幕が開くまで想像がつかない。橋本愛が初の一人芝居に挑む 歌でも声でもない“音”と室内楽で構築される世界

幕が開くまで想像がつかない。橋本愛が初の一人芝居に挑む 歌でも声でもない“音”と室内楽で構築される世界

 クラシックやオペラからポップスまで、幅広いジャンルのコンサート会場として活用され、愛されている神奈川県民ホール。そして、例年質の高い自主事業を多数開催しており、10月もその1つとして開館50周年オペラシリーズの第2弾となる『ローエングリン』を上演する。

 長きにわたり芸術総監督を務め、惜しくも2022年に亡くなった作曲家 一柳慧の最後のプロジェクトでもある本作。タイトルだけを聞けば、ワーグナーによる有名なオペラ作品が思い浮かぶが、イタリアの作曲家サルヴァトーレ・シャリーノによる『ローエングリン』は、ルーツは同一ながらも大きく異なる作品だ。ステージに登場するのはヒロインのエルザただ1人。また、“歌手”ではなく“女優”を起用するように指示されている。そのエルザ役に選ばれたのは、実力派女優として定評のある橋本愛だ。

 「まずこの作品をオペラと呼ぶべきかという本質的なところから、みなさんと話し合いました。初めての一人舞台が、このようにハードルの高い作品になりましたが、やりがいはあります。以前からダンスを教わっている吉開菜央さんが、今回この作品で初めて演出をされると聞きました。初めて同士ということで、心強く感じます(笑)」

 エルザを包み込むような音楽を奏でるのは、16人の演奏者と3人の合唱。ソリストとしても活躍するトッププレイヤーが揃った。彼らを指揮するのは、シャリーノとも親交がある指揮者 杉山洋一。杉山はこのプロジェクトに取り組む橋本の姿を見て、吸収力や理解力が非常に高いと評している。

 「本当に良く言っていただきありがたいです。まだ稽古序盤で土台作りの段階なので、難しく至らない部分を痛感していますが、それでも楽しいです。作品の可能性を突き詰めるのが好きなので、少しでも自分の身体で表現できれば嬉しいですね。いずれにせよ、目指す方向は変わらないし、理想は高く持っています。狂気とは何かを突き詰めたいと思います。客席のみなさんにも、この世ではない異空間を感じてもらいたい。そんな神秘的な作品になればいいと思います」

 舞台ではきっと、テレビドラマや映画では観ることができない橋本愛に出会えるはず。期待は高まる一方だ。

(取材・文:渡部晋也 撮影:平賀正明 衣装協力:Chika Kisada)

これがないと落ち着かない! カバンの中に必ず入っているものはありますか?

「Nintendo Switchです。移動中や休憩時間にいつでもゲームできるように、常にバッグに入れています。仕事で頭を使ってショートしてしまったときに、リフレッシュしたり、リセットするために活用しています」

プロフィール

橋本 愛(はしもと・あい)
熊本県出身。映画『Give and Go』で初出演・初主演。映画『桐島、部活やめるってよ』をはじめ、数々の作品で映画賞を受賞。同年、NHK 連続テレビ小説『あまちゃん』で知名度を上げる。近年の出演作に、NHK大河ドラマ『青天を衝け』、映画『熱のあとに』、『ハピネス』。現在、CXドラマ『新宿野戦病院』に出演中のほか、2025 年NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』への出演を控える。その他にも歌手としての活動や、独自の感性を生かし様々なジャンルで活躍中。

公演情報

神奈川県民ホール開館50周年記念オペラシリーズVol.2 サルヴァトーレ・シャリーノ作曲『 ローエングリン』

日:2024年10月5日(土)・6日(日)
場:神奈川県民ホール 大ホール
料:SS席10,000円 
  S席8,000円 
  A席6,500円
  学生席[24歳以下]4,000円
  (全席指定・税込)
HP:https://www.kanagawa-kenminhall.com/lohengrin/
問:神奈川県民ホール tel.045-662-5901

Advertisement

インタビューカテゴリの最新記事