運命に導かれ出会った、青年・武と、厳しくも愛情深い師匠・深見の物語 「僕の師匠は、山本耕史」 ダブルキャストから念願の共演へ

 ビートたけしが、師匠である深見千三郎と過ごした青春時代を描いた自伝『浅草キッド』が、この度音楽劇として初舞台化される。たけしの先輩芸人・高山を演じるのは、松下優也。

 出演を決めた理由は「深見役の山本耕史さんがいるから」だと言う。山本とは4月に上演されたミュージカル『太平洋序曲』の狂言回し役で、ダブルキャストを務めたばかり。

 「ダブルキャストとして『こんなアプローチもできるのか』と勉強させてもらいました。しかし、どんなに耕史さんとコミュニケーションをとっても、ダブルキャストで同じ舞台には立てない。こんなに早く共演できる機会をいただいて、ぜひとも出演したいと思いました」

 『浅草キッド』はすでにドラマ化・映画化もされているが、松下は出演が決まる前に映画版を観たそうだ。

 「おもしろいの一言です。僕はたけしさんがバリバリ現役でやられていた頃の世代ではないのですが、あらゆる逸話や武勇伝は知っていたし、どんな歴史を辿ってこられたのか興味がありました。特に僕らみたいにエンタメを生業としている人たちは、共感できる部分がたくさんある作品ですね」

 今回は音楽劇で、松下自身も4曲ほど歌う予定だ。

 「ノリがめちゃくちゃいいです。あの時代を思わせるサウンドで、それをどう芝居の中に組み込んでいくかはこれからですが、純粋に歌っていて楽しい曲ばかり。後半の大事なところで歌わせてもらう曲がとてもいい曲。俺の歌にかかっています(笑)。見どころ満載です」

 ちなみに、松下にとっての師匠は誰か尋ねると……。

 「KOJI YAMAMOTO(山本耕史)! あれほどキャリアを積むと、周りの若手が萎縮したり、やりたいことがやりきれなかったりしてしまうのかな?と思うじゃないですか。でも、耕史さんは僕ら若手の意見も尊重してくれる。自分もこれからキャリアを重ねたときに、耕史さんみたいな先輩でありたい。それに耕史さんは本当におもしろい人。俳優としてだけでなく、人として尊敬しています」

 最後に観客へのメッセージをもらった。

 「20代後半に個人的につらい時期もあったのですが、最近は、自分は芝居でも歌でも人の前で何かを表現することが向いているし、そこに自分の価値があるのだと思い出して。ぜひお客さんにはかしこまらず、物語の舞台・浅草フランス座演芸場東洋館にいるお客さんぐらいのテンションで観てほしいですね」

(取材・文:五月女菜穂 撮影:友澤綾乃)

これだけは捨てられない! 手放せない理由とあわせて教えてください。

 「NOSEMINT(ノーズミント)
 もう何年も前から使っているんですけど、しょっちゅう嗅いでいますね。頭が冴えない時に嗅ぐとスッキリするし、歌で音程に迷った時にも嗅いでいます。説明するのが難しいんですけど、鼻腔にミントの匂いがくるので、音を当てる位置が明確になるんですよね」

プロフィール

松下優也(まつした・ゆうや)
1990年5月24日生まれ、兵庫県出身。主な出演作は、新感線☆ RS『メタルマクベス』disc1、舞台『黒白珠』、『パンドラの鐘』、ミュージカル『サンセット大通り』、『ハウ・トゥ・サクシード』、『ジャック・ザ・リッパー』、『るろうに剣心 京都編』、『バイ・バイ・バーディー』、『太平洋序曲』、NHK 連続ドラマ小説『べっぴんさん』、ドラマ『アシガール』、『インハンド』など。2020年からは「YOUYA」名義での音楽活動を開始し、音楽アーティストとしても精力的に活動している。

公演情報

カンテレ開局65周年記念公演
音楽劇『浅草キッド』

日:2023年10月8日(日)~22日(日) 
場:明治座
料:特典付きS席15,000円
  S席[1階・2階席正面]13,500円
  A席[2階席左右・車いすスペース]9,000円
  B席[3階席]6,500円(全席指定・税込)
HP:https://www.ktv.jp/asakusakid/
問:明治座チケットセンター 
  tel.03-3666-6666(10:00~17:00)

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