この夏4年ぶりに上演されるミュージカル『ビリー・エリオット』。1980年代の英国、炭鉱不況にあえぐある町を舞台に、バレエに魅せられた少年が希望に向かって進む姿を描いたこの作品。2000年に映画として制作され、その後エルトン・ジョンが音楽を担当するミュージカルとして2005年にウエストエンドで幕を開け大評判を呼んだ。日本では2017年に初演され、2020年に再演。そして今回が再々演となる。
この作品が上演の度に大きな話題となるのは、ビリー役の少年を選ぶオーディションだろう。バレエやダンスに長けた11歳前後の少年という高いハードル設けられているオーディションだが、毎回ビリー同様に希望に燃える少年たちが応募している。そして今回も応募総数1,375名から1年にわたる長期の育成型オーディションが行われ、浅田良舞、石黒瑛土、井上宇一郎、春山嘉夢一の4人が選ばれた。まず、オーディションの結果が出たときの気持ちを聞いてみた。
浅田「必ず勝ち取るつもりでオーディションを受けましたが、嬉しかったです」
石黒「上手く言えないのですが、最高の気分でした」
井上「嬉しいのだけど、本当にビリーになれたという実感が湧きませんでした」
春山「もう世界一幸せな気持ちでした」
幼い頃からバレエに親しんでいて、コンクールで結果も出している4人。劇中のビリーと同じく、バレエの世界で生きていくことを目指しているはずだ。
浅田「バレエダンサーでいたいですが、あまり海外には行きたくないんです。ご飯も美味しくないし」
石黒「僕は海外でも活躍できるダンサーを目指したいですね。そして常識をぶち破るダンサーになりたいです。おかしいかな?」
井上「いいと思うよ。僕も海外でも活躍できるダンサーになりたいですが、ゆくゆくは教える側にも興味があります」
春山「もちろんバレエダンサーとして活躍したいですが、今はともかく上手くなりたいです」
いつの日かこの4人の内の誰かが……いや、全員が世界のバレエシーンを騒がせる存在になるかもしれない。
『ビリー・エリオット』には大人になったオールダー・ビリーとして永野亮比己、厚地康雄、山科諒馬の3人がトリプルキャストで出演する。中でも厚地は長年、英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団で初めての日本人男性のプリンシパルとして踊っていた。
まさに“リアル・ビリー”というべき存在。それを目指して、いや、きっと越えていく4人のステージに期待は高まる。
(取材・文:渡部晋也 撮影:間野真由美)
浅田良舞さん
「春は出会いの季節……最近出会った人は墨田区長の山本亨さんです。元々交流があり、バレエが好きで観に来て下さった事もある衆議院議員の松島みどりさんにご紹介頂き、『ビリー・エリオット』主演の報告をさせて頂きました。区長さんも喜んで下さり、舞台も観に来て下さるとおっしゃっていました。墨田区は僕が生まれて、今まで育ってきた場所で、とてもたくさんの思い出があります。これからもこの町を大切に、地元として僕が将来は墨田区の良さを世の中に広めていけるまで成長していきたいです。今回ご縁が出来て嬉しく思いました。隅田川の桜、とっても綺麗ですよ!」
石黒瑛土さん
「僕はビリー・エリオットの出演をきっかけに群馬から東京へ引っ越ししてきました。そして新しい環境で、学校の友達やバレエスタジオの友達にたくさん出会えました。たくさんの友達や知り合いができてとても嬉しかったです。そしてたくさんの刺激を受けています。東京にいる限られた期間ですが、みんなと仲良くできるようにこれからも頑張ります!」
井上宇一郎さん
「僕が最近出会ったというか、心に残ったのはある言葉です。僕は学校で委員をやっています。最後の委員会で、まもなく卒業する3年生から『流されたりせず、自分が思う正しいことを貫いてください』というお話しがありました。僕は何かが胸に落ちた気がしました。そして、今までの自分のことを振り返り、これからこの言葉を大切にしていこうと思いました」
春山嘉夢一さん
「最近、新たに出会った人は、ビリーエリオットのスタッフの方々やキャストの方々です。一斉に初めて会ったのは、制作発表の時でした。こんなにたくさんの人々が関わって、この作品が出来上がっていくんだと思うと、スケールの大きさに驚き、改めてすごいなぁと感じ、僕ももっと練習して、お客様に“希望”を与えられるビリーになれるように頑張りたいです。そして、みんながとても優しく声をかけてくれて、本当に嬉しくて、いつか僕もあーなれたらいいなと思いました」
プロフィール
浅田良舞(あさだ・りょうま)
一度決めたことは最後までやり遂げる芯の強さと勇気が持ち味。2023年、英国ロイヤルバレエスクールサマースクールにスカラシップに参加。ユースグランプリ2024日本予選プリコンペティティブ部門第1位。
石黒瑛土(いしぐろ・えいと)
大舞台にも強く、誰にも負けない探求心を垣間見せる。2023年、モナコプリンセスグレースダンスアカデミーへ留学。2023年、NBA全国バレエコンクール第1位。2023年、YBCバレエコンクール第1位。
井上宇一郎(いのうえ・ういちろう)
繊細さと大胆さを兼ね備えた性格で、ピアノも弾きこなす多彩ぶり。2022年、ヴィクトワールバレエコンペティション第2位。パシフィックインターナショナルバレエコンペティション第3位。
春山嘉夢一(はるやま・かむい)
ビリー役への人一倍強い想いで努力し、役を掴む。レッスン中も楽しむことを忘れないポジティブな性格。2023年、NBA全国バレエコンクール(小学5・6年の部)第2位。2022年、バレエコンクールin横浜(ジュニア3部門)第3位。
公演情報
ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』
日:2024年8月2日(金)~10月26日(土)
※他、オープニング公演あり
場:東京建物Brillia HALL
日:2024年11月9日(土)~24日(日)
場:SkyシアターMBS
料:【平日】S席15,000円 A席12,000円 B席9,000円
【土日祝】S席15,500円 A席12,500円 B席9,500円(全席指定・税込)
HP:https://billy2024.com
問:ホリプロチケットセンター
tel.03-3490-4949(平日11:00~18:00/土日祝休)