劇場を感動の渦に包んだ感動作が8年ぶりの再演! それぞれの「人生の数字」が交わる時、奇跡が街を包む

劇場を感動の渦に包んだ感動作が8年ぶりの再演! それぞれの「人生の数字」が交わる時、奇跡が街を包む

 計算された言葉の掛け合い・パワフルで疾走感あふれる展開のハイスピードコメディを主軸に、エンターテイメント性に富みながらも繊細な心情を描く、物語性に重きを置いた作品づくりを信条とする劇団6番シード。
 2024年春公演は、劇場を感動の渦に包んだ感動作『Life is numbers』が満を持して8年ぶりの再演となる。余命宣告された会社員、偏屈な大学教授に恋をする大学生、友人に借金を繰り返すフリーター、煙草がやめられない外科医など「人生の数字」に翻弄される人々が織り成すロマンチックラブストーリー。
 入団3年目のオオダイラ隆生と高宗歩未が初のW主演で挑む2チーム制公演だ。代表の松本陽一が「新しい景色が見られる」と語る再演はどのような舞台になるのか? 3人に本作への意気込みを聞いた。

―――8年ぶりの再演を決めた背景について教えてください

松本「この作品は僕の自信作と言うか凄く好きな作品で、いつか再演したいとずっと思っていました。オオダイラと高宗が入団したあと、どこかの公演の前説だったと思うんですが、初演の主演を務めた藤堂瞬と『再演したいけど、君はもう年取ってしまったね』と投げかけたら、『オオダイラに合ってるんじゃないか』という話になって、すぐにやろうという運びになりました。
 今回は、主人公の男性バージョンがオオダイラで、女性バージョンを高宗が演じるのですが、女性バージョンは、新しく書くのでほぼ新作という感覚でいます」

―――この物語の着想はどのようにして?

松本「駅のコインロッカーの番号を目にした時にふと、この番号が人生に意味があるものだとしたら?と思ったんです。街には色んな数字が溢れていて、人間がその数字と出会った時に、良い影響も悪い影響も受けながら人生を歩んでいくという物語にしようと、『Life is numbers』というタイトルになりました。僕の中では様々な登場人物の群像劇にしたくて、映画『ラブアクチュアリー』(2003年)をモチーフにしています。
 色んな人が交差して、1つの幸せな結末を迎えるというストーリーを数字で彩ったら面白い作品になるのではと思いました。また今回はチーム公演にしようと、客演のキャストに声を掛けていたらすごい人数になってしまって(笑)、この間キャスティングがやっと終わってホッとしています。新しい方にも入ってもらうので、すごく楽しみですね」

―――今回、チーム制を起用された理由を教えて下さい。

松本「再演は元々、初演と同じく男性主人公だけで考えていたのですが、団員の椎名亜音から『主人公の恋人役を女性主人公にしてみたら?』と提案があって、確かにその発想はなかったなと。果たして出来るかとイメージした時に、主人公が女性になることで、他のキャラクターの性別や属性が玉突きのように変わっていって、ドラスティックに変わったもう1つの物語が生まれました。これは面白いなと思って2チームに分けることにしました」

―――主演のお二人は本作にどんな印象を持ちましたか?

高宗「初演の台本を読ませて頂いたのですが、心がきゅーっとなって、読み終わった時に涙が止まりませんでした。ずっと思い返すほど心に響く作品ですね。繊細というか、自分達の実生活にもありうる話なので、観劇後もずっと余韻が続く作品だなと思いました。群像劇ですが7~8組のペアリングがいて、映画のように短いシーンでカット割りされていくということなので、舞台作品としてはかなり斬新なものになるはずです。
 元々、再演ではオオダイラ君が主演と聞いていたので、おお! 頑張れよ!という感じでしたが、W主演をさせて頂くことになりました。6番シードの良いところは、劇団員が必ず本公演でメインになるんですよ。そういう劇団は最近あまりない印象があって、すごく劇団員を大切にしている所だなと入団前からずっと感じていました。まだまだ自分は下っ端ですし、主演はまだ先だろうなと思っていた矢先だったので、有難いですし、身が引き締まる思いです」

オオダイラ「僕も高宗も長編の本公演で主演は初。入団した頃の目標として、40歳までに主演ができればという思いを持っていました。でも3年目だしなーとも思っていたのですが、まさか松本と藤堂さんの前説で決まってしまうという(笑)。
 折角、同期でのW主演なので、刺激し合ってどっちのチームの色も良いねと思ってもらえる作品にしたいです」

―――人生で数字を意識する瞬間はありますか?

オオダイラ「数字を挙げるとすれば、今年40歳になるので、今は数字に敏感になっています(笑)。余命宣告を受けた主人公についても、遠くない現実というか、身体の些細な変化に気をつけて行かねばならない年齢になってきているんだなとひしひしと感じています。
 他には合格した高校入試の受験番号など、嬉しかった時の番号はずっと覚えていますね。そう考えると人生って数字に左右されていますよね」

高宗「私はあまり数字には左右されないですね。年齢もそんなに気にしていないし、受験番号も当然覚えていません(笑)。
 ただ、時計を見た時に22時22分のゾロ目になった時や、自分の誕生日6月10日と同じ6時10分を見た時にはハッピーな気持ちになりますね。人間には生まれ持った数字があると本で読んだこともあるので、見えないところで人間は数字に縛られているのかもしれません」

松本「まさに作品のテーマがそこにあります。人生で出会った数字に翻弄されて、助けられもするし、絶望もする。そこを描いた物語と言えますね」

オオダイラ「僕が演じるクローバーサイドの主人公の名前が七海拓実というのですが、僕は7月生まれなので、役名に7が入っているだけで嬉しくなりました(笑)」

一同「(笑)」

松本「僕は七海がオオダイラにぴったりだなと思っています。物腰が柔らかいというか、ひょろってしてるけど芯がある感じとか、その雰囲気をオオダイラが瑞々しく演じてくれるのではないかと」

高宗「私も同じ設定の役だったとしても、男女で印象はかなり変わると思っています。他のペアリングでもチームが変わることで男女逆転になることもあるので、また違った作品に感じるかもしれませんね。客演の方も入ってくるので、どんな世界観になっていくのか、今から楽しみです!
 オオダイラ君とは同期入団ということもあり、初のW主演で切磋琢磨していきたいという気持ちと、負けたくないというライバル心の両方を持ちながら、作品をつくっていきたいです」

松本「今回は新たに主題歌というか、路上アーティストのキャラクターが劇中で歌う曲が重要なピースとなっていて、これも男女それぞれのチームでつくろうと思っています。
 物語序盤はキャラクターそれぞれの人生が並行して進んでいきますが、数字というピースがはまることで一気に各自の人生が重なりあって感動の結末へと向かうという、そのクライマックスは期待してもらいたいです」

オオダイラ「特に後半から終盤にかけての加速感が半端ないですよね。タイトルにもありますが、数字というピースがはまることで、劇的な変化を見せるというか。そこが気持ち良く、台本を読むスピードも加速しました」

松本「『風が吹けば桶屋が儲かる』じゃないですが、1つの事象が様々なことに影響を及ぼすというバタフライエフェクトは脚本を書く上で大切にしていることです。本作ではそれぞれのキャラクターに起きた些細なことが、周り廻って1つの奇跡につながっていく物語になればと思っています」

―――公演後にも沢山のイベントが予定されています。

松本「6番シードはお芝居もそうですが、それ以外にも沢山楽しんでもらいたいと思っています。そして欲張った結果がこれです(笑)」

一同「(笑)」

松本「コロナ禍で舞台見学ツアーもお見送り会も出来なかったので、またどんどんやっていこうかなと。劇場に来て頂き、演劇って楽しいと思ってもらえる人を増やしていきたいです」

高宗「千秋楽5月8日の13時の回が終わったあと、18時からスペシャルイベントとして、両sideのキャストが集結して裏話やアナザーストーリー、そして名場面シャッフル上演などの面白企画満載なので是非楽しみにしてもらいたいです!」

―――最後に読者にメッセージをお願いします。

松本「僕が大好きな作品なので、再び皆さんにお届けできるのがすごく楽しみです。身近にいる人達が起こす奇跡の物語ですが、きっとお客さんは色々なキャラクターに自らを投影して感情移入をされるのではないでしょうか。どこかの誰かにチャンネルが合うはずです。そういう色んな視点でこの物語を味わって頂きたいです」

高宗「6番シードの中でも人気の作品で主演をやらせて頂くので、大切に丁寧に創り上げていきたいです。女性版はほぼ新作に近いということなので、初演の良いところを引継ぎながら、私達にしかできない、新しい『Life is Numbers』をお届けできたらなと思っています」

オオダイラ「初演を観た色んな方から『すごくいい作品だよ。おめでとう!』と言って頂けるのは有難いですが、当然、初演からのさらなるブラッシュアップも期待されているので、そこに応えなければという重圧もあります。一方で、この公演で集まってくださったキャストでしかできない新しい『Life is numbers』を目指して頑張ります。是非ご期待ください!」

(取材・文&撮影:小笠原大介)

プロフィール

松本陽一(まつもと・よういち)
1974年9月18日生まれ、広島県出身。脚本家・演出家・劇作家、劇団6番シード代表。スピード感あふれるノンストップコメディを中心に、これまで50作品以上の脚本・演出を担当。映画『Deep logic』、『夜明けの記憶』、『パニック4ROOMS』などの映像作品の脚本のほか、数多くの演劇ワークショップを開催。舞台『独房のルージュ』では、2011年池袋演劇祭 豊島区長賞を受賞。

オオダイラ隆生(おおだいら・たかゆき
1984年7月23日生まれ、千葉県出身。慶應義塾大学文学部卒。就職活動をするものの辞退し、俳優として活動し始める。舞台を中心に活動し、「マイナビ2010」WebCM、資生堂「UNO FOG BAR」ヘアモデル、「静鉄不動産」CMなど広告等にも出演。『ザ・ボイスアクター2020〜アニメーション&オンライン〜』で劇団6番シード作品に初出演。2022年1月、劇団6番シードに入団。2024年、本作にて同期で入団した高宗とW主演する。

高宗歩未(たかむね・あゆみ)
1993年6月10日生まれ、東京都出身。2002年デビュー。主な出演作品に、NHK大河ドラマ『風林火山』、『ウルトラマンメビウス』、金冠堂「キンカン ダンス篇」CM、ミュージカル『忍たま乱太郎』シリーズ、舞台『DIABOLIK LOVERS』シリーズなど。2018年に犀の穴プロデュース『最後の1フィート』で松本陽一と出会う。翌年の劇団6番シード作品『未来切符』をきっかけに、2022年1月より劇団6番シードに入団。

公演情報

劇団6番シード 第78回公演『Life is Numbers』

日:2024年5月2日(木)~8日(水)
場:萬劇場
料:6,000円(全席指定・税込)
HP:http://www.6banceed.com
問:劇団6番シード mail:web@6banceed.com

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