11世紀ヨーロッパを舞台にヴァイキングたちの生き様を激しく描いた、幸村誠原作の人気漫画『VINLAND SAGA』が、西田大輔率いるDisGOONie初の2.5次元作品として初舞台化される。独創的な大河作品を多数手掛けてきた西田がプロデューサー・脚本・演出として新たな世界へ出港する。
西田「とても大好きな作品。海賊というと格好いいものとしてなんとなく認識があると思うんです。ただ海賊は本当はならず者。そのリアルさを真っ向から描いている作品です。だからこそ真摯に描きたいし、俳優が生きてくるとぶつかる衝動みたいなものと重なっていくような、そういうリアルさを大事にしたいと思っています」
主人公・トルフィン役には橋本祥平。父を殺され兵器と化し復讐に生きる難役だ。
橋本「この作品との出逢いに感謝しています。トルフィンと一緒に成長していけることが凄く嬉しいです。自分は優しい人間だと思っていて(笑)。そんな人間が復讐しかない人間を演じる。橋本味をどう消すか。僕は演じる時に目力を大事にしていて、“復讐の目”についてもっと追求していけたら」
橋本は西田作品で初舞台を経験し今に至る。西田とのタッグは毎回緊張するという。
橋本「僕の土台を作ってくださった方。出会う度に成長している姿を出していかないと。そんなもんかと思われないように必死に食らいついていきます」
西田「彼は優しいけれど、とんでもない爆発力がある俳優。手を抜いて舞台に上がってこないんです。稽古はリハーサルですが全力で来る。以前“もし自分がこの作品を手掛けるんだったら”を想像をした時に、橋本祥平以外思い浮かばなかった。新しい彼の一面を届けられるんじゃないかなと思っています」
〝海の果ての果て篇〟では、なぜトルフィンが復讐鬼となったのか。“英雄復活篇”では、過酷な王家に生まれた王子・クヌートの苦悩を。1人の青年と1人の王子の成長を追い、宿敵・アシェラッドの死までを描いていく。
西田「原作を変にはしょらず心情に寄り添って全部描くための2本です。少年時代もありますが、少年役を用意するわけではない手法で舞台を作ります」
橋本「はじめ幼少期が気になっていましたが、台本では素敵な表現で描かれていたので衝撃でした。僕も楽しみです」
西田「僕らが生きていくのと同じように、原作をきちんと追って地平を探していきたい想いです。今回はその始まり。どうか一緒にこの船に乗ってこの始まりを観てもらえたら」
(取材・文:谷中理音 撮影:山本一人(平賀スクエア))
橋本祥平さん
「この仕事は春に限らず、作品に入ると新たな出会いや再会が多い職業です。人の数だけ芝居に対する向き合い方があって毎回刺激をもらっています。なので人ではなく最近出会ったものだと……知り合いが海外に行った時にお土産でもらったコピ・ルアクというコーヒー。高級なコーヒーでなかなか飲める代物ではないので有難い出会いでしたね。美味しゅうございました」
プロフィール
橋本祥平(はしもと・しょうへい)
1993年12月31日生まれ、神奈川県出身。舞台・ドラマ・映画など、多くの話題作で活躍。主な出演に、ミュージカル『伝説のリトルバスケットボール団』、舞台『東京リベンジャーズ』聖夜決戦編、ドラマ『あいつが上手で下手が僕で』シリーズなど。5月には東映ムビ×ステ『邪魚隊/ジャッコタイ』の公開が控えている。
西田大輔(にしだ・だいすけ)
1976年11月13日生まれ、東京都出身。AND ENDLESS主宰。DisGOONie代表。脚本家・劇作家・演出家・俳優・映画監督。高いエンターテインメント性と哲学性を兼ね備えた濃密な作品群を圧倒的なペースで発表し続けている。近作に、舞台『ETERNAL GHOST FISH-永恒机关魚-』、舞台『Arcana Shadow』、ミュージカル『薄桜鬼 真改』斎藤一篇など。
公演情報
舞台『ヴィンランド・サガ ~海の果ての果て篇~ / ~英雄復活篇~』
日:2024年4月19日(金)~29日(月・祝)
場:こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ
料:11,000円(全席指定・税込)
HP:https://disgoonie.jp/vinlandsaga/
問:株式会社ディスグーニー tel.03-6303-2690