あやめ十八番唯一の連作物“団子屋シリーズ”こと『雑種』。8年ぶりとなる3作目の上演に向け、脚本・演出・出演の堀越涼と、団子屋の三姉妹を演じる金子侑加、大森茉利子、小口ふみかに話を聞いた。
堀越「実家が神宮の参道にあるお団子屋さんだったことから『雑種』シリーズを作りました。2作目以降、僕は実家近くに移住して団子屋と演劇の二足の草鞋を履いていました。その間『雑種』は上演していなかったのですが、昨年団子屋を退職したのをきっかけにまたやってみようかと」
金子「1作目は三女、2作目は長女、3作目の今回はお母さん(井上啓子)が主人公です」
堀越「次に次女の話を書いて、4作目で完結ですかね。今回はお母さんが駆け落ちした過去に、現代の三姉妹の人生がリンクするような作品になると思います」
金子「前作から8年経っているので、役作りも前回と同じとはいかない。自分達の年齢を乗せられたらいいなと思います」
堀越「今回は大森の娘である、佐藤つむぎが出演します」
大森「最近は舞台に出ても緊張しなくなったけど、そのせいで今回はドキドキしそう」
小口「1作目の三女は進路に悩むシーンもある高校生でしたから、かなり変化していると思います」
堀越「こんなに時間が経っても皆続投してくれるわけですから、嬉しいですよね」
小口「前はお団子を作る過程を皆でやりましたが、今回もやるんですか?」
堀越「もちろん。劇団員の吉田くん作『可愛い商い』という名曲を歌おうと思っています」
今回はオーディションなしのキャスティング。また、日替わりゲストは初めての試みだという。
堀越「ゲストには参拝客をやって頂きます。豪華な顔ぶれが揃いました」
金子「完全に初参加なのは、つむぎちゃんと花組芝居の原川浩明さん。常連客演である井上啓子さんの初ヒロインも楽しみです」
堀越「最近のあやめ十八番の重厚な感じが好きな方は驚くかもしれません。一度観たけど重苦しくて合わなかったという人にほど観てほしい作品です」
金子「普段、自分に近い役をやる機会はほとんどありませんが、今回は私自身を知ってもらえるいい機会だと思います」
大森「このシリーズが好きな方には私達と一緒に月日を体感してもらえますし、一作完結なので、初めての方でも十分に楽しめる作品です」
小口「お盆の時期ということで、実家に帰るような気持ちで来て頂けたら。ゆるさの中にもドラマがあるので、楽しみにして下さい」
(取材・文:吉田沙奈 撮影:立川賢一)
堀越 涼さん
「35歳を超えてから、人生で初めて“推し”というものができました。大谷翔平選手です。ベタすぎて申し訳ないくらいですが、それまで殆どスポーツに興味がなかった僕が、SPOTVと契約して、脚本執筆中の楽しみに、全試合を観戦するようになりました。最近は、野球のゲームまで始めて、日夜、大谷翔平選手のことを思う日々です。野球、面白いです」
金子侑加さん
「私は、自分でやるスポーツは嫌いではないのですが、生まれてこの方、他人がやるスポーツに興味を持ったことはほぼありません。そんな私が最近少しだけ注目している(というより、強制的に注目させられている)スポーツがあります。それは野球、主にメジャーリーグです。夫が大谷翔平選手の大ファンのため、興味が無くとも、大谷選手の情報が耳に入ってきます(笑)。スポーツを全く見ない私にとっては、夫が大谷選手の動向に一喜一憂するのを見るのが、スポーツ観戦のようなものです」
大森茉利子さん
「今一番注目しているスポーツは、バレーボール。『ハイキュー‼︎』というバレー漫画をきっかけに、あれよあれよと実際の試合も見るようになり、注目どころか「沼」です、特大の(笑)。『ボールを床に落としてはいけない』というシンプルなルール。それさえ分かっていたら、大丈夫。そして見ていくと気づくんです。守りのブロックが攻撃にもなること、ミスをした選手が次の瞬間誰より大きな声を出してチームの士気をあげていること……語りだしたら止まらないので自粛します(笑)。高さこそ強さのイメージがありますが、2024年。日本のバレーは男女ともにとても世界を相手に熱い展開をしています。また更なる深い沼に引き込まれていく」
小口ふみかさん
「夏、スポーツと聞いて、真っ先に思い浮かぶのは陸上競技。色んな競技がトラックの中や外で同時に進行している様子を見るとわくわくするし、トラック競技のスタートを待つ会場全体のピンと張り詰めた空気を感じると思わず息を止めて見入ってしまいます。高校時代に陸上部に所属して、主に400mを走っていたという経験もあり、400m走や1人400mずつ走るマイルリレーを見る時は、自然と力が入ります。自分自身との戦いだったり相手選手との駆け引きだったりがギュギュっと詰まった400m。“走る”というシンプルな競技ですが、奥が深くてドラマがある、苦しくてとってもアツい距離、アツいスポーツです!」
プロフィール
堀越 涼(ほりこし・りょう)
大学卒業後、花組芝居に俳優として入座(2021年、退団)。2012年、あやめ十八番を旗揚げし、作・演出を務める。古典のエッセンスを盗み現代劇の中に昇華すること、現代人の感覚で古典演劇を再構築することの両面から創作活動を行う。
金子侑加(かねこ・ゆうか)
2014年、第三回公演『江戸系諏訪御寮』であやめ十八番に参加。2015年、正式にあやめ十八番に加入し、以降、大森茉利子と二枚看板としてほぼすべての作品に出演している。主な出演に、舞台『赤い鳥のいる風景』、「第4回カツベン映画祭」など。
大森茉利子(おおもり・まりこ)
2012年にあやめ十八番第一回公演『Love potion #9』に出演。2014年、正式に副代表・俳優として加入。現在は子育てをしながらあやめ十八番のみで活動。ほぼすべてのあやめ十八番作品に出演している。
小口ふみか(おぐち・ふみか)
舞台中心に活躍し、幅広い役を演じる。近年の出演に、舞台『おトラさん』、『追憶のアリラン』、舞台『キノの旅Ⅱ -the Beautiful World-』、『エアスイミング』など。
あやめ十八番 第十六回公演『雑種 小夜の月』
日:2024年8月10日(土)~18日(日)
場:座・高円寺1
料:一般5,000円
お盆割[8/12~16]4,500円 学生割引2,500円
※他、各種割引あり。詳細は団体HPにて
(全席指定・税込)
HP:https://ayame-no18.com/nextstage
問:あやめ十八番 tel.080-3170-3879