多彩な芸術や芸能が集結! TOKYOが贈る、感動の空間へ! 「生の舞台は楽しさのレベルが全然違います」

 舞台芸術や芸能を身近に感じてもらうため東京都の文化事業として発足した『都民芸術フェスティバル』。オーケストラ、オペラ、バレエ、演劇、寄席、伝統芸能などの11分野にわたるさまざまな舞台公演が都内各所で行われる。『第52回都民寄席』にて落語『二番煎じ』を演じる春風亭昇太に演題の魅力を聞いた。

 「江戸の冬の夜、町内の旦那衆が火の用心を触れて回るのですが、寒くてしかたがない。そこで番屋に戻って一杯引っかけて温まろうとするのですが、運悪く見つかってしまい……、という、私の好きな噺の一つです。古典落語の代表的な演題ですが、冬場にしかやらないので、季節を感じますね。

 私は新作落語だけというわけではなくて、古典と両方をやっています。落語家にとって、古典落語は必修科目、新作落語は選択科目なんです。落語はカテゴリーとしては演劇であって、演出と演技を全部一人でやっている。一人ひとりが劇団のようなものです。例えばシェイクスピアの作品だって、演じる劇団や演出家によって変わりますよね。僕たちも、古典落語という昔からあるものを演出を変えながらやっています。同じ演題でも、落語家それぞれに違った魅力があるんです」

 かつて経験したことのないような日々を過ごす、現代人にとって「笑いの効用」とは何かを考える。

 「いまのような社会状況の下で、落語会などではお客様のうけがいいんですよ。ある本には、笑う生き物は脳が大きいと書かれていました。人間は特に脳が大きくて、考えるべきことが山ほどある。それに対して、“笑い”には“脳のマッサージ”という効用があるので、大変なときほど笑いが必要だし、人は笑いを求めるのだと思います」

 「落語の笑いは落語家と客席のお客様が一緒になってつくるもの」と話す春風亭昇太。舞台を生で観てほしいと熱く語る。

 「落語やいろいろな芸術全般、それにスポーツも同様ですが、生で観るのとテレビの四角い画面で切り取ったものを見るのとでは全然違います。落語の場合、落語家は目の前のお客様に向かって話しているので、特にそうです。
 落語に限らず、演劇でも音楽でも、やはり生の舞台は魅力の伝わり方が全然違います。特に東京という街は、ありとあらゆる芸能を毎日のように観ることができるという世界でもまれなところじゃないですか。東京に暮らしていて、そういったものを楽しまないのは本当にもったいないと思います。だまされたと思って一回でいいから観に来てください」

(取材:根本すすむ 文:カンフェティ編集部 撮影:青木 賢)

プロフィール

春風亭昇太(しゅんぷうてい・しょうた)
落語家、公益社団法人落語芸術協会会長。静岡県出身、東海大学卒。1982 年に春風亭柳昇に入門、1992 年真打昇進。NHK 新人演芸コンクール優秀賞、花形演芸大賞金賞および大賞、第55 回文化庁芸術祭( 演芸部門)大賞など受賞多数。2016 年より日本テレビ「笑点」大喜利の6代目司会者。俳優やミュージシャンとしても活躍するほか、趣味の「城めぐり」に関する著作や講演も行っている。

公演情報

2022都民芸術フェスティバル 「第52回 都民寄席」

日:2022年1月29日(土)~3月13日(日)
場:各公演ごとに異なる ※詳細は公式HPにて
料:入場無料
※事前申込必須。応募多数の場合は抽選。ハガキ1枚につき1名様応募可能
※応募方法:通常ハガキに「希望日・希望会場・住所・氏名・年齢・電話番号」を明記
 申込締切:2021年12月24日(金)消印有効
 申込先:〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-12-30 芸能花伝舎2F 公益社団法人 落語芸術協会内 都民寄席実行委員会
HP:https://tomin-fes.com/ 
問:都民寄席実行委員会 tel.03-5909-3081(10:00~18:00)

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