ドラマ化もされた大人気漫画を舞台化 命の尊さをがん医療の専門医の視点で描く

ドラマ化もされた大人気漫画を舞台化 命の尊さをがん医療の専門医の視点で描く

 2003年に連続ドラマ化された、佐藤秀峰による『ブラックジャックによろしく』の舞台化が決定。研修医・斉藤英二郎が目にする日本の大学病院や医療現場の現状を写し出す原作の中で、今回はドラマでも人気の高かった「がん医療編」を描く。斉藤の指導医・庄司直樹を三浦涼介が、庄司の同期・宇佐美孝志を田鶴翔吾が演じる。脚本を読んで感じたことを語ってくれた。

三浦「脚本に書いてあることはほんの一部で、これが正解でも不正解でもないと悩み、登場人物それぞれに想いを巡らせては、胸が張り裂けそうになりました。医療が人々にそっと寄り添い、背中をポンと押してくれるような瞬間を感じながらも、一方で医者は無力で何にもできない……と苛立ち悲しい思いにもなり、正直この作品を演じることへの不安すら覚えました」

田鶴「今回、医療現場にフォーカスを当てているだけに、演じる上で勉強しなければいけないことがたくさんあります。そうした意味で不安はありますが、この作品を通して成長できるのではないかという楽しみもあります。難しい言葉や専門用語も多くなると思うので、お客さんにどれだけのめり込んでもらえるのかが、今回の課題だなと考えています」

 庄司と宇佐美は医療方針の違いから対立関係になっていくが、三浦と田鶴は自身の役柄について、どのように感じているのだろう。

三浦「まだ庄司がどんな人物なのか掴めていません。ただ人間性がしっかり表現出来る作品だと思うので、素直に表現していきたいなと思います」

田鶴「宇佐美は人間の中の影や過去と向き合っているからこそ、怒りも抱えていて、情熱のあるキャラクター。誰よりも自分が宇佐美を愛して、宇佐美と向き合って演じられたらと思っています」

 原作は20年前に描かれたものだが、今なお、その物語は色褪せない。

田鶴「人間は誰しも命と向き合わなければいけないタイミングがきます。この作品を通し、命について考えるきっかけになればと思いますし、医療従事者へのリスペクトにつながればとも思います」

三浦「ここ数年、世界を揺るがすようなニュースがあり、それによって人との出会いや別れなどの機会を奪われていたような気がします。この作品が改めて近くにある恐怖や痛み、悲しみと向き合うきっかけになれば。とても考えさせられる作品だと思うので、精進してまいります。劇場にお越しいただく方の、明日からの活力になりますように」

(取材・文:嶋田真己 撮影:立川賢一)

プロフィール

三浦涼介(みうら・りょうすけ)
1987年2月16日生まれ、東京都出身。2002年の俳優デビュー以来、ドラマ・映画・舞台など幅広い作品に多数出演。『仮面ライダーオーズ/OOO』のアンク役でそれまでのヒーロー像を覆し、映画『るろうに剣心 京都大火編』の沢下条張役でも圧倒的な存在感をアピールした。舞台では、蜷川幸雄との出会いにより『ヴェローナの二紳士』、『わたしを離さないで』、騒音歌舞伎『ボクの四谷怪談』の3作品に出演し、その演技力を高く評価される。また、俳優と並行し、アーティストとしても活動中。

田鶴翔吾(たづる・しょうご)
1992年6月2日生まれ、兵庫県出身。ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 真田弦一郎役で出演し注目を集める。以降もミュージカル『黒執事』~寄宿学校の秘密~、 『ブルーピリオド』The Stage、『HUNTER×HUNTER』THE STAGEシリーズなど、人気作品に多数出演。2023年10月には、主演を務めた映画『その恋、自販機で買えますか?』が公開。

公演情報

舞台「ブラックジャックによろしく」

日:2024年7月31日(水)~8月12日(月・振休)
場:赤坂RED/THEATER
料:8,800円(全席指定・税込)
HP:https://www.blackjack-y.com
問:アイエス・フィールド
  公式HP内よりお問い合わせください

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