、市川の存命中は舞台化が果たせず、そのシナリオを原作として実現したのは2013年。それがこの『ドラマティック古事記』だ。当時のことを、市川の妻でありこのプロジェクトに最初から関わる柴田美保子(本作では語り部として出演)はこう回想する。

柴田「市川にとって晩年のライフワークでした。初演の前に雛形になるような舞台を長崎県の壱岐島でやったんです。その後西島数博さんをご紹介いただき、宮崎県での初演に繋がりました」

西島「僕は宮崎県出身で、地元のスポンサーさんとのご縁があり、力を貸していただいたんです。でもそこから10年経つわけですから。早いものですね」

柴田「前回公演はオリンピックの年に、ということで2020年でした。オリンピックは延期してしまいましたが、公演は上演して会場はお客さまで一杯でした」

 10年目となる今回は築地本願寺ブディストホールでの公演となる。

西島「僕自身もライフワークとしてこの舞台を続けているので、節目は意識していたのですが、偶然知人を通して築地本願寺さんとのご縁が繋がった。これは何かのタイミングなのかなと思いました。本堂の建物は、日本ではないような雰囲気もあり、幻想的な『古事記』の世界にピッタリ。会場のブディストホールもいい佇まいです」

 そして壱岐島の公演に始まり、初演以来、現在まで欠かさず参加しているのが舞踊家の浅野瑞穂。浅野も10年目を迎えることに喜びもひとしおだ。

浅野「(今回の上演について)話を伺って凄く嬉しくなりました。10周年とはいいますが、全てが昨日のことのように思えます」

西島「浅野さんは1回目からのキャストであるだけでなく、今までに色々な役を務められていますから、もう欠かせない存在です。色々な役柄を経て今回はイザナミに戻ってきたわけですから感慨深いです」

 これだけのキャストが集結してたった1日、昼夜2公演というのはなかなか贅沢な話。さらに公演の合間には築地本願寺本堂で⻄島と特別出演の横笛奏者藤舎貴⽣、和太鼓の岩切響一による特別奉納演舞も予定されている。こちらも併せて楽しみたい。

(取材・文:渡部晋也 撮影:友澤綾乃)

 

プロフィール

西島数博(にしじま・かずひろ)
3歳よりバレエを始め、18歳で渡仏。フランスの国際コンクール第1位受賞後、国内外の舞台に多数出演。テレビドラマへの出演から芸能界でも活動。演出・振付家としても常に躍進するマルチなダンスアーティスト。

柴田美保子(しばた・みほこ)
大阪府出身。児童劇団で活躍後、NHK連続ドラマ『チコちゃん日記』でデビュー。ドラマ・映画の出演や司会など、多方面で活躍。1972年、人気脚本家として知られた市川森一と結婚。市川が晩年にライフワークとしていた『古事記』の舞台化を、義妹の市川愉実子とともに実現した。

浅野瑞穂(あさの・みずほ)
東京都出身。国立音楽大学在学中に鳳仙功舞踊団入団。中国古典・民族舞踊を学ぶ。退団後、古式「巫女舞」及び日本の古典・民俗芸能と出会い、オリジナルスタイルの舞「瑞穂舞」を創始する。神社仏閣に舞を奉納するとともに、海外公演もおこなう。2003年、浅野瑞穂舞踊研究所設立。

公演情報

スーパー神話音楽劇 ドラマティック古事記 FIRST LOVE神々の愛の物語 10周年記念特別公演

日:2024年11月9日(土)15:00/18:30開演 ※開場は開演の30分前
場:築地本願寺ブディストホール
料:12,000円(全席指定・税込)
HP:https://ameblo.jp/nishijima-kazuhiro/
問:株式会社エヌディプラス tel.070-9262-3760

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