タクフェスが10年ぶりに『晩餐』を上演 “1番泣ける”ハートフルコメディの決定版!

 脚本家・俳優として活躍する宅間孝行が仕掛ける、極上のエンターテインメントプロジェクト「タクフェス」が今年10周年を迎える。

 「この10年、あっという間でしたね。中でも、コロナ禍でこの2~3年は本当に大変でした。コロナ前は、演劇は一番強いと思っていたんですよ。ネット環境が浸透すればするほど、“生”の価値が上がると考えていました。ですが、コロナ禍でそうした演劇の価値や強みが根底からひっくり返ってしまい、い
かに僕たちの職業が脆いものなのかを感じました。今はより謙虚になったと思いますし、お客さまへの感謝の想いもより強くなりました」

 そうして迎える第11弾公演で上演されるのは、タクフェス第1弾で上演された『晩餐』だ。

 「2013年の初演の時に、凄く評判が良かったのですが、再演するなら節目でやろうと以前から決めていました」

 物語の舞台は吉祥寺の外れにあるシェアハウス「イノヘッド」。そこに60年後の未来から「事故
で亡くなった母親に逢いたい」と、ある夫婦がタイムマシンに乗ってやって来ることから物語が始まる。

 「当時、離婚をしたばかりで、息子に会いたいという想いが強く、息子への愛を証として形に残そうと思ったのが、この作品を書くきっかけでした。なので、父親と息子という、それまで意識していなかったファクターを盛り込んだ物語になっています。そして、再演をすることが決まった今年、父が亡く
なったんですよ。10年前は父親である純二を演じた僕が、今回は息子の耕太郎を演じるというタイミングでのことだったので、不思議な巡り合わせを感じています」

 宅間の描く物語の魅力は、なんといっても笑えて泣ける人情味に溢れた作品であること。本作はその筆頭とも呼べる作品だ。

 「自分で言うのもなんですが……劇団東京セレソンデラックスから、『泣ける』と言われる作品が多かったです。その中でも『一番泣けた』とお客さまから言われたのがこの作品でした。初演当時、“生きていく上で、何が一番大事なのか”を意識して作ったので、それが人の心を動かしているのかなと、僕自身は思っています。ベタなストーリーですが、人と人との繋がりや人間の根本にある優しさ、人を思う気持ちが詰まった作品になっていると思うので、どの世代にも響くのではないでしょうか」

 これまで一度も再演をされてこなかった伝説の作品を“生”で観られるこの機会、ぜひ劇場へ!

(取材・文:嶋田真己 撮影:山本一人(平賀スクエア))

プロフィール

宅間孝行(たくま・たかゆき)
1970年7月17日生まれ、東京都出身。タクフェス主宰。俳優・脚本家・演出家。1997年、劇団東京セレソンを旗揚げ。2001年、東京セレソンデラックスと改名するのを機に、主宰・作・演出・主演として活動。2012年12月、劇団を解散。翌、2013年にタクフェスを立ち上げる。役者として多くの作品に出演する一方、脚本・演出家としても活動。ドラマ『歌姫』、『間違われちゃった男』、映画『くちづけ』、『あいあい傘』など、多くの劇団作品が映像化されている。

公演情報

タクフェス第11弾『晩餐』

日:2023年12月8日(金)~17日(日)
  ※他、地方公演あり
場:サンシャイン劇場
料:S席[パンフレット付]10,500円 S席9,500円
  TAKUFESシート[2階後⽅]6,500円
  (全席指定・税込)
HP:http://takufes.jp/bansan2023/
問:サンライズプロモーション東京
  tel.0570-00-3337(平⽇12:00~15:00)

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