2020年より乙女ゲームを原作とした“2.5次元舞台”を製作してきたSrotaStageが、「“小劇場”を“少人数”で贅沢に使った公演を作る」というコンセプトで「4S企画」を新設。“4S”には「安全で、健康な職場づくり、そして生産性の向上をめざす活動=4S(整理、整頓、清掃、清潔)」という意味もかかっており、演劇界をクリーンな職場環境にするというコンセプトも含まれている。
その初回公演として、同じく演劇界の改革を目指して活動するミュージカル団体・Protopiaのオリジナルミュージカル『人間ライブラリ』の上演が決まった。オリジナルでは父と娘の関係性がエモーショナルに描かれているが、今回は“兄弟”ver.にアレンジされ、出演者には2.5次元舞台などで活躍中の若手俳優陣が揃えられた。Wキャストで公演される本作について、同じチームで兄・ジョウを演じる工藤大夢と、弟・シンを演じる新谷聖司に話を聞いた。
―――少人数のミュージカル企画と聞いて、楽しみにしていることや意気込みは?
工藤「ここまで少人数の舞台に出るのは初めてで、かつ1人で10曲以上は歌うと聞いているので……不安がないといったら嘘になります。でも同じくらい楽しみです。台本も拝見して、すごく面白いなと思ったので!」
新谷「僕は少人数も初めてですし、ミュージカルと名の付く作品に出演させていただくことも初めてです。2.5次元舞台で劇中歌を歌わせていただく機会はこれまでもあったのですが、ミュージカルというだけで、ちょっと緊張しちゃいます。でも工藤さんと同じで、僕もすごく楽しみでもありますし、頑張ろう!という気持ちです」
―――アンドロイドの兄弟の物語ですが、実際にご兄弟はいますか?
工藤「僕は兄と姉がいて、末っ子なんです。末っ子あるあるだと思うのですが、ずっと下の兄弟がほしくて、弟と一緒にサッカーをするのが夢だったので……。今回念願の兄役で、しかも兄弟の関係性がすごくフィーチャーされる作品なので、ちょっと夢がかなったような気持ちで嬉しいです」
新谷「僕は、僕が演じるシンと同じで兄が1人います。そのせいなのか、最近、弟役をやらせていただくことが多くて。今回また新しいお兄ちゃんができて嬉しいです」
工藤「かわいい……もう今日から僕を兄だと思ってください(笑)!」
新谷「よろしくお願いします(笑)」
―――仲良くなれそうでよかったです(笑)。ちなみに実際のご兄弟とはどんな距離感ですか?
工藤「うちはとても仲がいいです。兄は結構歳が離れていて、僕が物心ついたころには家を出ていたので、そこまで沢山遊んだ記憶はないのですが……。姉とは2人でカラオケに行くくらい仲良しです。実家は青森なのですが、東京まで舞台を観に来てくれることもあります!」
新谷「僕は男兄弟ゆえかもしれませんが、最近になってやっと仲良くなったような気がします。学生の頃は喧嘩ばっかりでした。喧嘩といっても弟の僕が一方的にやられちゃうだけなんですけどね(笑)」
工藤「新谷くんは喧嘩しそうなタイプには見えないけどね?」
新谷「そうですかね。僕、すごく人見知りで、初対面だとおとなしく見えると思います……。今日も緊張していたのですが、工藤さんが沢山話しかけてくれて助かりました」
―――せっかくなので、稽古が始まる前にお互いの呼び方を決めましょうか?
工藤「シン役の新谷くんだからちょっと紛らわしいもんね(笑)」
新谷「そうなんですよ(笑)。普段は何て呼ばれていますか?」
工藤「下の名前で『大夢』が多いかな! 新谷くんは?」
新谷「僕も『聖司』か、『聖ちゃん』とか」
工藤「『聖ちゃん』いいね! それで呼ばせてもらおうかな」
新谷「ぜひ! 僕は『大夢さん』で」
工藤「距離感があるから、“くん”付けがいいな……(小声)」
新谷「じゃあ『大夢くん』で! よろしくお願いします!」
工藤「嬉しいです。兄弟仲良くやりましょう(笑)!」
―――改めて、今回ご自身が演じる役の印象はいかがですか? 似ているところ、共感できるところ、逆に新鮮に思うことなどありますか?
新谷「シンは思春期、というか反抗期真っ盛りで、兄のジョウに対して冷たいんです。平気でウザい!とか言っちゃいますけど、僕が自分の兄にあんなこと言ったら返り討ちにされちゃうからすごいなって(笑)。
僕としてはあんな風に溺愛してくれる兄がいて、シンは幸せ者だなぁとは思います。この物語を通じて、兄弟っていいな、家族っていいなって改めて思えました」
工藤「ジョウはジョウで、弟が大好きすぎるゆえに鬱陶しいタイプの兄です(笑)。
ちょっと違うとは思うんですけど、僕の実家は動物を沢山飼っていて、僕にとっては彼らも家族の一員であり、溺愛しています。先ほど下の兄弟がほしかったという話をしましたけど、きっと実際に弟がいたら、僕もジョウのように沢山構って怒られていたと思います(笑)。その点、感情移入してできそうです」
―――もう1人(?)の登場人物、ホームコンシェルジュのレイについて、謎の多いミステリアスなアンドロイドではありますが、いかがでしょうか。
工藤「物語の主軸はシンとジョウの兄弟ですけど、レイがいることで物語が進んでいくという感じですよね」
新谷「ストーリーテラーのような存在なのかなと思いきや、すごく重要な秘密を抱えているんですよね。それをまた匂わせないのもレイの魅力だなと思いました」
―――では続いて、今作では不老不死の真逆、可老可死のアンドロイドを演じるおふたりですが、もしシンやジョウのような、人間とほぼ変わらないくらい知能が高いアンドロイドが将来的に生まれたら、一緒にやりたいことはありますか?
工藤「僕は台詞合わせを手伝ってほしいです。1人ではどうしても限界があるので……」
新谷「うわ! 思いつかなかった……。それいいですね!」
工藤「自分で相手役の台詞を録音して練習するという方法もあるのですが、自分の声だとしっくりこなくて、ぜひ協力してほしいです」
新谷「僕はゲームを一緒にやってみたいです。昨今のAIって自分で学習して賢くなっていくじゃないですか。オンラインゲームも楽しそうですけど、例えば『人生ゲーム』のようなアナログなゲームを一緒に遊んだらどうなるんだろうって興味があります」
工藤「確かに、面白そうだね!」
―――未来への展望が膨らみますね! では最後に、観に来てくださるお客様に一言お願いします。
新谷「初のミュージカルということで、気持ちを歌にのせて届けるシーンが沢山あると思います。観てくださる方に楽しんでいただけるよう、感動していただけるよう、頑張りますので、ぜひ楽しみにお待ちいただけたらと思います!」
工藤「ここまで少人数での舞台というのも初めてですし、ここまで沢山歌う舞台も初めてで、本当に緊張しているのですが、兄弟という存在がいるのは心強いです。WキャストということでAチーム・Bチームで全く違う雰囲気になるのではないかと思ってそれも楽しみにしています。いい作品になるよう努めますので、ぜひ劇場に足を運んでください!」
(取材・文&撮影:穂高和佳奈)
プロフィール
工藤大夢(くどう・ひろむ)
1994年4月27日生まれ、青森県出身。主な出演作品に、『あんさんぶるスターズ! THE STAGE』シリーズ 青葉つむぎ役、舞台『CharadeManiacs』廃寺タクミ役、『イケメン戦国 THE STAGE』シリーズ 前田慶次役など。
新谷聖司(しんや・せいじ)
2000年3月9日生まれ、北海道出身。主な出演作品に、舞台『魔法使いの約束』シリーズ リケ役、MANKAI STAGE『A3!』シリーズ タンジェリン役、『カストルとポルックス』五十嵐翔役など。
公演情報
4S企画vol.1 ミュージカル『人間ライブラリ』
日:2023年8月9日(水)~13日(日)
場:上野ストアハウス
料:特典付きチケット9,000円
通常チケット8,000円(全席指定・税込)
HP:http://www.ningenlibrary_4s.srotastage.jp
問:合同会社SrotaStage
mail:info@srotastage.jp