2022年に東京バレエ団で初上演され、高評価を得たジョン・クランコ振付の『ロミオとジュリエット』が待望の再演。初演に引き続き、ジュリエット役を務める足立真里亜に話を聞いた。
「前回は主演経験が浅く、全体の流れを止めないよう踊り切ることを意識してリハーサルに臨んでいました。テクニック以上に演技面、心情の動かし方や表し方、キーになるステップと音が一緒になることを求められましたね。本番はダンサーやオケがまるで火が燃えるように勢いづき、私の心も興奮したのを覚えています」
ジュリエットは、国内外の名だたるダンサーたちが挑んできたが、足立はどのような解釈をしているのだろう。
「ジュリエットが死を選ぶことについて『若さゆえ』とよく言われますが、私は彼女を早熟な女性だと考えています。ジュリエットは普通の人が何年もかけて知る感情を、猛スピードで経験してしまったように思えて、それが哀しくて……。彼女の想いを受け入れて見守る大人がいれば、違ったかもしれない。ジュリエットにはロミオのほかに、意思疎通できる人がいないような気がするんです。ロミオといるとき以外は明るい表情をしていた記憶がなく、孤独を感じながら演じていました。考えることはたくさんありますが、再びジュリエットに向き合えるのは純粋に嬉しいです」
足立とのペアでロミオを演じるのは池本祥真だ。
「私の中で、彼は“エンターテイナー”というイメージ。とても瑞々しい踊りで、リハーサルの度に驚かされます。前回のロミオでのはにかんだ笑顔が印象的で、役にピッタリ! 大先輩ですが、とても温厚な方なので話し合いもしやすく心強いです」
では、クランコ版“ロミジュリ”で好きなところは?
「とてもシンプルな振り付けが好きです。演劇性も高いので、踊り手はそこに感情をのせるだけでいいのかなと思っています。見どころもたくさんあり、私は2幕のサーカスの踊りが見たくて、自分の出番はないのに稽古場に行ったりします(笑)」
最後に、公演に向けての意気込みを聞くと。
「イメージを固めず、できるだけ柔軟にやっていきたいと思っています。私は筋肉的な強さなどフィジカル面が弱いのですが、この2年で多く経験を積ませていただいたので、自分を信じるという意味の自信を持ち、舞台に立つ準備をしたいと思います」
(取材・文:木下千寿 撮影:友澤綾乃)
足立真里亜さん
「時短術……時短を意識し過ぎてしまうと、確認し損ねたり、忘れ物をしたりとうまくいかないことがある気がするので、“急がば回れ”で動くことが結局1番の時短なのかな?と思います!」
プロフィール
足立真里亜(あだち・まりあ)
千葉県出身。3歳よりバレエを始める。2012年、新国立劇場バレエ研修所に第9期生として入所。2015年、東京バレエ団に入団。同年6月、『ラ・バヤデール』で初舞台を踏む。2022年4月、ソリストに昇進した。
公演情報
東京バレエ団 ロミオとジュリエット 全3幕
日:2024年5月24日(金)~6月9日(日)
場:東京文化会館 大ホール
料:S席14,500円 A席12,000円
※他、各席種あり。詳細は団体HPにて
(全席指定・税込)
HP:https://www.nbs.or.jp
問:NBSチケットセンター
tel.03-3791-8888
(月~金10:00~16:00/土日祝休)