オーケストラ・バレエ・オペラなど様々なジャンルが一堂に会する、神奈川県民ホール年末恒例の『ファンタスティック・ガラコンサート』。今年で18回目を迎えすっかり定着したこの催しだが、今回は“愛の抱擁”をテーマに趣向を凝らしたプログラムが用意されている。各ジャンルのトップランナーが揃うのも大きな魅力だが、バレエからは日本を代表するバレリーナ 上野水香が、そしてヴァイオリニストとして、地元神奈川フィルハーモニー管弦楽団の首席ソロ・コンサートマスターであり、ソリストとしても活躍する石田泰尚が出演する。上野は2008年から、石田は2015年から出演しており、2人にとってもこのコンサートは特別だという。
上野「もうほぼ毎年出ているので、これがないと年が越せない恒例の舞台ですね。お客さまも楽しみにされていて、独特な温かいムードでみたされています。しかも神奈川は私の地元ですから、特別な意味合いがあるんです」
石田「僕も8年目になりますね。オーケストラはその後も結構舞台があったりしますから、仕事納めになることは少ないですが、それでも一年の締めくくり感はありますね。舞台にいてもお客さんの期待が伝わりますから、やりがいがありますよ」
上野と石田が登場するのはバレエと音楽のコラボレーションの部分。今年は『白鳥の湖』から「アダージョ」(上野&石田)と「黒鳥のパ・ド・トロワ」(上野&オーケストラ)の予定だ。
上野「白鳥と黒鳥の両方を踊りたいと思って提案しました。毎年石田さんと共演させていただいていますが、本当に美しい音色で毎回うっとりします。『アダージョ』はとても美しい旋律なので、それをどう弾いてくださるか凄く楽しみだし、石田さんの音色で踊りたかったんです。バレエは本来オーケストラの演奏で踊りますから、ソロのヴァイオリンで踊ることはまずありません。その点でもユニークで凄く楽しみにしています」
石田「頑張ります(笑)。おっしゃるとおりで、ステージでバレリーナと対峙することはないですから、この時は上野さんを見つめながら演奏しています。むしろ僕が観たいんです。感性のキャッチボールをしている感覚ですね。僕自身のパートはまだ何をやるか決めていませんが、映画音楽から涙するような曲を、というリクエストが来ているので考えている最中です。どうしましょうね。まさか映画を観ながら決めるわけにもいかないし(笑)」
(取材・文:渡部晋也 撮影:間野真由美)
上野水香さん
「自宅のこだわりポイントは“気の流れ、風通しそして色合い、香り”です。パワーをもったストーンやお守りのお札など気を整えるものを数多く置き、自分の部屋はなるべく窓を開けて風を通すようにします。そして寝る時は好きな色、ピンクに包まれたいので、お布団・ランプなどのベッド周りはピンクが圧倒的に多いです。アロマは寝る前のラベンダー」
プロフィール
上野水香(うえの・みずか)
神奈川県・鎌倉市出身。5歳でバレエを始め、ローザンヌ国際バレエコンクールでスカラシップ賞を受賞し、モナコに留学。その後、牧阿佐美バレヱ団に入団し古典から現代作品まで幅広く踊る。2004年、東京バレエ団にプリンシパルとして入団。モーリス・ベジャールから指導を受け、『ボレロ』を踊ることを許された日本人で唯一のダンサーとなる。海外の主要な歌劇場からも数多く招かれ、世界的なダンサー達との共演を重ねている。2022年、芸術選奨 文部科学大臣賞受賞。
石田泰尚(いしだ・やすなお)
神奈川県・川崎市出身。3歳でヴァイオリンと出会い、小学校4年生で神奈川県のジュニアオーケストラに入る。国立音楽大学を首席で卒業。在学中から新星日本交響楽団のコンサートマスターとして活躍する。2001年、神奈川フィルハーモニー管弦楽団ソロ・コンサートマスターに就任。その傍ら2014年には自身のプロデュースによる男性だけの弦楽アンサンブル「石田組」を結成。斬新なステージングで人気を博している。神奈川文化賞 未来賞、横浜文化賞 文化・芸術奨励賞を受賞。
公演情報
ファンタスティック・ガラコンサート2023
日:2023年12月29日(金)15:00開演(14:15開場) 場:神奈川県民ホール 大ホール
料:プレミアム10,000円[完売] S8,000円 A6,000円 B4,000円 C3,000円
※他、Sペア・学生チケットあり。詳細は団体HPにて(全席指定・税込)
HP:https://www.kanagawa-kenminhall.com/
問:チケットかながわ tel.0570-015-415(10:00~18:00)