“今、面白い演劇” を中野の小劇場でハシゴできるフェスティバル開催! 演劇の楽しさをさまざまな作品で味わい尽くす『ぽけふぇす』

 中野で4つの小劇場(ザ・ポケット、劇場MOMO、テアトルBONBON、劇場HOPE)を擁するポケットスクエアが、初の演劇フェスティバル『ぽけふぇす』を開催決定! 8/23〜9/18の約1か月にわたり計14団体が4劇場で公演を行うという、演劇好き垂涎の企画だ。各劇場でヘッドライナーを務める『少年社中』の毛利亘宏、『東京印』の長戸勝彦、『MCR』の櫻井智也、そしてぽけふぇすの仕掛け人でノアノオモチャバコ主宰、またポケットスクエア支配人の寺戸隆之の4名が集い、ざっくばらんに語り合った。

寺戸「僕はコロナ禍に入る直前にポケットスクエアの支配人になったのですが、当時から『何か、小劇場を盛り上げることをやりたい』という想いがありました。数年経ち、『そろそろ何か……』と思い始めたところで、少年社中さんから『劇団25周年の公演でポケットを使いたい』というありがたいお話をいただき、『ウチで演劇のフェスティバルをやりたいんですが、乗っていただけますか?』とお話ししたところ快諾いただき、企画が動き出しました」

毛利「以前から『ポケットスクエアさんでフェスティバル的なものをやるなら、参加できれば』と思っていました。ザ・ポケットは僕らが初めて早稲田大学のアトリエ外で公演をした劇場で、少年社中にとっての原点。自分たちの演劇を昔の気持ちのままやれているかを確認する、大切な場所です」

長戸「僕もお声がけいただけて、本当に光栄に思いました。僕の作品は多くポケットスクエアさんでやらせていただいてきていて、ポケットスクエアは東京印という集団、そして僕の作品を支え、成長させてくれた劇場だと思っています」

櫻井「僕、今回の話をいただいたときはすごく嬉しかったんですけど、皆さんの話を聞いていたら、『あ、ウチは社中さんのバーターだったんだ』と気づきました(笑)」

寺戸「そんな話になります!?」

櫻井「今後の寺戸さんとの付き合い方をいろいろ考えていかなきゃいけないのかなって……。そういう意味でも心を新たにして、頑張ろうかなと思っています!」

寺戸「こんな感じで斜め45度からぶん殴られるとは思っていなかったな……(笑)。フェスをやるからにはやはり“目玉”が必要で、『各劇場に、目玉となる団体さんを据えたい』と考えました。世の中にはたくさんの素敵な、面白い団体さんがいらっしゃいますが、今回、前提条件として『ウチを使ったことのある劇団さんでフェスを始めたい』という想いがあり、これまでご利用のある団体さんの中でこの3団体に『ヘッドライナーとして出ていただけませんか』とお声がけしたんです」

櫻井「もちろんとても嬉しいし、光栄なことだと思っていますよ。ただ僕は、あくとれ(中野スタジオあくとれ)派で(笑)。昔は中野の劇場っていうと、あくとれとテルプシ(テルプシコール)しかなくて、ポケットスクエアは少し後にできたから」

寺戸「そうですね。MCRさんは以前にウチで公演をやっていただいて、今も稽古場を使っていただいていてMOMOが似合うなと思い、MOMOのヘッドライナーを。東京印さんは、BONBONができてから長
くウチの劇場を育ててくださった感覚があり、BONBONのヘッドライナーをお願いしたいと思いました。社中さんも周年ごとに公演をやっていただいていて、そんな繋がりからポケットのヘッドライナー。そして僕が主宰するノアノオモチャバコが、HOPEのヘッドライナーを務めます」

  そしてMCRは『絡め取りプリンセス投げ』。女性とおじさんを中心とした、やかましくも哀愁漂う新作だそう。

櫻井「タイトルと出演者が決まっているだけという状況で(笑)。芝居の内容って皆さん、どうやって決めています? 僕は長いこと演劇をやっていますが、“書きたくて書いたもの”って、たぶん1~2本しかないと思うんです。いつもアイデアは漠然とあって、書き始めれば、それが“自分が今、書きたいもの”になるけれど、書く前から明確に“これがやりたい”なんてない!」

毛利「分かります。“書きたいもの”って、そんなにポンポン出てくるものじゃないですよね」

長戸「書きたいものを見つけるのが大変なんですよ」

櫻井「だからタイトルや出演者を決めて、自分の選択肢を狭める。そして使う劇場のサイズや特徴を考えて、ヌケ感があるところならヌケ感のあるものを目指し、小さいハコなら逆にグルーヴ感、淀みのようなものを作り出そうと考え、そこからどんな話ができるかを探っていく」

長戸「出演者や劇場など要素を決めて自分をどんどん追い込み、いちばん最後に台本が出来上がる感じですよね」

毛利「こういう仕事をしていると、次々とアイデアが出てくると思われがちですが、そんなことは全くない! 毎回もがいて、ギューッと絞り出しながら描いています」

左:寺戸隆之(ノアノオモチャバコ)
左中:櫻井智也(MCR)
右中:長戸勝彦(東京印)
右:毛利亘宏(少年社中)

プロフィール

毛利亘宏(もうり・のぶひろ)
早稲田大学演劇研究会のアンサンブル劇団として少年社中を旗揚げ。個人活動としては2009年にはグローブ座主催「カゴツルベ」を青山劇場にて上演し好評を博す。また、ミュージカル『黒執事』、『薄桜鬼』、『デュラララ!!』など、2.5次元作品を多く手がける。演劇以外のジャンルでも、仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズの脚本を務める。ゲーム・アニメなど展開する「ARGONAVIS」にもシリーズ構成・メイン脚本家として参加するなど活動の幅を広げている。

長戸勝彦(ながと・かつひこ)
20歳の時に東京キッドブラザースのオーディションを受け合格。1年目から劇団の主演を任される異例の大抜擢。当時劇団のスター俳優だった柴田恭兵とのWキャストを含め退団までの12年間、東京キッドブラザースの主演を務める。萩本欽一氏の番組にレギュラー出演し、番組内で結成したユニット「JAJA」では多数の音楽番組に出演。現在も舞台に立ち続け俳優としての活動はもちろん、「東京印」、「Sweat&Tears東京キッドブラザース44th」、「男〆天魚」を旗揚げ、3つの団体の主宰プロデュースを務めながら、自らが作・演出も手がけている。

櫻井智也(さくらい・ともなり)
MCR主宰。MCRに於いてほぼ全作品の脚本・演出、出演、MCRの他にもプロデュースユニット「ドリルチョコレート」主宰。外部舞台の脚本・演出やテレビドラマ脚本、映画脚本など活動の幅を広げている。役者としても活動。平成24年度文化庁芸術祭賞ラジオ部門にて優秀賞を受賞(作品名『ヘブンズコール』脚本)第2回市川森一脚本賞、『ただいま母さん』にて受賞候補作品に選出。

寺戸隆之(てらど・たかゆき)
香川県出身。上智大学外国語学部ロシア語学科卒業。ノアノオモチャバコ主宰。大学在学中に演劇ユニット、ノアノオモチャバコを結成。2006年から同団体を劇団化し脚本・演出を務める。繊細な空間造形と身体の連動によるダイナミックな空間変化を持ち味に、創作戯曲や日本・海外戯曲のリ・クリエーションを手掛ける。2012年にテアトルフォンテ・アズビル芸術文化活動支援アーティストに選出。2014年、利賀演劇人コンクールで観客賞を受賞。2014年、こうのとり戯曲賞最終候補。2017、2020年、せんだい短編戯曲最終候補。

公演情報

ぽけふぇす!

日:2023年8月21日(月)~9月18日(月・祝)
場:ポケットスクエア(ザ・ポケット 劇場MOMO テアトルBONBON 劇場HOPE)
料:各団体により異なります。
HP:https://www.pocketsquare.jp/pockefes/
問:各公演の詳細は団体HPにてご確認ください

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