ド派手に記す嘘八百戦国絵巻! @emotionが現代に贈るは、戦国最後の、最期のイキザマ!

ド派手に記す嘘八百戦国絵巻! @emotionが現代に贈るは、戦国最後の、最期のイキザマ!

 門野翔が中心となり、「日常に刺激を」をコンセプトに演劇・映像作品などオールジャンルの分野で芸術(エンターテインメント)を企画・製作する@emotion。
 記念すべき10作目となる『IKIZAMA』は、戦国末期を舞台に、天下の大泥棒・石川五右衛門と太閤秀吉の姿を描く。主演となる五右衛門役の米原幸佑、茶々役の松村芽久未、作・演出・殺陣振付を担当する門野、そして@emotionの土屋シオンに公演への意気込みを聞いた。

―――今回はどんな物語になるのか、門野さんから教えていただけますか?

門野「豊臣秀吉の時代に、悪事を働いていた石川五右衛門が、積年の恨みを晴らすために、秀吉の暗殺を企てるという歴史をもとにした作品です。暗殺しようと秀吉のもとに忍びこんだ五右衛門は、そこで秀吉と茶々に出逢います。
 本来の歴史は、暗殺を企てたことによって五右衛門は秀吉に処刑されるのですが、今作では、秀吉は五右衛門を処刑せずに、生かします。そこから物語が始まっていきます。戦国末期、大坂の陣まで五右衛門は生き延びて、どう死ぬ姿を見せるのかという物語です」

―――どういった発想から、この作品が生まれたのですか?

門野「僕は20代の頃は負けん気が強く、ヒーロー的な存在に対して憧れや妬みが強かったのですが、大人になった今、“みんな違ってみんないい”ではないですが、一人ひとり、色々な生き様があっていいよねと思えるようになりました。
 そうした思いの変化があったことで、最初にプロットを書き上げるときに、団体のメンバーに『“かっこいい人”天下一武道会みたいなものを書きたい。誰が1番かっこいいんだということを問うというような作品を書いてみたい』と伝えたんです。加えて、スカッとしたものにしたいという思いもあったので、石川五右衛門を真ん中に置いて、派手さを盛り込んだ作品にしようと。そうして立ち上げたのがこの作品です」

―――米原さんと松村さんは、@emotionの作品には今回が初出演になります。オファーを受けて、どんな心境でしたか?

米原「僕は、もともと土屋と小学生の頃からの知り合いなんですよ。その頃から僕のことをすごく慕ってくれていて、僕が立ち上げた演劇ユニットの企画にも参加してくれたりして、ずっと繋がりがあったんです。なので、シオンの動向も知っていましたし、@emotionという活気のある団体に入ったというのも知っていました。
 それで、昨年、コメントを求められた時に、『僕も(@emotionに)出たいです』と言ったんですよ。まあ、よくあるコメントではあったんですが(笑)。そうしたら本当に声をかけてくれて。しかも主演で。それはもう可愛い弟が声をかけてくれたのですから、やらせていただきますという思いでいます。嬉しかったですし、今、すごく楽しみです」

松村「私は、5年前に門野さんと役者として共演して以降、公演を観に行かせていただいて、ずっと出たいと思っていたのですが、なかなかスケジュールが合わず今まで出演できずにいました。
 それで、SNSで『もっと早くにスケジュールを押さえてください』とお願いしたら、本当に押さえていただいて、今回、念願の出演です。私から猛アプローチして出演が決まったのですが、まさかヒロインで呼んでいただけると思っていなかったので、ある意味ではプレッシャーもありつつも、頑張りたいと思います」

―――土屋さんは本作については、どう感じていますか?

土屋「今回、僕は米原さんと同一人物を演じるんですよ。僕が五右衛門の若い頃で、米原さんがその後の五右衛門を演じます。
 米原さんは、僕がデビューした当時に出ていた番組でご一緒させていただいてからずっと憧れている方なんです。僕は、子役をやっていた頃はどこかやらされているような感覚があったんですが、(米原が加入していた)RUN&GUNで歌って踊っている姿を見て、あんなふうになりたいと思ってこの業界で続けてきました。そうやって背中を見てきた人と同じ役ができるというのは役者冥利に尽きます。
 始まる前から、大事にしたい役になると僕の中で決まっている作品なので、僕にとって大事な作品を早く観ていただきたいと思います。役者としてその仕事を全うするということだけでなく、土屋シオンという1人の人間としてもすごく大切な作品になると思っています」

―――アトエモとしては、今回、米原さんに主演のオファーをお願いしたのは、どんな期待からだったのですか?

門野「主演の方をどなたにしようかと、みんなで名前を挙げていたときに、土屋もそうですが、(@emotionの)遠藤しずかからも米原さんのお名前が挙がっていたんですよ。僕の知り合いには、米原さんと共演したことがある俳優も多かったということもあり、この機会にぜひお願いしたいと。それで土屋に連絡をとってもらいました」

米原「シオンから連絡が来たときに、シオンが出るのかを確認したんですよ。出るなら、僕も出ると。それで、せっかくなら絡める役がいいと思っていたんですが、今回は同一人物になりました(笑)」

門野「自分の過去を知っている俳優って少ないと思うんです。今回、五右衛門の若い頃を土屋が演じて、その後の人生を米原さんが演じるわけですが、これまでの関係性がある2人だからこそ同じ人物を演じるのはエモいなと思って、キャスティングさせていただきました。
 僕の作品は、そのキャラクター自体よりも、役者さんの人間性を生かすことが多いので、あてがきとまでは言いませんが、2人の関係性を考えながら書いているところもあります。米原さんが出演していただけるとなった時に、若い頃は土屋がやったほうがいいと思って、この形になったので、非常に楽しみです」

―――松村さんの茶々役にはどんな思いがあるのですか?

門野「米原さんも松村さんもお互い関西圏出身なんですよ」

米原「(元)NMB(48)だもんね?」

松村「そうです。大阪です。(米原さんも)関西なんですか?」

米原「僕も大阪です」

松村「そうなんですね!」

門野「と、そんな感じで(笑)、繋がりがあるとやりやすいんじゃないかなと思ったというのが(キャスティングした理由に)あります。
 それから、五右衛門は土屋と米原さんで演じますが、茶々は松村さんが1人で演じます。なので、素敵で綺麗な方をと思ったこともあります。男性から見て、憧れの女性ってずっと変わらずに見えるじゃないですか。そういう意味も込めて、今回は、同じ人に演じてもらおうと思ってキャスティングさせていただきました」

―――門野さんもご出演されるんですよね? どんな役柄なんですか?

門野「普段は派手な役回りが多いですが、今回は珍しく、知的で優しいキャラクターになると思うので、自分が1番不安です(笑)。
 せっかくなので、自分にないカラーの役をやってみようと思ったのですが、自分の演出で、どこまで逃げずにできるか分かりませんが、挑戦してみようと思っています」

―――今回、米原さんと松村さんはアトエモ初参加ということで、ぜひ門野さんと土屋さんから「アトエモならではだな」というところを教えていただけますか?

土屋「(門野は)丸くなりました(笑)」

松村「ちょっと小耳に挟んだのですが、お稽古が始まると門野さんは厳しいと聞いたことがあるんですが、そんなに怖いんですか(笑)?」

土屋「いや、そんなことないと思います(笑)。僕は怖いと思ったことはないですよ」

門野「でも、新体制の8人になってからは、団体内の空気も変わったと思います。昔はどうしても締める時は締めるということもありましたが、今は笑顔が多い団体になったと思うので、空気はそれほど固くないと思いますよ。
 ただ、実力がある方たちに出ていただくことが多いので、その方たちが稽古に臨む姿勢を見て、若手たちも身が引き締まるということはあると思います。今は自然と空気が出来上がっているように感じています。
 それから、団体の売りとしては、年齢幅が広いというのが良いところ。今回も素敵な大先輩方が出てくださいます。ジェネレーションを作ってくださった劇団や先輩方と若手が絡む場所って意外とあまりないんですよ。なので、そうした場にもなればいいかなと思っています。あとは?」

土屋「必要なのは、ジャンプ力(笑)。昔、アトエモに出るにはジャンプ力が必要だって言われていたんですよ(笑)。今はもうなくなりましたが。
 でも、毎回、和気あいあいとした稽古場になっているので、今回も初めてましての方が多いですが、どんどん楽しい空気になるんじゃないかなと楽しみにしています」

―――『IKIZAMA』というタイトルにちなんで、皆さんが憧れている人や、こんな生きざまをしたい、かっこいいと思っている人は?

松村「私、います! 長渕剛さんです! 小さい頃から家族揃って長渕剛さんが好きで、桜島のオールナイトコンサートにも行きました。
 普段、家族では“剛”って呼んでいるので、剛って呼ばせていただきますが、私は剛の影響で新しいことを始めたいと思ってダンスを始めたんです。何をやっても3日坊主なんですが、唯一続いたのがダンスで、それがこの世界に携わるきっかけにもなりました。私にとっては本当に大きな存在です」

―――米原さんはいかがですか?

米原「時代が流動的ですし、それに合わせて考え方も変わっていくと思うので、これと言い切るのは難しいですが。いつ何が起こるかわからない時代なので、その時々でやりたいと思うことをやろうと思っています。やらずに後悔するよりは、やって失敗した方がいいとよく言いますが、まさにその価値観でここ何年かはやってきています。そういう生き様で生きていけたらと思います」

門野「僕は、以前はつっぱってなんぼというところがあったんですよ。強くて、かっこよければなんでもいいと思っていたんですが、最近は、なるようになると思うことが多くなりましたし、ドンと構えられる人になりたいと思っています。
 今年の上半期に体調を崩してしまい、1ヶ月くらい療養していたんですよ。その時に、考え方が変わった気がします。つっぱっていた頃はいい意味でも悪い意味でも視野が狭かったし、器も小さかった。これからは視野を広げて、ドンと構えられたらいいなと思います」

土屋「なんか感慨深いね。2年前に取材した時は、『強い奴が集まっている=かっこいい』って言ってたもんね(笑)」

全員「あはは(笑)」

門野「あの時は尖ってたからね(笑)」

土屋「僕は米原さんです。僕の中で、やっぱりバイブル。これまでは、いちお客さんとして、色々な姿を見せてもらってきたんですよ。アイドルをやられていた時から始まり、舞台を拝見したり、音楽活動を始めたり、団体を立ち上げたり……。いつもいつもやりたいと思ったことをやっている。好きだからやっている姿を見てきました。
 大人になるにつれて、うまくできなかったらどうしようとかマイナスなことも考えてしまうと思うんです。ネットショッピングで何かを買う時もレビューを気にしちゃったり」

米原「いや、レビューは見ようよ(笑)」

土屋「前言撤回します。レビューは見ます(笑)。でも、自分が欲しいものを欲するままに生きている米原さんと同じように、僕もそんな生き方をしていきたいと思っています。
 人間は生まれた時には死ぬのが決まってるじゃないですか。1日1日、死に一歩ずつ近づいていますが、その一歩は死にに行く一歩ではなく、明日を生き抜く一歩なんだと思って、死ぬときに『よく生きたな』と思って死ねる人生を歩めたらいいなと思います。
 そう思わせてくれる人たちに出会えたことは、人生にとって財産だと思うので、舞台を観てくださった方がこの作品から何かエネルギーを得て、明日も頑張ろうとか、今日を生き抜こうって思える作品になったらいいなと思っております」

―――最後に公演への意気込みとメッセージを。

門野「今回、団体として本公演を掲げてから10作目の作品です。これまでの集大成となる作品になるんじゃないかなと思いますし、素敵なゲストさんがたくさん出てくださるのも10本目だからならではなのかなと思っています。
 また今までとは違う@emotionのエンタメを打ち出せたらと思っておりますので、ぜひとも足を運んでいただけたらなと思います。よろしくお願いします」

土屋「僕はメンバーになって2年なので、1作目から携わっていたわけではないですが、それでも10作品目というのは、すごく特別です。ビジュアル撮影も、まるでお客さんのようにワクワクしながら見ていました。
 これから本番までの間に、動画などもたくさん公開する予定なので、本番までの時間も楽しんでいただけると思います。公演も含めて、お客さんにサプライズを仕掛けていけるように頑張りますので、楽しみにしていただけたらなと思います」

松村「今回、やっと出れるという嬉しさがあります。@emotionさん10回目の大切な公演を盛り上げていけるように頑張りたいと思いますし、私自身もこの作品で成長できるように頑張ります。米原さんのお隣で何か支えられるようなことがあればお手伝いしたいと思っています。よろしくお願いします」

米原「11月、ちょっと肌寒くなってきた、いい時期に熱い作品ができるんじゃないかなと感じています。ビジュアル撮影の時から、団体さんの熱やエナジー、意気込みを感じました。この作品を盛り上げるぞという思いがビンビン伝わってきています。僕もそれにのってこの作品を一緒に盛り上げていけたらと思っています。
 やはり舞台は劇場で見るのが1番いいと思っているので、ぜひ劇場に会いにきて欲しいです」

(取材・文&撮影:嶋田真己)

プロフィール

米原幸佑(よねはら・こうすけ)
1986年3月13日生まれ、大阪府出身。2001年に音楽グループ「RUN&GUN」としてデビュー。以降、舞台を中心に俳優活動をしながら、シンガーソングライターのサカノウエヨースケと「ヨースケコースケ」を結成しアーティストとしても活動中。主な出演作品に、映画『どうしても触れたくない』、舞台『僕のヒーローアカデミア』The “Ultra”Stageシリーズ、ミュージカル『ALTAR BOYZ』など。

松村芽久未(まつむら・めぐみ)
1995年6月26日生まれ、大阪府出身。2017年までNMB48のメンバーとして活動。卒業後は、俳優・声優として活動。主な出演作に、舞台『機動戦士ガンダム00』シリーズ、『Collar×Malice』シリーズなど。声優としてアプリゲーム「フェアリースフィア」に出演し、声優e-Sports部メンバーとしても幅広く活躍している。

門野 翔(かどの・しょう)
1990年2月22日生まれ、埼玉県出身。子役としてTVや舞台で活躍し、18歳の時に代表を務めるエンターテインメント企画ユニット@emotionを立ち上げる。2012年から団体公演を行い、脚本・演出・殺陣振付をしつつ、自身も出演。主な出演作に、NHK大河ドラマ『風林火山』、『龍馬伝』、松本稽古企画公演Vol,1「ココロ踊ル」supported by ENG『ダンスピアの消失』など。

土屋シオン(つちや・しおん)
1992年8月7日生まれ、神奈川県出身。2011年に『仮面ライダーフォーゼ』でJK役を演じる。以降、舞台・映画を中心に活躍。@emotionには、2021年から参加。主な出演作品に、映画『神様の言うとおり』、ミュージカル『さよならソルシエ』、月刊「根本宗子」第12号『忍者、女子高生(仮)』など。2023年4月クール『ドゲンジャーズ メトロポリス』でTVドラマ初主演・白石循役を務める。

公演情報

@emotion presents Expression Vol.10 金
『IKIZAMA』

日:2023年11月8日(水)~12日(日)
場:六行会ホール
料:S席[最前1・2列目]8,800円
  A席[前方席]6,600円
  B席[後方席]5,500円
  M席[見切れ席・11/6より発売予定]2,500円
  (全席指定・税込)
HP:https://emotion.tokyo/ikizama/
問:@emotion mail:info@emotion.tokyo

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