旗揚げから10周年の記念公演は、念願の紀伊國屋ホールで開催! モヤモヤ感の残る、滑稽な人たちの淀んだ物語

旗揚げから10周年の記念公演は、念願の紀伊國屋ホールで開催! モヤモヤ感の残る、滑稽な人たちの淀んだ物語

 “椅子さえあれば芝居はできる”という想いからはじまった、中島庸介による演劇ユニット キ上の空論。2013年12月の旗揚げから、今年で10年を迎える。

中島「客席わずか20席のスタジオからはじまり、やっと紀伊國屋ホールで公演ができるようになりました。今振り返ってみると、旗揚げ公演から参加してくれている藍澤さんと共に、頑張って進んできたと改めて思います。1つのゴールを観ていただきたいです」

 中島が「共に歩んできた」と言う藍澤は、「キ上の空論に出会えて良かった」と振り返る。

藍澤「私はそれまで会話劇をあまり経験したことがありませんでした。しかし、キ上の空論に出会って、会話劇が好きになりましたし、私に合っていると思えるようになりました。私にとって舞台の基盤はキ上の空論にあります。出演するたびに“今回は最高の作品です”と皆さまにお伝えしていますが、毎回その“最高”が更新されていっています」

 中島が一貫してつくり続けてきたのが“モヤモヤ感”の残る作品だ。

中島「世の中の人全員がハッピーでいることなんてない。幸福な人もいれば、不幸のど真ん中に立っている人もいます。そのどちら側の人も描かなければいけないと思っています。爽快感だけでなく、気持ち悪さやモヤモヤした引きずる感覚もエンタメだと僕は思うので、今回も滑稽な人たちの淀んだ物語になるのだろうと思います」

 今回の作品は「宗教団体を中心にした生と死と、そこから発展していく事件の物語になる」と、中島は言う。

中島「昔は死を描いても、僕自身がどこかファンタジーのように感じていましたが、最近は、距離が近くなったというか。それは僕自身がニュースで流れる事件の数々を、生々しく感じるようになったからだと思います。今作では、唾液が事件の発端になりますが、それはコロナ禍での飛沫感染を経験したことから生まれたアイデアでした」

藍澤「キ上の空論の公演を観た方が、SNSに感想を書いてくださるのを見ると、皆さんが書くことで考えが広がっていくようです。そうした余韻も含めて、今回も楽しんでいただけると思います。庸介さんの作品は、言葉のテンポ感がよく、現実で感じたことのある感情に繋げてくれます。人の死を描いて
いても、どこかあたたかさを感じさせてくれ、心に残る作品ばかりです。ぜひ期待してご来場いただければと思います」

(取材・文:嶋田真己 撮影:安藤史紘)

梅雨を楽しく乗り越えるあなたなりの工夫はありますか?

中島庸介さん
「執筆している事が多いので、基本、仕事部屋にこもっているのですが。何もない時は、ウーバーイーツでハンバーガーですね。それで映画とかドラマとか、漫画とか、エンタメにどっぷり浸かります。そして寝ます。雨の日はむしろ贅沢な時間に」

プロフィール

藍澤慶子(あいざわ・けいこ)
東京都出身。1992年、7歳の時に住友不動産のCM「もうすぐニュー・ヨーク」に出演。2005年、アイドルホラー映画『グロヅカ』の出演以降、本格的に俳優活動を開始。2010年から舞台をメインに活動。2013年、キ上の空論の旗揚げ公演にも出演。主な出演に、舞台『けむりの肌に』、『染明色』、『嘘つき』、ドラマ『医龍4』など。2023年夏には、酒場SF 映画『REUNION:02 G ENESIS』(主演)が公開予定。

中島庸介(なかしま・ようすけ)
岐阜県出身。劇作家・プロデューサー。「キ上の空論」主宰。18歳から独学で演劇を学び、岐阜・名古屋で活動。2009年、東京進出と同時に演劇ユニット「リジッター企画」の作家・演出家として活動開始。2013年、個人ユニット「キ上の空論」を旗揚げ。全作品の脚本・演出を手掛ける。大きなセットは組まず、役者の肉体と、会話言葉、軽快なシーン転換で「滑稽な人々の生活」を綴ってゆく。

公演情報

キ上の空論 10周年記念公演『幾度の群青に溺れ』

日:2023年7月5日(水)~9日(日)
場:紀伊國屋ホール
料:7,200円
  U-25割[25歳以下]4,500円
  ※要身分証明書提示(全席指定・税込)
HP:http://kijyooo2013.com/gunjyooo-10th/
問:【チケットお問合せ窓口】オデッセー
  tel.03-4426-6303
  (月・水・金13:00~17:00/祝休)
  【公演お問合せ窓口】キ上の空論
  mail:info@kijyooo2013.com

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