12年ぶり完全版全幕再演!牧阿佐美バレヱ団『ロメオとジュリエット』 初演キャストから伝統のエッセンスを受け継いで

12年ぶり完全版全幕再演!牧阿佐美バレヱ団『ロメオとジュリエット』 初演キャストから伝統のエッセンスを受け継いで

 1995年にアザーリ・M・プリセツキーと牧阿佐美の共同振付により初演を迎えた牧阿佐美バレヱ団の『ロメオとジュリエット』。コロナ禍での上演中止を経て、このたび12年ぶりに完全版の全幕再演を果たす。

清瀧「12年前に初めてロメオを踊りました。当時はワクワクの方が強くて自然と役に入れたけれど、今回は年齢を重ねたぶん役とだいぶ離れてしまう。ロメオは16歳の設定で、姿勢や動きにしても、違和感なく見えるようにしなければと思っています」

米澤「ジュリエット役は初めて。これまでは道化などを踊っていて、まさか自分がジュリエットを踊るとは思ってもみませんでした。目指すのは誰かの真似ではない、自分ならではのジュリエット。でも今はまだまだ模索しているところです(笑)」

 『ロメオとジュリエット』で有名なのが、第2幕のバルコニーのシーン。ロメオとジュリエットが愛を確かめ合う名シーンで、技術力に演技力も要される。

清瀧「今回は初演を踊られた田中祐子さんとイルギス・ガリムーリンさんに指導していただいていて、振付の意図を教わる貴重な機会になっています」

米澤「振付のプリセツキーさんが左回りのダンサーで、左回りも右回りと同じくらい振りに入っているので技術的にまず難しい。何より大変なのは演技面。“大好き!”が出せなくて……」

清瀧「目線1つで印象が変わってしまうから、自分がそう思っていても客観的にはそうは見えなかったりもするんですよね。それに『ロメオとジュリエット』は古典作品とは違う動きや仕草も多いので、少し崩さなければいけないけれど、綺麗でなければいけない。その微妙なニュアンスが難しいところです」

米澤「段取りも多くて、この音でこれをしなければいけないと頭に入れて踊るのだけれど、そうするとステップを考えているように見えると言われたり、感情が途切れていると言われてしまう。今苦戦中です(笑)」

 反目し合う両家の板挟みになり、若い2人にやがて悲劇が訪れる。同団の結末は独特で、また大きな見所だと話す。

米澤「ロメオが毒を飲んで、ジュリエットが駆けつけるけれど――。あの瞬間があるから、より最後が哀しくなる気がします」

清瀧「音楽やタイミングにしても、すごくよく作られていて、お客さまもそこが印象に残るようです。ぜひその結末も楽しみにしていただけたらと思います」

(取材・文:小野寺悦子 撮影:平賀正明)

最近あった「わ!ダマサれた!!」なエピソードを1つお願いします

米澤真弓さん
「2月にあったバレヱ団公演『ダンス・ヴァンドゥⅡ』で、ジョージ・バランシン振付の“ルビーズ”を踊らせていただいた時のこと。パートナーの清瀧千晴くんとリハーサル前に、『振付も音楽も難しくてなかなか覚えられないよー!』と話していたのに、いざリハーサルが始まったら、千晴くんはちゃんとばっちり振付を覚えてきていて、“わ!ダマされたー!!”と思いました。彼はきっと、テスト前に全然勉強してない、と言いつつ、しっかりやってきていて出来るタイプだと確信しました。」

清瀧千晴さん
「ウェイトトレーニングをしていたある日。その日はいつもよりきつく感じて、“今日はあまり調子よくないなー、ちょっと疲れてるのかな”と思いつつも頑張って続けていたら、終わった時に、トレーナーさんから『こっそり重くしていた』と打ちあけられ、“だまされたー”と思いました。でも、結果的にトレーニングにはなっていたので、まあいいか、としています」

プロフィール

米澤真弓(よねざわ・まゆみ)
4歳からバレエを学び、英国イングリッシュ・ナショナル・バレエ・スクール留学。2008年、牧阿佐美バレヱ団入団。これまでに『三銃士』主演、『くるみ割り人形』、『眠れる森の美女』、『白鳥の湖』、『ドン・キホーテ』、『ライモンダ』、牧阿佐美振付『トリプティーク』、プティ振付『デューク・エリントン・バレエ』、バランシン振付『ルビーズ』などを踊る。

清瀧千晴(きよたき・ちはる)
日本ジュニアバレヱ、A.M.ステューデンツ、橘バレヱ学校などで学ぶ。2003年、ボリショイ・バレエ学校留学。2006年、『リーズの結婚』アラン役に抜擢。2008~2009年、文化庁新進芸術家海外研修制度にてボリショイ・バレエ団等で1年間研修。これまでにアシュトン振付『リーズの結婚』、『白鳥の湖』、『眠れる森の美女』、『三銃士』、『飛鳥 ASUKA』、プティ振付『アルルの女』などに主演するほか、『ノートルダム・ド・パリ』、バランシン振付『ルビーズ』などを踊る。

公演情報

牧阿佐美バレヱ団
『ロメオとジュリエット (全幕)

日:2024年6月29日(土)・30日(日)
場:文京シビックホール 大ホール
料:S席13,000円 A席10,000円 B席7,000円
  C席4,000円(全席指定・税込)
HP:https://www.ambt.jp
問:牧阿佐美バレヱ団
  tel.03-3360-8251(10:00~18:00/土日祝休)

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